そうして送られてきたスカウトメールに対して、上原さんが応募書類を出そうと決めたのは全部で4社。そのうちのひとつ、人材バンク「アローヒューマンリソース株式会社」から紹介された不動産関連会社に興味を引かれた。条件としては、もちろん管理部門を担当させてくれること、年収も希望額をクリアしていた。
そこで返信すると、すぐに返事が返ってきた。迅速なレスポンスは、その人材バンクがしっかりした会社だという印象を与える(※2)。そこで、まずは面談をすることにした。日を置かず、アローメイツを訪れてみると、村松潤氏が対応してくれた。人当たりのよさそうな紳士という印象。
「コンサルタントの村松さんは同年代の方でしたので、気軽に話をすることができました。私としては、会社内で管理上滞っているところがあれば、それを整えて、会社を発展させたい。そんな、ある意味、少々変わった私の意向というか、意欲を話したところ、その企業では、あまり儲かっているとはいえない出版の部門を抱えており、この辺りの立て直しもやってほしいという会社の意向を聞かされました。わたしにとって、その立て直しこそ、心血を注いで取り組みたい仕事だと思えたので、そう伝えたところ、話はとんとんと進み、すぐさま書類を提出。まもなくその会社の取締役・総務部長という方との面接に進んだのです」
面接には村松コンサルタントも付き添ってくれた。最後まで面倒を見ようという村松氏の接し方には誠意を感じていたと上原さんは話す。この村松氏と企業の人事部署とは強いつながりがあるらしく、他の人材バンクには紹介を依頼していなかったという。信頼関係の強い村松氏の口添えがあり、先方企業の人の上原さんに対する採用意欲も高いように感じられたという。
「うれしかったのは、私の提出した書類を事前に読み込んでいただいており、面接時ではかなり突っ込んだ質問をされたことです。面接の場で初めて書類に目を通したといわんばかりの相手の様子では、あまり興味を持たれているのではないということがこちらにもすぐにわかりますし、こちらも採用されたいという意欲が薄まってしまいます。今回の面接はフレンドリーな世間話なども多かったのですが、それにもかかわらず身のある内容だったという実感がありました」
また、前職では、知り合いの人材バンク会社の斡旋ということもあって、給与などは曖昧なまま口約束程度で入社を決めてしまったために、後で後悔することになった。そこで、今回はきちんと聞かなければならないと上原さんは考えていた。しかし、その必要はなかった。
「こちらから年収の話を切り出す前に、先方から社の規定ということで明確に述べられ、その上限に近いところを保証しますと言っていただけました。仕事内容のやりがい、条件とも問題なく、あっけなく最初にうかがった1社で即決していいのかと思うくらい簡単に決定してしまいました(※3)」
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