転職お役立ち情報|牧田幸裕のビジネスマンFA宣言|理論を活かすポイントは「翻訳する力」

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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  

理論を活かすポイントは「翻訳する力」

 最近本屋へ行き感じたことなのですが、『ハーバードビジネスレビュー』風のビジネス戦略に関する雑誌が、次から次へと創刊されています。伺うところでは、これらの雑誌は結構な売れ行きを誇っているということです。
 経営環境がものすごいスピードで常に変化し、先行きが不透明であることから、これらの雑誌から企業の方向性を定める指針をなんとか得たいという風潮があるのでしょう。

 しかし、これらの雑誌でもそうですし、最近はやりのMBA関連の書籍でもそうですが利用方法に気をつける必要があります。すなわち、これらの書籍はあくまでも「論文」であるということです。確かに、これらの雑誌から「普遍的な理論」は得られます。しかし、その理論をそのまま「特殊事情を持つ日々のオペレーション」に当てはめることはできません。

 重要なポイントは、「普遍的な」理論を「特殊事情を持つ」日々のオペレーションに「解釈する、翻訳する力」があるかどうかです。
 その力がないビジネスマンは、「所詮、理論は理論だろ。僕らの仕事はそんな奇麗事じゃないの。MBAなんか役に立たないの」と言ったりします。

 逆に、経営コンサルタントやMBAの書籍でいう理論に惚れ込み、崇高な理論だけは滑らかに語れるビジネスマンもいます。しかし、現場感がないために、結局現場からは「はいはい、ちゃんとお勉強したのね。でも、そのメッセージには、なんのインパクトもない」と言われることになります。

 僕は、現場(実際のビジネス)を変えられない「理論」はマスターベーションだと思いますが、その一方で、読者の「翻訳する姿勢」「解釈する姿勢」が欠如していることは大きな問題だと思います。
 
 その原因は、「言われたことをそのまま鵜呑みにして信じる姿勢」であり「批判的精神を持ちながら、権威ある論文を打破してやろうという姿勢」がないからです。もちろん、論文を打破する必要はありませんが、そういう姿勢で論文を読まないと、自らの立場に置き換えて納得しながら論文を解釈できませんし、その論文のエッセンスを活用できるようにはなりません。

 優秀な経営コンサルタントは、この視点をしっかりと持っています。最近読んだ論文の中でも、常に「現場感」を意識し、実際のビジネスの「結果」(=変革)に繋がるようなメッセージがしっかりと述べられています。あとは、そのメッセージを読者が理解し、翻訳し、その上で自分なりに「実行」し「結果」を出せるかです。

 経営コンサルティング業界では、大前さん、堀さんの後、業界を代表するようなコンサルタントが長らく生まれてこないと言われてきました。しかし、これらの雑誌を読んでいると、僕と同世代のコンサルタントが活躍しており、「未来の大前、堀」になりうる存在だと思います。

 僕も、彼らの活躍に自分の未熟さを再認識させられ、小さな成功で満足している目線の低さを痛感しました。僕自身、まだまだ成長途上です。彼らの活躍に負けないよう、努力しようと決意しました。
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.10.29 update 戻る

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