専用ブースのように囲まれた真っ白な机、お気に入りの写真をピン止めしてあるコルクボード、薄い大型液晶モニター、エルゴノミックデザインなキーボード、緑も鮮やかな卓上サボテンなんかも仕事で疲れた眼を癒してくれている。
……そうだ、今日はあのカフェでちょっと遅めのランチにしよう。
なーんて姿にあこがれてIT業界に入ってくる新入社員は今となってはいないと思うが、実際の所そんな素敵な職場環境はまずない。
大手のSIer(個別企業向けに情報システムを構築するシステムインテグレーター企業)なんかに就職したエンジニアなんかは、狭い机が並べられた所で、見たこともない混成部隊のエンジニア達と身を寄せ合って、1世代ぐらい古くなったパソコンの遅さにイライラし、人の熱気とパソコンの熱気にうんざりしながら仕事している人が多いのではないでしょうか?
そもそも、このIT業界の仕事は下請けとか丸投げという仕事のスタイルがずーっと定着していて
「A社の社内システムなのに、実際にA社で開発しているエンジニアは、子会社のB社の取引先のC社が集めてきたX社のエンジニア」
といった仕事の形態が普通にあったりします。
夢と希望に胸膨らませてきたX社に入社した新入社員も、わけもわからずA社の社内で半年も仕事していると、いったい自分がどの会社の社員で、誰に評価されていて、そしてどうやって技術力をあげていったらいいか? という目標を見失って、最終的には拗ねて若くして未熟なままフリーになってみたり、気持ちが続かず業界を変えてしまったりします。
悲しいですね。
最近、この業界の営業マンなんかは、こうやって何社も介在する取引に対して「商流」という言葉を使ったりしております。
「このプロジェクトの商流を確認するとC社、B社、A社ですね。」
みたいな使い方ですね。
実際私もこういった取引をする場合がままあるのですが、この物流と対をなす、商品売買で所有者が移転していく事を指し示す「商流」という言葉を使うのが大嫌いで、
「今回の商流は……」
みたいな発言を得意げに話す営業マン見たりするとちょっとムッとしてみたりしております。
エンジニアは商品じゃないっつーの。
……なんか、殺伐としたIT業界の片鱗を熱く語ってしまって、全然新入社員を歓迎するお話になってないのですが、是非この業界に入ってくる、若い新入社員達の人にはそんな悪しき業界の習慣の中に取り込まれず、エンジニアとしての誇りを持って、自分の技術力を"サービス"として提供していける独創的でかっこいいエンジニアになっていって欲しく思います。
秋葉原にやたら詳しいサブカルオタク、仕事そっちのけで「ONEPIECEという漫画は何故すごいのか!」を一日中語る漫画オタク、仕事できるのに「俺コンピュータ嫌いやねん」とかいいながら休日はロードーレーサータイプの自転車乗って走ってばっかりいるやつ……etc
この業界には「礼儀正しいビジネスマン」という目で見ると、奇妙で(時には引くほど奇妙で)理解不能なエンジニアが結構います。
でも一緒に仕事しながら語り合ってみると、すごく味があって愛すべき人達もいっぱいいます。
私は、そんな社会規律とは無縁で、突拍子も無い発想を持った奇妙なエンジニアに出会うと嬉しくてたまりません。
いつかどこかで、とっても素敵なエンジニアになった貴方達と専用ブースの白い机の前でエルゴノミックキーボードをカチャカチャいじりながら
「今日はちょっと遅めに出て、あのカフェで軽くランチしようぜ」
「オッサンなにカッコつけてるんすか! 忙しいんだから、ほか弁買ってきなさいよ!」
なんて会話しながら一緒に仕事できる事を期待しています。
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