2007年のダカールラリーのエントリーがオープンになったと同時に、テクノスポーツが申し込んでくれていたんですね。その時点では僕は出るとも出ないとも何も言ってなかったんだけどね(笑)。
そのテクノスポーツは、日産の車を改造してお客さんを乗せる、つまりダカールラリーに参加したいというプライベーターを乗せる車を提供することを商売にしている会社だから、ウチの車はダカールラリーでちゃんと走れますよということをアピールしなきゃならない。でも2006年のダカールラリーではけっこうマシントラブルが出て、僕もリタイヤしちゃった。
だから2006年のダカールラリーの後、テクノスポーツはチュニジアやモロッコのラリーに出場して、ある程度はテストをしてきたらしく、「マシンが相当よくなってきたんでその確認をしてほしい。2007年のダカールラリーで篠塚がウチのマシンに乗って走ってくれれば、世界的にアピールできるから出場してほしい」ということなんです。
それと前後するように、もうひとつオファーが来ました。東洋タイヤというタイヤメーカーからです。東洋タイヤは今までオフロードラリー用のタイヤは作っていなかったのですが、それを開発して市販したいと考えてたんです。タイヤはしっかりした知識があって経験もあるドライバーが一緒に開発しないと、いいタイヤは作れないんですね。それで、僕にと。
車がある、タイヤもある。ちょっと予算も用意してくれるということになった。そうなればGO!でしょう。あとは、実際走るためにはもっとお金を集めなきゃいけなくて、夏に日本に帰ってきて(注2)、平身低頭してスポンサー回りをしました。僕は出会う人たちに本当に恵まれていると思いますね。感謝の一語に尽きます。なんとか参加費用のメドがついたので、2007年のダカールラリーに出場することを決めたというわけです。
11月の始めに、イタリアでテスト走行があって、その時に、東洋タイヤのタイヤも初めてテストしてみました。あともう一回テストして、それで車とタイヤのテストは終了、あとは本番に臨むという感じです。
今回の目標は完走です。確実に走ってゴールして、しっかりとタイヤのデータも取る。それが今回の僕のプロドライバーとしての仕事ですから。 |