あれでもないこれでもないと探しながら、数百件目でようやく目に留まったのが「外資金融IT」の文字。理由は、通訳スクールで一番わけがわからなかったのが金融とITだったからなんです。 ビジネス通訳を勉強していたので、今まで新聞すらまともに読んだことのなかった私が英字のビジネス誌を毎週読み、どうにか一番上のクラスまで進級できました。ところが上級クラスともなると周りは皆現役でビジネス通訳や翻訳をやっている人たちばかり。全く歯が立ちませんでした。中でも、どんなに頑張っても理解できなかったのがITと金融の分野で、これはもう、それ系の会社に入って勉強するしかないなと思っていたところでした。まさか二つともくっついているところがあるとは(笑)。
思い切って応募したはいいけれど、面接ではさあどうしよう。金融もITもさっぱりわからない。できることといえば簡単な英語の翻訳と、ゴスペル教会の活動で独学で覚えたWebサイト制作やチラシ制作くらい。だから正直に言いました。「金融もITも全くの初心者ですが、それらを勉強したくて応募しました。私には英語とチラシ作りとWebサイト作りしかできません、それでもよければ何でもやります。金融とITも頑張って勉強していきます」って。
そう熱意を伝えると、驚くことに面接官は、「いやいや、今ちょうどIT関係のスタッフしかいなくて、製品のパンフレットや日本支社のWebサイトを作れる人間がいないところだったんだ、ちょうどいい」と、即マーケティング担当のインターンとして採用してくれて2月から働き始めました。さらに大学を卒業と同時に4月からそのまま正社員になれたんですよ。
|
卒業式にて。大学には4年間通ったが、黒人教会やFAFAの活動で休学も多く、パートタイムで通っていたので、AAという短大卒相当の単位分で卒業した(写真提供:ナナさん) |
後から知った話では、その会社はそれまでインターンどころか新卒すら採ったことがありませんでした。中途採用の応募条件を見ると、なんと「大卒で金融かITを専攻していること」。私は例外中の例外だったわけです。こういうことってあるんですね。道なきところにも頑張れば道は開かれるというか。しかもゴスペルのために覚えたチラシ制作やWeb制作技術が、何一つ無駄になっていない。「神様、まだ私を見離していませんでしたね」と心の中で何度も叫びました。
持ち前のガッツと行動力で、学歴というハンデを乗り越え就職できたナナさん。いよいよ会社員生活がスタートしたが、ほどなくジレンマを抱えるようになる。 |