能力とやりがい
経営コンサルタント 佐藤 修一
先人の教えに「人間は考える葦」であるという言葉があります。これは自然界のなかでたいへん弱く、簡単に風にしなるが、柔軟性があり、運命にも暴威にも屈しない。そして何よりも、「考えることができる」すなわち「精神を持つ」ことで、ただ、自然の力、暴威として、力を無自覚にふるう風に較べて、はるかに賢明で、優れた存在であると解釈されます。今回は、考える葦である人間の能力とやりがいについてお伝えしたいと思います。
“どんな仕事に「やりがいを」を感じるか”上場企業に勤務する20代〜30代の正社員、1,000人へのアンケート結果では、
1. | 報酬の高い仕事 |
---|---|
2. | 自分だけにしかできない仕事 |
3. | 新しいスキルやノウハウが身につく仕事 |
4. | 自分の実績として誇れる仕事 |
5. | お客様から感謝される仕事 |
6. | 社会的に意義がある・貢献のし甲斐がある仕事 |
7. | 自ら創意工夫ができる仕事 |
8. | 将来のキャリア形成に役立つ仕事 |
9. | 目標や成果の明確な仕事 |
10. | 自分の個性を発揮できる仕事 |
となっており、お金以外の報酬で重要なものは、仕事自体の面白さや刺激が求められています。
さらに「企業は人なり」といいますが、今後の経営の最大の課題は“優秀な人材の確保”が命題になると思われます。その原則は、
ことであり、その為には、まず人材を獲得する際、その人がどのような職場で、どのように活躍してもらいたい(効果的な能力発揮)の方策案をもって採用すること。そして人材を獲得した後は、やりがいを根底にいかにその人にあった仕事を担当させ、不足能力部分は開発していくかがポイントになります。
このように能力が最大限発揮されるのは、本人がやりたい仕事に取り組み、達成感が感じられた場合で、これは動機付けとなります。欲求5段階説から考えると、いよいよ自己実現の欲求に至りますが残念ながら、現状この段階で仕事を推進されている人はごくわずかです。
一方、能力要件には、様々な考え方がありますが、
一つには、「企業人に求められる3つの能力」
もう一つ上げると、「能力とは」
等があります。
さらには、本人の情報収集と意思決定のスタイル、右脳系、左脳系、文系、理系の思考スタイルからも把握する必要があります。
例えば、理系の人が学生時代に学ぶのは、合理的思考で、感情や既成概念にとらわれず、事実を客観的に分析、判断し、合理的に結論を導き出そうとすることで、これは一見当たり前のことのように思えますが、実はきわめて重要なことです。
問題に直面した時、対処法を考える時こそ理性的になり、実行段階で感情を用いることが可能となるからです。大切なことは、私が混乱したら先に進みません。感情を切り離し、周囲の批判、意見を客観的に分析し冷静に判断が下せるかが重要です。
能力要件を構成している一つの才能(Talent)について考えると、
人は
<見えない部分>
動機(使命感)、性格(特性)、信念(価値観)と
<見える部分>
態度(Attitude)、技能(Skill)、知識(Knowledge)とにより
行動化され、この両者を貫いているのがコンピテンシー(行動特性)と考えられます。才能は、従来は万人が認める非凡な能力とされた時代もありましたが、現在は、一定のパターンを司る思考のことで、天性のDNA的なものが多く、画一的な経験や知識、意志の強さとは別物と考えられています。
人には、強みと弱みがあり、強みの強化と弱みの是正が両方ともできれば良いのですが、効果的なのは、強みの強化です。人は得意な部分を推進していく方が得てなのでしょう。才能に知識と技能を吹き込んでこそ、強みを発揮することが可能になります。もちろん、発揮できるように環境を整えることは不可欠となります。
<見えない部分>に才能の部分が多いといわれていますが、こちらにも視点を注ぎ込むことを忘れてはなりません。