医薬・バイオ・食品
食品衛生監視員
- 専門家になりたい
- 組織や社会に影響を与えたい
- 物事を分析・研究・探究したい
どんなお仕事?
■食品衛生監視員は、食品衛生法などの法令に基づいて食に関する調査・指導を行う職業です。港や空港で輸入食品の安全監視や検疫などを行ったり、飲食店に食品の正しい扱い方について指導したりしながら、食の安全や衛生が守られるように全国各地で活躍しています。特に、流通している食品の大半を輸入に頼っている日本では、人々の安全・健康を守るために重要な役割を担っています。
仕事内容をもっと詳しくDetail
食品衛生監視員として働くには、「厚生労働省に属する国家公務員として働く」「各自治体の保健所などで地方公務員として働く」といった2つの選択肢があります。それぞれの働き方の詳しい仕事内容をご説明いたします。
◇国家公務員になった場合
[1] 輸入食品監視業務
食品を営業目的で輸入する場合、全国32か所の検疫所にある輸入食品届出窓口に届出書を提出することが義務付けられています。届出書の記載事項を確認し、日本の食品衛生法に適しているかどうか、必要な検査が行われているかどうかなどをチェックするのが食品衛生監視員の仕事です。使用してはいけない添加物が含まれていないか、製造過程が日本の規制に則っているかなどを審査し、必要に応じて輸入業者に対して指導を行います。直接現地の倉庫へ赴き、輸入食品の確認やサンプリングを行うモニタリング検査をすることもあります。
[2] 検査(試験分析)業務
検査業務は微生物検査と理化学検査の2種類があります。微生物検査では寄生虫や病原微生物の検査を行い、理化学検査では残留農薬、残留動物用医薬品、添加物、有害物質の検査を行います。また、検疫所では海外からの研修生の受け入れや海外への講師派遣なども行っており、技術協力・普及にも貢献しています。
[3] 検疫衛生業務
検疫衛生業務とは、海外から病原体が持ち込まれるのを防ぐため、海外からの来航船、航空機、乗組員、乗客に対しての検疫を実施する業務です。必要に応じて病原体検査を行ったり、万が一患者を発見した際には隔離や消毒などの措置を講じたりもします。検疫所は13か所の本所、14か所の支所、83か所の出張所に分かれており、その全てで検疫衛生業務が行われています。さらに、動物からヒトに感染する感染症を防止するために、動物の輸入届出に対する審査なども担っています。
◇地方公務員になった場合
[1] 営業施設の許可業務
飲食店の営業や食品製造・販売を行うためには、営業許可の届け出が必要です。こうした許可申請があった際に、基準を満たしているかを審査するのが食品衛生監視員の役割です。実際に現場を訪問し、食品衛生法がきちんと守られた環境かどうか調査を行います。
[2] 営業施設の監視・指導
食品衛生監視員は、営業施設の設備や衛生状況について調査を行います。基準通りに製造されているか、食品の取り扱いが適切であるかどうかなどを監視し、必要に応じて指導を行います。
[3] 食中毒などの検査
営業施設などで食中毒や食品事故が起こってしまった際に、関係者や医師などと協力しながら調査を行い、営業停止処分などの処置をとります。被害の拡大や再発を防止するために様々な対策を講じます。
[4] 食品検査
営業施設から食品(検査用検体)のサンプリングをし、規格や基準に準拠しているかを確認する業務です。違反が発覚した場合は、販売禁止・廃棄などの処置をとり、市場に流通しないよう対処します。
[5] 食品に関する苦情や相談への対応
消費者から寄せられる苦情や相談への対応を行うのも食品衛生監視員の役割の1つです。トラブルが起きた際は原因調査を行い、対策を立てます。飲食店営業者や施設の管理者などを対象に、食品衛生に関する知識普及のための講習を開くこともあります。
やりがいは?Worth
★人々の生活を支えている大切な職業
食品の安全を守ることは、人々の健康や生活を守ることに繋がります。表舞台で活躍する場面は少ないですが、陰で人々を支える大切な職業です。責任を伴う仕事ですが、その分やりがいを感じられます。
★公務員として働けるので安定している
食品衛生監視員は国家公務員、もしくは地方公務員として採用されます。給料や諸手当も充実しているので、長く安定して働くことができるのも魅力の1つです。また、生活に不可欠な「食」に関わる仕事なので、長く安定して働き続けることが可能です。
必要な能力・スキルAbility & Skill
●食品に関する知識
●検査技術
●コミュニケーション能力
●判断力
食品の安全性を担保するうえで、食品に関する知識は不可欠です。また、様々な検査を行うので検査技術も磨きましょう。何か問題があったときには適切な対処ができるように、冷静に判断する能力も必要です。輸入業者や飲食店などと関わる機会もあるので、コミュニケーション能力も求められます。
給与の目安は?Emolument
■年収 470万円~900万円
食品衛生監視員の給与は、国家公務員の場合は平均年収約730万円、地方公務員の場合は平均年収約680万円で、初任給は月給約22万円です。公務員かつ大きな責任の伴う職業であることから、平均年収は高めに設定されています。公務員なので諸手当も充実しており、安定したボーナスにも期待ができます。
仕事で関わるヒトRelation
●食品関係業者
●輸入業者
●飲食店経営者
●地域の消費者
どうやったらなれる?To become
食品衛生監視員は任用資格であり、以下の3つのうち、いずれかを満たす公務員が採用試験に合格した上で、厚生労働大臣もしくは都道府県知事から任命されることで得られる資格です。
1. 厚生労働大臣の登録を受けた食品衛生監視員の養成施設において、所定の課程を修了した者
2. 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の資格を有する者
3. 高等学校・専門学校・大学のいずれかにおいて医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、又は農芸化学の課程を修めて卒業した者
4. 栄養士で二年以上食品衛生行政に関する事務に従事した経験を有する者
試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験では筆記試験、二次試験では個別面接が行われます。
試験は受験年度の翌年4月1日時点で22歳~29歳の方のみ受験することが可能です。また、日本国籍を有していない人や、国家公務員法の規定により国家公務員になれない人(犯罪を犯した、懲戒免職処分を受けたなど)は受験資格がありません。