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牧田幸裕のビジネスマンFA宣言

新世紀、転職も自分が企業を指名する“フリーエージェント”の時代に突入した。若くしてコンサルティング会社の副社長に就いた著者が、自身の経験をもとにキャリアの切り開き方、【自分ブランド】の極め方を熱く伝授する。  
意思決定しない“不作為のミス”
 先日、クライアントの取締役の方と一緒にゴルフをしてきました。僕のゴルフもこの10ヶ月で大分上達し、正月のデビュー戦では197を叩きましたが、最近は110台で回れるようになり、なんとかお付き合いができるようになってきています。

 ゴルフの良いところは、普段忙しく時間の取れないクライアントの取締役の方と6時間以上、じっくりと一緒に話のできるところです。当然ビジネスの話もしますが、ビジネス以外の話もします。ビジネス以外の話でもいろいろ勉強になるところがあり、非常に有意義な時間です。

 そんな中で、今回非常に印象に残る話がありました。それは、「意思決定をしないという不作為のミス」という話です。我々事業経営者が日々のオペレーションを行う際、またはビジネスの最前線で活躍する際、自分のキャリアを考える際、様々な選択肢の中から意思決定を行う必要があります。

 取締役の方がおっしゃるには、
1. 昭和の時代は意思決定をする際に判断基準とできる情報は限定的なものであり、限られた情報の中で意思決定を行っていた
2. 市場環境の変化も、現在のようなスピードではなく、ある意味確実性の高い(未来予見性の高い)中での意思決定であった
3. その結果、限られた情報の中で正しく意思決定し、正確に組織をオペレートすること(意思決定を正確に組織に伝達すること)が役員のミッションだった

 そして、何よりも印象的だったのが、「情報も限られているし、市場環境の変化も少ないので意思決定をせず、誰かが決めたことを組織に上手く伝え組織を動かすだけでも取締役が務まる時代だった」という話でした。

 2002年現在、インターネットの活用により、我々が手にすることのできる情報は10年前のビジネスシーンと比較しても(当然、昭和の時代=15年前と比較すれば更に)飛躍的に増えてきています。

 ある取締役は、僕に「徹底的に情報を身体に浴びせ続けろ。そして、その中から自分で情報を取捨選択し、自分で判断しろ。僕が牧田君に今回のプロジェクトで期待するのは、君の取捨選択能力と判断能力=意思決定能力だ」とおっしゃいました。今のビジネスシーンでは、意思決定ができなければ取締役は務まりませんし、「意思決定をしない不作為」はそれだけで、ミスと判断されるわけです。

 しかし、意思決定するにも市場環境の変化は目まぐるしく、先の見えない不確実な時代です。その不確実性の中での意思決定には、
1. 情報の取捨選択能力
2. 選択した情報をロジカルに分析し、仮説を立てる能力
3. 情報を分析する上で土台となる環境は常に変化するので、環境変化に柔軟に対応し、一度立てた仮説を全て捨ててゼロベースで考え直せる潔さ(=素直さ)が必要と成ります。

 市場環境の変化が激しく、不確実性が高まっている時代だからこそ、意思決定の重要性は高まりますし、意思決定しないということ自体が許されない時代になっています。

 ゴルフの帰りに車の中で、今回ご一緒したクライアントの取締役の方から印象的な言葉がありました。「先が見えない中で一歩先に進み続けることは非常に勇気がいる。我々のようなおじいちゃんではなく、君たちのような30代、40代の勇気を持った若手が意思決定をするようにならないといけないんだ」
ymakita@kairios.co.jp
牧田 幸裕(まきたゆきひろ)
1970年 京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科修了。大学講師を経て、1998年7月アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)戦略グループに入社。2000年8月、サイエント株式会社マーケティング・ディレクターに就任。日本人最年少のディレクターとして、日本法人立上げに携わる。2001年5月より、ICGコンサルティング副社長。2001年10月、ICGコンサルティングの事業と組織を継承し独立、カイリオスジャパン株式会社取締役副社長に就任。共同創業者。戦略グループ最高責任者。
2002.09.10 update 戻る

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