建築・土木・不動産
土地家屋調査士
- 専門家になりたい
- 人の役に立ちたい
どんなお仕事?
土地家屋調査士とはその名の通り、土地や建物といった不動産の調査・測量を行う専門家として、主に不動産登記の際に活躍する職業です不動産登記は、物理的にどのような不動産なのかを証明する「表題部」と、誰がどのような権利を持っているのかを証明する「権利部」に分かれており、「表題部」の登記支援を担当するのが土地家屋調査士です。「権利部」の方は司法書士が担当します。あまり耳にすることのない業種ではありますが、土地や建物などの重要な財産を守る上で大切な役割を担っています。
仕事内容をもっと詳しくDetail
不動産登記に必要となる、不動産に関する「大きさ」や「形」などの物理的な状況を正確に測量し、登記代行などを行います。不動産の測量までであれば測量士でも行うことが可能ですが、登記に関する業務は土地家屋調査士の独占業務となっています。
[1]土地や建物の調査・測量
土地の売買などで所有地を分けたり、建物を新築したりして不動産の形や大きさが変わった際には、不動産登記を変更・作成する必要があります。登記に必要な数値を把握するため、不動産の調査・測量を行います。不動産登記は公に開示されるので、正確な情報を登記しなくてはなりません。既存の登記書類や公的な地図を確認した上で、現地でミリ単位の測量を行います。案件によっては、明治や昭和など過去の時代に作成された地図を参考にする場合もあります。
[2]不動産の表題に関する登記の申請手続き代行
不動産の持ち主に代わって不動産登記表題部の申請を行います。この代行業務は土地家屋調査士のみが行うことができる独占業務です。不動産の持ち主が自分で申請することも可能ではありますが、正確な図面や書類を用意しなくてはならず、専門知識のない素人には難しい作業です。そのため、土地家屋調査士に依頼されるケースがほとんどです。不動産を調査・測量したデータをもとにした図面や地図などの必要書類作成から、法務局への届出まで一貫して業務を請け負います。また、表題登記が受理されなかった場合に不服を申し立てる「審査請求」を代理で行う場合もあります。
[3]筆界特定・ADRの代行
土地によっては、隣接する土地との境界線(筆界)が曖昧になっている場合があります。その際に、筆界がどこになるのかを判断してもらう「筆界特定」の申請代行を行うのも土地家屋調査士の仕事です。申請後は筆界特定登記官や筆界調査委員会が土地を調査し、筆界を特定します。
また、筆界特定の結果に納得できないなどの理由でトラブルに発展する場合があります。そこで活用されるのが「裁判外紛争解決手続き(ADR)」です。裁判になる前に話し合いで解決するための制度で、裁判に比べて費用や期間を大幅に削減できるため需要が増えています。ADR認定を受けた土地家屋調査士は、弁護士と協力することで土地の筆界に関するADRのサポートを行うことが可能となります。
やりがいは?Worth
★土地家屋調査士が正確に不動産の状況を登記していることで、不動産取引の安全性が確保されています。人々の大切な財産を守る公共性の高い業務です。責任も重くなりますが、その分やりがいも大きくなるでしょう。
★不動産の表題登記は法律で定められている義務なので、独占業務を有している土地家屋調査士は将来仕事がなくなる不安の少ない職業です。また、近年社会問題となっている空き家問題の解消にも土地家屋調査士が必要となるため、社会的ニーズも高まっています。
★地震や津波などの自然災害が起こり、土地の境界が崩れてしまった場合にも土地家屋調査士が活躍します。土地の境界を確認・復活させることが土地整備の第一歩となるため、復興に向けた大切な役割を担っています。
必要な能力・スキルAbility & Skill
●計算力
●コミュニケーション能力
●体力
細かな数値・データを扱う土地家屋調査士にとって計算力はとても重要な能力です。不動産という価値や重要度の高い案件を担当するため、数字のズレが大きな問題に発展してしまいます。依頼者や関係者の立ち会いのもと測量を行ったり、申請における依頼者とのやり取りをしたりといった業務もあるため、作業を円滑に進めるためのコミュニケーション能力も大切になります。また、現場に出向いて作業することも多いため、体力が必要な仕事でもあります。
給与の目安は?Emolument
年収400万円~700万円
経験や実績、所属する企業によっても変動しますが、土地家屋調査士は比較的給与水準の高い職業です。独立や企業をした場合には、さらに高い年収を目指すことも可能です。
仕事で関わるヒトRelation
・不動産の持ち主
・司法書士
・行政書士
・弁護士
・建築士
どうやったらなれる?To become
土地家屋調査士は国家資格であるため、国家試験に合格することで資格を得ることができます。独立を目指す人が多い業種ではありますが、専門的な知識や経験が必要となるため、資格取得後はまず企業や事務所に所属して補助者として経験を積むのが一般的です。
●土地家屋調査士試験について
受験の条件はないため誰でも受験することが可能ですが、合格率は10%前後と非常に難易度の高い試験です。筆記試験と口述試験に分かれており、筆記試験は午前・午後に分かれています。測量士、測量士補、一級・二級建築士といった関連の資格を所有していると午前の部の試験が免除されるため、比較的取りやすい測量士補の資格を取得してから試験を受ける人も多いようです。