通常、未経験の異業界・異業種への転職が可能なのは20代前半までで、30代後半は転職そのものが難しくなる上、キャリアチェンジはさらに困難を極めるといわれています。ではなぜ永島さんの場合は、それが可能になったのでしょうか。取材を通して3つの理由が思い浮かびました。
1つ目は、その都度目の前の仕事に全力で打ち込み、スキルや能力を身につけ、結果を出してきたこと。今回はカナダ在住時代に身につけた英語力と旅行会社時代に培った営業力が武器になりました。
2つ目は、人間力。多くの人は30代後半で全くの畑違いの業界で働くことにはかなりの抵抗感をもつのではないでしょうか。しかし永島さんは、少しの不安も葛藤もなかったようです。その、未経験業種でもなんとかなると思える前向きさや楽観性は、これまでのキャリアで身につけたスキル・能力への自信に裏打ちされたものであるということは言うまでもありません。また、誰にも物怖じせず、自分の思いをはっきりと伝えられるコミュニケーション力もこれまでの経験により獲得した力です。
3つ目はタイミング。企業が人材バンクを通じて応募を開始したとき、ちょうどその求人が永島さんの目に留まりました。応募資格が不動産業界の経験が不問だったことと、ほかに強力なライバルとなる応募者もいなかったこともプラスに作用しました。
そして面接でこれまでの経験で身につけた力は未経験の不動産業界で働く上でも必ず役立つはずだとアピールした結果、応募からわずか2週間で採用となりました。
目の前の仕事に全力で取り組み、あきらめなければ、これほど相性のいい企業に巡り合え、短期間で転職できることもある──。今回の永島さんの転職体験は確かにレアケースかもしれませんが、その中でも学べることはたくさんあると思います。
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