今年の夏はどうもジメジメとして外を出歩くのが辛い。
"お風呂は寝る前派"の私もこう暑いととりあえず家に帰ったらすぐシャワーを浴びる。
7月の中頃、タップリかいた汗を洗い流すべくその日はしっかりお風呂に入り、すっきりして缶ビール片手にソファに転がって、さあテレビでもっていう夜9時前に突然携帯電話がなった。
相手はお付き合いのあるメーカー系物流会社の部長さん。
「ひげぱわーの会社の近くで飲んでるのよ。まだ働いてるんだろ。飲みに来いよ。」
「あっ実はもう・・・」
「場所は××な。待ってるわ」ガチャ
有無を言わさぬその強引さとプライベートな時間に踏み込まれた事で若干イライラしながらも服を着替えてバタバタとその飲み屋に駆けつけた。
「お前なんか良い匂いするな。」
「いやっ風呂上りですよ。」
「なんや家帰ってたんか。すまんすまん。飲め。」
「電話した時にもう家帰ってるって言おうとしたら電話切ったでしょ!」
「そうだっけ、まあ風呂上りだからビールもうまいだろ。わはは。ママさんビール」
そこからは、全く仕事と関係のない話が延々と続く。
会社の噂話、不況の話、昔は俺もすごかった話。
別に苦痛ではない。お風呂上りで水分を欲している体になっているからビールもどんどんすすんで結構饒舌になってくる。
まっこんな日もたまにあっていいかとあきらめて飲んでいるといきなり仕事の話になった。
「とっいうわけでな、もう不況で親会社依存で仕事してても全然商売が増えないんですよ。」
「はいはい」
「で、今まで手作業でやってた別の仕事をシステム使って整備して拡張しようって話なの。」
「えっシステム作るんですか?」
「社長がそんな事いってた。」
「予算あるんですか?」
「ない(笑)でもやらないとジリ貧(笑)」
「私の会社でやろうと思ってるんですか?」
「そう。とりあえず提案書書いてよ。」
ありがたい事に仕事の依頼を受けてしまった。
まあお酒の席での話しなのでどこまで具体化するかどうかはわからないが、世の中不況の折、充分魅力的な案件ではある。
最初は、お風呂入った後のくつろぎタイムを奪いやがってまったく・・・と思っていたが、重い腰は上げてみるものである。
こんな時間外営業って会社は評価してくれるのかっていう疑問が湧く方もいるかもしれない。私の場合は少人数のベンチャー会社なのでこういった事はそれなりに理解してもらえる傾向にあるが、それでも
「そんなん営業っていうより、酒飲んで遊んでる仲良し倶楽部みたいなもんでしょ。」
なんていう嫌味を言われたりもする。
たしかに、こんな付き合いをする人との仕事というのはほとんど話しだけで具体化しなかったり、たまに仕事として成立しても冗長になりがちだったりする。
でも、私はそれでいいと思っている。というかそこに仕事の本質があるような気さえしている。
効率を求めた杓子定規なビジネス交渉より、仕事帰りでよれよれのスーツを着ているお客さんと風呂上りでサッパリしている営業マンが、酔っ払いながら夢を語るその瞬間にこそ仕事をしている実感と人脈が形成されていく手ごたえを感じている。
少し過激な発言かもしれないが、もし会社がそれを評価しないのならその人脈を自分という個に帰属させればよいだけの事だ。
というわけで、なんだかんだいいつつ私は私の風呂上りビールに付き合ってくれるお客さんをもっと増やしたいと思っています。
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