自動車・住宅業界で活躍した伝説のトップ営業マンが自身の経験をもとに"売れる営業"の極意を伝授。営業スキル・思考法から転職活動のヒントまで、新時代の営業マンに求められる条件・成功テクニックをお伝えします
	第32回　転職で捨てない自分のスタイル　使い分ける“２つの思考” 　 ■自分を捨てて新しい風土に染まろうとしてはダメ 　私は営業現場での仕事を 25年間やってきました。そこでは人事課の採用担当者では見られない “営業マンの成功、不成功” を見てきました。 　営業マンとして中途採用され、期待通りの数字を上げている人材もいる。一方、数ヶ月で退職していく、あるいは退職までいかなくてもスタートダッシュにつまずいて、以前の会社にいた数字も出せないで低迷してしまう人材もいる。 　これってどこに差があるのでしょうか？ 　前回のコラムでは、「アドバイスは素直に聞いてとりあえずやってみる」 という体験談から、 ・　クルマ業界と住宅業界では見込客も違う。 ・　無我夢中でやっているときには当たり前のことが見えなくなっている。 ・　強気も大事だが、謙虚さも大事。 　ということをお話しました。 　それとは、一見矛盾しているように思うかもしれませんが、今回のコラムでは 「転職者は自分を捨てて新しい風土に染まろうとしてはいけない」 ということをお話しします。 　最初から新しい風土に染まろうとしてはいけないのです。新しい業界で新しい営業のやり方や風土に染まろうとして、多くの営業マンがつぶれています。 　また、付き合いの良い人間と思われることに気を使いすぎたり、いい人を装ったりすると、自分の個性を見失ってしまいます。 　今まで培った営業スキルにおいても同じことが言えます。 　営業マンはそれぞれ個性的な営業スタイルを持っています。以前の業種のリズム、「間」、タイミングを捨てることで、その営業マンの持っている長所も一緒に捨ててしまうことになりかねません。 　以前の業種で通用していた営業マンのリズム、「間」、タイミングを捨てて、新しい風土に染まろうとするのは間違いです。他業種から転職してくる営業マンは、以前の業界で培った独特の 「間」 を持っています。その 「間」 「やり方」 「トーク」 が、新しいお客様に通用するか試してみることが必要です。 ・　以前の会社の営業のやり方に自信を持ちすぎて、人のアドバイスを素直に聞かない人材 ・　「新しい会社の風土に染まろう」と、付き合いが良すぎる人材 　一見矛盾しているこの ２つの思考を、メリハリをつけて使い分けることが成功のポイントになります。 　最後に、私の体験も交え、転職した営業マンが成功に至るまでのケースを述べます。 　最初の１，２ヶ月間は、それまでの営業スタイルを新しい業界でぶつけてみることです。私が住宅業界に転職したときは、最初はクルマ業界で通用したやり方を全部ぶつけてみました。さらに、とりあえず自分の持っているものをすべて出しながら、プライドを捨てて新人がやれと言われていることはすべてやりました。「いまさら、この歳ではできない」 と思うことでもやりました。 　ただ、過去の流儀を貫くにしても、今までの経験だけでお客様を見極めようとしないことだけは心がけておく必要があります。接客したお客様はすべて見込客だと思って全力を出してみます。そうして１，２ヶ月の間に、新しい業界のリズム、「間」、タイミングを探りました。そこで、自分の営業スキルの 「何が」 この新しい業界で通用するかを見極めていくのです。 　 より詳しい「営業スキル」は岡田さんのメールマガジン でご覧いただけます！ 【事務局からのお知らせ】 ご愛読いただいております営業コラム 「売れる！営業マンスキルアップ成功術」 は、作者都合により７月まで隔週でのリリースとなります。なにとぞご了承ください。 info@A-gyo.com 岡田 和芳　（おかだ　かずよし） 営業ドットコムファーム代表。キャリアカウンセラー、営業講師、ビジネス作家。事務系から営業職へ転身後、自動車業界で1000台を突破、クルマセールスから異業種の住宅営業に挑戦。住宅業界の居並ぶトップ営業マンの二倍の売上"11年間で85億、二倍の粗利益22億"を達成。営業転職の成功伝説をつくる。著書の「契約力」（すばる舎）と「突然、『営業マン』になった人が読む本」(大和出版)が好評。現在、営業ドットコム（ http://www.A-gyo.com/ ）より「稼げる営業スキル」を無料配信中。 　 2004.05.10　update 戻る