キャリア&転職研究室|ITエンジニアのおにぎり|第27回 引き算の技術

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ひげぱわーって誰?

1964年生まれ/大阪在住

・小学校高学年あたりから、学業そっちのけで自分はプロのミュージシャンになるという妄想を抱き続ける。
・大学卒業間近に妄想力尽き就職する羽目になる際に適当にIT業界を選ぶ。
・知らぬ間に1000人企業の支店でシステム部統括マネージャと言われてしまう。
・現在社員数10名ちょいのベンチャー会社マネージャー

 童顔を隠すため無精ひげを生やし「若干不良が交じったイケてるアントンプレナー風」を演出してみるが昨今は年齢もあって普通におっさん化してるような気がする。
たいした技術力はないが、笑って仕事ができる環境を作り上げる技術力はきっとあるんじゃなかろうかと思ってるし、寧ろそれが本当の技術力と豪語したりしてる。

引き算の技術

 先週から遅ればせながらAppleのiPhoneを使っております。

 実は私が初めて自分の物として買ったコンピュータは、Apple Macintosh LC575という物でした。
  ハードディスクは160MB(ギガバイトじゃなくてメガバイト!)、メモリが確か18MBとかそんなやつ。

 一体型のずんぐりしたコンピュータで、たしか25万円ぐらいだったと思います。
安月給の若造プログラマーである私にとってはまさに清水の舞台から飛び降りるような決断を迫られるお値段。しかし、人にクリエイティブな発想をさせてしまうなんともいえない気持ちの良い操作性と機能に随分と魅了されておりました。
  この機械には、随分長い間お世話になってたなあ・・・お金も随分と使ったが(笑)

 その後仕事の関係でWindows PCを使うようになって20年。このたびiPhoneで、久しぶりにAppleのプログラムに触れてみたわけですが、やはりすばらしい。

 Appleの製品に触れていると、「引き算の技術」という言葉が頭に浮かんできます。
こんな事もあんな事も出来ますといった高機能を謳うことなくシンプルなデザインに1個のボタンと液晶画面のみ。
「非常にシンプルな"プラットフォーム"をご提供しますから、あとはユーザーの皆様が育ててください」
といわんばかりの潔さは、単純に低機能なだけではなく、一度足し算に足し算を重ねた"機能性"を十分に考慮した上で、じゃあその機能を実現する為に一旦 "無" の状態から設計をしてみましょう。といった大胆な引き算が行われ、その結果「シンプルだけど高機能」といった非常に "人にやさしい" 製品に昇華しているような感じがするのですね。

 日本でコンピュータシステムを作っていると感じるのは「足し算の技術だなあ」という事。
利用者も製作者も
「あの機能もこの機能も、ついでにこんな事もできるようになったらいいなあ」
とついつい欲張ってしまうんですね。
一見、高機能なすごい製品のように思うのですが、あまりに機能を足し算しすぎて結局「製品としての気持ちよさ」が損なわれているような感じがするシステムが多いような気がいたします。
  ガラパゴス携帯なんて揶揄されている日本の携帯なんかがいい例ですね。
あまりに機能が詰め込まれすぎて、結局いつまでたっても100%使っている感じがしないし、少し時間が経つと、結局ほとんど使ってない宝の持ち腐れ状態となっているのですね。

 よくよく考えてみると、会社の業務フローといったものも日本のIT企業は非常に複雑化しているような気がします。
「商品を作る→売る→お金を貰う」
というシンプルな商売にコンプライアンスとか承認とかなんだかんだと色々な理由付けがされ、結局非効率で手間ばかりかかる業務フローになっているのを色々な会社で見てきました。

 コンピュータという製品の本当の醍醐味は
「到底人間一人では出来ないことを"ボタン1つ"で勝手にやってくれる事」
なんですよね。
なんだか今の日本の企業のフロアで皆が朝から睨めっこしている情報システムは、あまりに高機能に統合しすぎて、もはや「ボタン一つで仕事を助けてくれる」システムではなく、毎日毎日、コンピュータシステムに人間が振り回されているような気さえします。

 Googleが最初に公開されたときの画面は、Googleというロゴと検索ワードを入力する箱と検索ボタンだけという非常にシンプルなものでした(未だにそうですよね)。
  流行のTwitterも、テキストを入力し"つぶやく"ボタンを押すだけであっという間に言葉が世界に広がるというものです。

 色々な事が複雑化し、殺伐としてイライラして振り回されているわりになんだか全然進んでいるような気がしない今の日本。

 コンピュータシステムだけでなく、仕事、政治、色々なものを一度「引き算」してから再構成して、"ボタンひとつ"で物事が動いていくような、そんなシンプルな世界になってくれないかな。
なんてことを考えてみたりするわけです。

(2010.4.26)

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