キャリア&転職研究室|ITエンジニアのおにぎり|第36回 昭和レトロサラリーマン

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ひげぱわーって誰?

1964年生まれ/大阪在住

・小学校高学年あたりから、学業そっちのけで自分はプロのミュージシャンになるという妄想を抱き続ける。
・大学卒業間近に妄想力尽き就職する羽目になる際に適当にIT業界を選ぶ。
・知らぬ間に1000人企業の支店でシステム部統括マネージャと言われてしまう。
・現在社員数10名ちょいのベンチャー会社マネージャー

 童顔を隠すため無精ひげを生やし「若干不良が交じったイケてるアントンプレナー風」を演出してみるが昨今は年齢もあって普通におっさん化してるような気がする。
たいした技術力はないが、笑って仕事ができる環境を作り上げる技術力はきっとあるんじゃなかろうかと思ってるし、寧ろそれが本当の技術力と豪語したりしてる。

昭和レトロサラリーマン

 学生の頃、企業に勤める人生というのはどんな人生だろうかと考えた事がある。
父親・親戚が教職についている者が多い、いわゆる先生一族だったのであまり実体がわからず、たぶん小説やマンガが情報源だったと思う。そんな数少ない知識で描いたサラリーマン像というのはだいたいこんな感じだった。

・先輩に仕事と遊びを教えてもらいながらやんちゃする20代。
・現場のリーダーとかになって飛び回りながら体制批判なんかもする30代。
・中間管理職とかになって会社の思惑と客との板挟みになる40代
・部長とかになって昼はフロアの上座にふんぞり返り、夜は銀座たら北新地でお酒を飲む50代
・会社の相談役かなんかで、お茶をすすりながら昔話を聞かせ定時出勤退社する60代
 (取締役→社長の想像をしないあたりが自分らしい 笑)

とまあ、なんというか非常にステレオタイプというか、植木等の「無責任シリーズ」的というか、逆に昭和ノスタルジーに溢れていて斬新というか、そんなサラリーマン像を想像していた。

 40代半ばを越え、さて、はたして私が送ってきたサラリーマン人生というのはそんな典型的なサラリーマン像であったかというとまったく違う。
 いや確かに、想像していた部分と重なる部分も大いにある。夜な夜な安酒場で先輩社員と上司の不甲斐なさと優柔不断さにイライラして酔っぱらって愚痴ってみたり、以前所属していた会社では統括マネージャーと言われ、上座に座って会社と客の板挟みにあったりしながら
「うーむ、これぞ中間管理職の醍醐味だのー」
などとマゾヒスティックに喜んでみたりした。

 しかし、私が描いていたサラリーマン像にはそんなストレスや愚痴の中にも、大前提として一緒の企業で働く仲間、同じ釜の飯を食ってる同志!みたいなまとまりを想像していた。
取っ組み合いの喧嘩をしても、どこかの部署でバカをやって大損して数人左遷されても
「お前らまったく無茶するなあ。まあ2、3年頭を冷やして帰ってこい。」
「いや、おれたち死ぬまでバカやりますから」
「うはははは、それも面白い。」
的な、バカやったら怒るが、でも笑っていられる家族のような一体感を想像していたわけです。

 残念ながら今の企業にはそんな"根底に流れる仲間意識"というものがどんどん希薄になっていっているような気がする。株主、ステークホルダー、コスト、効率が重視され、人間のつながりはどんどん希薄化し、人間が作り上げる企業というよりは、企業という枠の中でその企業という架空の実体を存続させる為に、資材や物資と同じ扱いで人が循環しているだけの企業が多くなっているような気がして仕方がない。

 最近、インターネットはもとより、私の周囲でさえリストラ、非正規雇用、雇い止めといったまさに"殺伐"とした話題が現代の企業には付きまとっている。
それが、現代資本主義上仕方のない事、競争社会において勝ち組負け組が出るのは世の摂理という考えのもと、人間の生きざまの一つの真理としてまかり通っているとするならば、それはあまりにも尊厳を欠いた非常に不健康な事のように感じる。

 今私の斜め前には、50歳半ばで仕事がないからと単身赴任を命じられ、慣れない仕事に怒られながら、たどたどしい手つきで毎日不安そうな表情でやっておられる方がいる。

 私と同年代の飲み友達の女性管理部課長は、毎日酒を飲みながらストレスに満ちた会社の愚痴に終始し、最後に
「もう辞めていい?50歳であの席に座っている自分は想像できないわ。養ってくれる?」
と私の背筋に鳥肌を立てる。

50歳を越えて今年の3月末にリストラされた私の友人は失業5ヶ月目となる。

 最近、この手の話を考えていると、トム・クルーズが主演してた、「ザ・ファーム 法律事務所」、キアヌ・リーブス、アル・パチーノが出演していた「ディアボロス」という2本の映画を思い出す。
 それぞれ、若い弁護士がある法律事務所に破格の待遇で家族同然に迎え入れられるが実はその法律事務所は・・・というサスペンス映画であるが、この映画の前半部分の家族のように迎える法律事務所のシーンがよみがえってくるのである。
 個人の能力が問われ、弁護士同志激しい競争を強いられるその法律事務所も、迎え入れる時は家族同様に迎えるというシーンが非常に印象的だった。

 もはや日本は昔の高度経済成長時代のような、右肩上がりの時代は来ないのかもしれない。
その中で、企業が生きていくためには容赦ない効率化と競争が強いられるのかもしれない。

ただ、そんな厳しい時代だからこそ、それこそ「植木等の無責任シリーズ」のような、仲間同志で破天荒な事をしても笑って怒られる、そんな昭和レトロなサラリーマンが集う企業という形を模索してみるのもいいのかもしれない。

(2010.9.13)

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