医療・医療機器・福祉
臨床心理士
- 人と接するのが好き
- 専門家になりたい
- 人の役に立ちたい
どんなお仕事?
■臨床心理学をもとに、相談者(クライエント)の心の問題の解決をサポートする仕事 社会が多様化する中で、心の問題を抱える人も増加傾向にあります。こうした問題に相談や支援を行うプロフェッショナルが臨床心理士です。「臨床心理士」とは文部科学省認可の財団法人・日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格を持つ人のこと。民間の資格ではありますが、例えばスクールカウンセラーに従事する際に求められるなど、臨床心理士資格が必要とされる場面は増えてきています。 精神科医も同じく心の問題を扱いますが、その違いは精神科医が医学にもとづいて、診断・(薬などを)処方できるのに対し、臨床心理士はあくまでも臨床心理学にもとづいた心理テストとカウンセリングを通じて、クライエントの問題にじっくり向き合うということ。ケースによっては精神科をはじめ、各関連施設とも連携をとり、よりよいサポートを行います。ちなみに臨床心理士の資格は5年毎に更新の審査があり、論文・学会発表や研修への参加が必須。常に向上心が求められる仕事です。仕事内容をもっと詳しくDetail
【主な仕事の流れ】 [1]臨床心理査定(アセスメント)/クライエントとのお話をじっくり伺いながら、抱えている心の問題をひも解き、今後の方針を決定するプロセスです。困っていることは何か、今までどんな環境・状況にいたのかを対話を通じて把握。時には各心理テストも交えて、今の問題との接点を探ります。そして、臨床心理的療法が適当なのか、医療機関との連携が必要なのか、周囲の環境への働きかけを行うべきなのか…など、どんな形が最善のサポートかを、クライエントと話し合いながら考え、今後の方針を決定します。 [2]臨床心理面接/実際に心の問題解決に踏み込むプロセスです。ここではクライエントとの信頼関係の構築が鍵となります。相談者の状況に応じて、臨床心理学的技法も活用しながら、心のケアを行います。臨床心理学技法は様々ありますが、クライエント中心療法・ゲシュタルト療法・行動療法・精神分析療法・認知療法・家族療法・箱庭療法・遊戯療法・グループ療法などがよく用いられます。どんなアプローチにも共通しているのは心理士が一方的にアドバイスをするのではなく、クライエント自身が問題解決の方法を見つけられるよう臨床心理士がサポートしていく点です。 [3]臨床心理的地域援助/クライエント本人への臨床心理アプローチでは解決が難しい問題もあります。当人の了解を取った上でクライエントが属するコミュニティへの働きかけを行うこともあります。例えば児童の場合は学校の先生・家族、社会人であれば職場・家族・地域社会と連携し、問題解決を図ります。またメンタルケアの必要性についての普及活動や情報提供も重要な仕事です。 [4]活躍の場/臨床心理士は次のような多様な分野で活躍しています。 ◇教育分野…小・中・高校のスクールカウンセラー、各種教育相談機関等。 ◇福祉分野…児童相談所、女性相談センター、身体障害者福祉センター、児童福祉施設、更生相談所、高齢者施設等。 ◇医療・保健分野…精神科・心療内科・小児科等の臨床心理室、保健所、精神保健福祉センター、リハビリテーションセンター、保健センター等。 ◇司法矯正分野…少年鑑別所、少年院、家庭裁判所、刑務所、警察関連の相談室、保護観察所等。 ◇労働・産業分野…企業内相談所、ハローワーク、障害者職業センター等 ◇民間機関…開業心理相談室、カウンセリングセンター等
やりがいは?Worth
★助けを必要としている相談者の力になれたときは、いいようのない喜びを感じます。 ★子供さんや精神的疾患のある方がクライエントの時は会話を通じて状況を把握することが難しい場合もあります。相手の緊張をほぐしたり、子供の場合は一緒に遊んだり、まずは自分のことを話したりと工夫を重ねることで、徐々に相手を理解していく過程に臨床心理の奥深さを感じます。 ★ロールシャッハテスト・WAIS・SCT・発達段階検査等の心理テストは結果を読み解くのに熟練が必要。読解の精度が上がれば、それだけ確実な療法のアプローチができるようになり、自分の成長の実感にもつながります。
必要な能力・スキルAbility & Skill
●思いやりの心 ●秘密を厳守する強い意志、倫理観 ●向学心・知的探究心 ●人間的魅力・人格者 ●強い精神力の持ち主であること 臨床心理士にはクライエントの情報に関する秘密厳守が求められます。社会的に与える影響も大きいので常に倫理的観点を失わないことが重要です。他人の心に寄り添う仕事なので思いやりの心、優しさは欠かすことができません。また心の問題を抱えた相談者は悩みを打ち明ける相手かどうかを慎重に見極めていますから、包容力・共感性・感受性のある人間的魅力も必要になります。クライエントの心の傷に直面して共感・理解しながらも、心理士自身がその傷に飲み込まれないためには、強い精神力が必須。臨床現場に就いてからも5年毎の資格更新があり、臨床事例の研究、論文発表、各研修への参加が求められるので、向学心がなければ厳しい環境です。
給与の目安は?Emolument
■年収 200万~1000万円 ※非常勤として掛け持ちをするケースも多く、その場合は時給1000~1万円が目安です。
仕事で関わるヒトRelation
●クライエント(相談者) ●学校・職場・地域社会の関係者 ●医師・児童福祉施設等、各医療・福祉関係者
どうやったらなれる?To become
まずは財団法人・日本臨床心理士資格認定協会が主催する「臨床心理士」資格試験に合格することですが、この試験には受験資格が必要になります。受験資格を得るには、指定された大学院(I種・II種)を修了すること。I種の場合は修了時点で受験資格が得られますが、II種の場合は修了後さらに1年以上の心理臨床経験が必要になります。例外として医師、諸外国で同等の教育機関を修了した人等は受験資格が異なります。 【関連する資格】 ●臨床心理士 ●臨床心理士の指定大学院(I種・II種)修了 ●産業カウンセラー ●キャリアカウンセラー