医療・医療機器・福祉
臨床検査技師
- コツコツやるのが好き
- 専門家になりたい
- 人の役に立ちたい
どんなお仕事?
国家資格を持つ医療技術者として、病気の診断や治療に必要な検査を行うお仕事臨床検査技師(MT:Medical Technologist)は、検査に特化した医療技術者として1978年に誕生した職種です。それまでは主に医師が臨床検査も担っていましたが、検査技術の高度化に伴い、分業化される形になりました。検査技術が日々進化する現在、根拠に基づいた適切な診断や治療をおこなうためには正確な検査データは欠かせません。
臨床検査技師は病気の診断や治療・健康の維持に必要な各種検査を実施し、その結果を医師に提供する、いわば検査業務のスペシャリストといえるでしょう。昨今メジャーになったPCR検査も臨床検査技師が実施しています。
仕事の場は病院の検査部や検査・検診センター、保健所の他、医療に関する機関がほとんどです。各機関で対応する業務内容や求められるスキルは所属する機関により異なってきます。
また医薬品の情報提供を行うMRや、検査機器のデモンストレーションを担うアプリケーションスペシャリストなど、製薬会社や医療機器メーカーに入社するケースも珍しくありません。
他にも大学での研究職や教員、中には公務員試験を受けて保健所など行政機関で働く方もいます。このように活躍できるフィールドが広いのも臨床検査技師の大きな特徴です。
仕事内容をもっと詳しくDetail
関わる業務はまず「検体検査」と「生体検査」の2種類に分けられます。いずれも医師の診断や治療方針に大きく影響する重要な検査です。時に患者さんが自覚症状を訴える前に異常を発見できるなど、検査のプロとして病気の早期発見や治療にも貢献しています。
ただし放射線を使用するレントゲンや、口や鼻・肛門からカメラを挿入する内視鏡検査はそれぞれ管轄が違うため、臨床検査技師は行えません。
【主な仕事の流れ】
[1]検体検査
患者さんから採取した尿や便・痰などの排泄物や血液・髄液・組織の性状や成分を検査し、病気の特定や健康状態のチェック、病気の経過観察などが行える検査です。
[2]生体検査(生理機能検査)
心電図や超音波(エコー)・磁気共鳴画像(MRI)など、医療機器を用いて患者さんの身体異常の有無を直接調べる検査です。比較的馴染み深い聴力検査や味覚・嗅覚検査も生体検査に含まれます。
[3]モニタリング/生体検査担当
手術の場合モニタリングを担当する場合もあります。
[4]検査機器の立ち上げや点検など/生体検査担当
患者さんや医師が安心かつ正確なデータを精査できるよう、日々点検を行うことも臨床検査技師の大切な業務です。また医療技術の進歩に伴い、医療現場で使われる医療機器も進化するため、最新機器を使いこなす技術も求められます。
[5]検査試薬の管理
臨床検査業務で使用する膨大な試薬の在庫数や毎月の入庫数、LotNo.や有効期限、使用開始日・終了日などを台帳に記載し管理します。
[6]検体の仕分け/検体検査担当
患者さんから採取した血液や尿・組織等、種類別に分注や遠心分離などを実施した後、検査機関に送る準備をします。
やりがいは?Worth
★検査により病気を発見し、人の命を救える
★活躍できる場所が多くある
★チーム医療の一員として医療に貢献できる
★医師から厚い信頼が得られる
必要な能力・スキルAbility & Skill
・医学・科学に対する探求心
・几帳面さや正確性
・客観的な判断力
・観察力
・記憶力
・細かい作業が得意など手先の器用さ
・コミュニケーション能力
・臨機応変な対応力
臨床検査技師はチーム医療の中で検査のプロとしての活躍が求められるため、常に新しい知識や技術を習得し、院内に積極的に発信していく必要があります。
また、日々検体を顕微鏡などで細かく観察し、異常の有無を見つけなければならないため、観察力が優れていなければなりません。そして検体検査・生体検査いずれにおいても「何かがおかしい」と気付ける感覚をもっている事は、非常に重要なスキルといえるでしょう。
データや検査機器を管理できる緻密さ、そしてささいな異変に気づく鋭い感覚は、臨床検査技師としてどちらも必要不可欠な能力といえます。
給与の目安は?Emolument
年収300万円~500万円前後
※所属する機関の規模や、所在地が首都圏か地方かによって差がありますが、臨床検査技師の給与は医療・介護関連職の中でも薬剤師や診療放射線技師・看護師に次いで高い水準といえます。
また病院や検査センターに比べると、医療系企業で働く治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)、アプリケーションスペシャリストは給与が高い傾向です。
仕事で関わるヒトRelation
・医師
・患者
・看護師
・各種検査機関担当者
・診療放射線技師
・医療機器メーカー担当者
・治験コーディネーター(CRC)
・臨床開発モニター(CRA)
どうやったらなれる?To become
臨床検査技師になるには、臨床検査技師国家試験に合格する必要があります。ただしその前に受験資格を得なければなりません。
最も一般的なのが、大学・短大・専門学校の臨床検査技師養成課程(臨床検査学科・検査技術科学科など)を修了する方法です。まず短大・専門学校に通って受験資格を得るメリットは、最短ルートで臨床検査技師国家試験に臨める点といえるでしょう。
一方、大学に通ってから受験資格を得るのは、より高度で豊かな知識を得られる点がメリットといえます。また社会人から臨床検査技師を目指すなら、夜間制の専門学校に入る事をおすすめします。
いずれにしろ学校によるカリキュラムの違いや合格率の差もあるため、将来自分がどんな臨床検査技師になりたいかを考慮したうえで、どのルートを選ぶかをしっかり定めるとよいでしょう。
試験は年に1回、2月に実施されますが、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県の9都市のみとなるため、いずれかの地で受ける必要があります。
なお試験問題は、医用工学概論や公衆衛生学を始めとする9つの科目から全200問出題されます。120点以上が合格基準で、合格率はおよそ70~80%程度になります。新卒者に比べると既卒者の合格率は1/4程度とかなり低いのが特徴です。現役合格を目指すのはもちろん、就職に有利で比較的取得しやすい超音波検査士や、心臓リハビリテーション指導士など民間資格を取得しておくのもおすすめです。
【関連する資格】
・臨床検査士(一級・二級)
・緊急臨床検査士
・認定輸血検査技師
・認定臨床微生物検査技師
・消化器内視鏡技師(第一種・第二種)
・超音波検査士
・細胞検査士
・健康運動指導士
・心臓リハビリテーション指導士
・日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
・認定サイトメトリー技術者
・日本CRO協会CRA教育研修修了認定
・日本SMO協会公認CRC
・日本臨床薬理学会認定CRC
・CCRP(SoCRA)
・SMONA公認CRC
・JSCTR認定GCPパスポート/GCPエキスパート
・MR認定試験