「おいーっす。」
「うぃっす。」
「おっ。」
「あっ。」
「遅いすね。」
「明け方まで飲んでた（笑）」
「なんか今日は力でないっすねー。」
「だな。がははは。」
半眼の構えなのか単に睡眠不足で眠たいだけなのかよくわからないむさくるしいおっさん連中と、プログラム以外なんら興味なく「俺に話しかけるな視線」でジロジロ見返される奇妙な若者達とが、朝っぱらから缶コーヒーをすすりながら喫煙ルームでタバコを吸い、ヤニ臭を振りまきながらPCの前でだらだらとメールチェックをし、昼は車でやってくる弁当屋ですませ、昼休みは机に突っ伏して惰眠をむさぼり、午後は睡魔と闘いながらキーボードをカチャカチャ鳴らして仕事しているフリをする。

まあどこもかしこもそうだとはいいませんが、男所帯のIT現場はだいたいこんな感じです。
ですから、そんな男所帯のプロジェクトに女性が加わろうものならいきなり全員浮き足立ちます（笑）

　そもそもこの業界の男子達は、総じて女子耐性が無きに等しいので、新しいプロジェクトに女性がいたりすると明らかに「おひょひょっ」って感じで動きがぎこちなくなります。

普段は、机の傍にコソコソ寄ってきて
「ひげぱわーさん電話かかってますよ。」
とボソボソ話しかけるやつがビシッと電話取って
「ひげさーん！××さんから問い合わせです。回しますか？」
なーんて女子越しに声張り上げて出来るビジネスマン演じたりします。

いつもなら
カッチャ・・・カッチャカッチャ・・・（キーボードの音ね）
「はあ。。。」
見たいなメンバー達がなぜか紅一点がいらっしゃるだけで
カチャカチャカチャカチャカチャ
「よし、ちょっと動かしてみるか。。。」
といきなりキビキビ働いたりします。

いつだったかのプロジェクトで、マネージャーやってた私にある日その紅一点女子が
「ひげぱわーさん。ちょっと相談事があって今日時間あります？」
と持ちかけられた事があるのですが、その瞬間、視線と聴線（耳がダンボ状態の事ね）が私の身体にザクザクと刺さるのを感じたことがあります。

その時は確か軽くご飯を食べに行ったのですが
「ひげぱわーさん。もう仕事が手に付かなくて耐えられないんです。好きです！」
抱きしめ！！
なーんて事はまったくなく、自分に向いてないから辞めたいという相談だったのですが、何故か翌日に出社すると、
「聖人君子みたいな顔して俺らに残業を命じ、そしてあんたは結局女性と二人っきりでお食事ですか？マネージャーずるい、きたない。」
「大体ひげぱわーさんは、おっさんのクセに、すぐ女性と二人っきりの食事に持ち込む。」
とあらぬ噂が社内にたっている。

まったく男というのは、単純でバカな生き物である。
だからこそ、男だけ集まってプロジェクトを運営してると、好き勝手やってバラバラになったりダラダラやって納期に間に合わなかったりする。

そしてそんな時、女性の力の偉大さを感じたりする。
意図的に媚びなくても、そこにいてくれるだけで、男子諸君は自らの怠惰を恥じ、背筋が伸び、仕事をテキパキとこなす。

というわけで、紅一点プロジェクト。オススメしておきます。
プロジェクトの打ち上げ時に、メンバーの男性と女性が
「実は付き合ってます。結婚しようかと思ってます。」
なんてドラマのような事を言ってくれたら、それこそマネージャー冥利につきる、大成功のプロジェクトになると言えるのではないでしょうかね。

最近の男子は、草食系などと称され女性に興味がないそうなので、あまり効き目はないのかもしれないですが、この紅一点プロジェクト（別に紅二点でも三点でもいいのですが）、確実にプロジェクトの成功率が上がるような気がします。

ポイントは、マネージャーはその女性獲得レースに参戦しない事です。（笑）