転職お役立ち情報|特集レポート|「トクする転職」のための活動準備(後編)

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転職のチャンスを利用して 自分の優先順位を浮き彫りに
編集部: 転職の年齢制限は35歳という定説があり、求人広告を出している企業の多くが「年齢35歳まで」とありますが、35歳までに何をしておくべきなのでしょうか?

牧 田: まだ僕自身も32歳ですから模索中といったところです。現実として、年齢が上がるにつれて採用は厳選されていきますし、また与えられるチャンスも少なっていきます。そうしたなかで僕が意識しているのは、ヘッドハンターから連絡が来たら必ず会うということなのです。市場価値は自分で決めるものではなく、他の人やマーケットが決めるものです。キャリアを高めることも必要ですが、転職の機会を通じて、自分の価値を見極めるようにしておく必要があると思います。

難 波: 僕がおすすめするのは、自分を長く知っている人に自分の夢などを語ってみることです。そうすると「お前は昔からそんなこといっていたよな」と、自分を新たに知ることができると思います。私たちコンサルタントに相談するのも一つですが、古い友人に語ることも意外に大切なことなのです。また今の人間関係を快適に保つことも忘れずに。会社のなかは、1割が味方・3割が敵・あとの6割が中立、と言われますが、その6割に上司が入っていたら、決して敵にせず、ときには味方の一割に入ってもらえるようにすれば、不快指数を高めずに仕事に没頭できるかと思います。転職は十分な準備が大切。決して焦らず、その間にキャリアを積んで、本当に力がついたときに転職のチャンスを活かしてステップアップしていってほしいですね。

牧 田:
 転職には「給与アップ」や「キャリアアップ」など、それぞれ目的や優先順位があります。そのとき転職先が自分の目指す方向と同じか、夢が実現できるかどうかで選ぶことも大事なことです。僕は採用する際に、必ず候補者の「スキルフィット」と「バリューフィット」を見るようにしています。求めるスキルを持つかどうかも大切ですが、同じ価値を共有できる、またお互いを尊重できるということも、とても大切なことです。スキルがあっても、価値を共有できない会社に入ってしまったら、年俸がよくてもやはりすぐに辞めてしまう。それは非常にもったいない話ですからね。

猪 田: 僕の経験からいえば、もし自分と同じ夢や志を持つ企業が存在し、また自分より実力ある人間が組織を引っ張っているのであれば、独立をせずして間違いなくそこに入ったほうがいいと思うのです。そこで経験を重ね研鑚を積んだほうが、自分の成長のためには絶対いいはずですからね。また最近は転職自体に漠然とした不安を感じる人が多いようで、ある調査結果によれば75%の人が今の会社に不満ながら転職に踏み出せずにいるそうなのです。その辺り、不安に臆さない「思い切りのよさ」というのも、もしかするとトクする転職へのきっかけなのかもしれませんね。

近 藤: 今の自分の価値で一瞬一瞬を懸命に生きることが大切であり、人生レベルで考えると転職は、とても短い期間を指していると思うのです。私の場合、正論的にいえば「いかに死ぬか」で人生を考えています。いかに死ぬか=つまり、いかに生きるかです。セザンヌが「絵描きなら絵を売りなさい。絵を売ってこそ絵描きだ」という意味の言葉を残していますが、生きていくのに糧を得るのは重要なことと思いますし、給与・報酬が上がる、というのはある意味大切かと思います。仕事とは世の人々に対する奉仕ですし、それによって自分が生きることができる。そこさえ外さなければ、今の自分の価値に幅が多少あったとしてもかまわないと思うのです。

編集部: 長い人生の上で考えると、転職はほんの一つの節目にしかすぎないわけですからね。短期的な側面で転職を捕らえず、ライフプランという大きな流れを通して考えると、転職も納得のいく結果に結びつくのかもしれません。

難 波: そうですね。大事なのはそのときの自分の優先順位や、やりたいことが何であるのかに気づくこと。とにかく情報が多い時代であり考えが混乱しがちになりますが、自分と対峙することで人生を深く省みたり、違った企業・考え方の人々に出会うなかで、自分のあり方自体が明確になっていきます。そうしたことが、転職活動の一番のメリットかもしれません。

牧 田: またそうした優先順位や人生の目的も、その時々で入れ替わります。それはまた自分一人で決めていくのは難しいことです。客観的に自分を見つめなおす以外でも、外部の視点や刺激を得ながら、自分を整理していくチャンスとしても、転職や転職活動の機会を利用していくのもいい方法かと思います。

>> 「トクする転職」のための準備活動(第一回)

2002.12.13 text by Yukiko Kanai  

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