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ミドルマネジメント層・キャリア白書

第5回
ミドルマネージャーに求められる新しい役割:「ダイバシティ・マネジメント」の現状と障害

前回は、ミドルマネージャーに求められる新しい役割である「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案」の現状と障害についてレポートしました。

今回のアンケートテーマは、同じく新しい役割である「ダイバシティ・マネジメント」についてです。
働く人の多様化が企業の売り上げや発展に貢献し、競争力の源泉となるという考えに基づくダイバシティ。企業人事が期待するダイバシティ・マネジメントをミドルマネージャーは果たせているのでしょうか。企業に下記の質問を実施し、800社から回答を得ました。

多様な人材を活用するダイバシティ・マネジメントの役割

現在はグローバル化や価値観や働き方の多様化により、ミドルマネージャーには「多様な人材を活用するダイバシティ・マネジメント」の役割が求められるといわれています。貴社のミドルマネージャーはこの役割を果たしていますか。(単一回答)

■ 「多様な人材を活用するダイバシティ・マネジメント」役割についての現状
「多様な人材を活用するダイバシティ・マネジメント」役割についての現状

「果たしている」1.8%、「やや果たしている」31.3%を合わせても、「果たしている」と考えている企業は33.1%という結果になりました。一方「果たしていない」20.8%、「あまり果たしていない」46.1%で、合わせて66.9%を占め、3社に2社はダイバシティ・マネジメントの役割を「果たしていない」と捉えています。

そもそもダイバシティ・マネジメント自体がまだ日本の組織に定着していないため、現場でそれを担うミドルマネージャー層への厳しい評価になっているのでしょう。

■ 従業員数別
従業員数別

従業員数別でみたところ、5,001人以上の大企業は「果たしている」「やや果たしている」を合わせて47.5%と、「果たしている」と答える割合が最も多くなっています。

新しい役割を果たす際に障害となっていること

上記質問で「果たしていない」「あまり果たしていない」と回答した企業に対し、新しい役割が果たせない理由として何が障害となっているのか、自由記述形式において、以下の回答を得ました。

  1. 本人の意識・自覚(ミドルマネージャーが置かれた現状)
    • ダイバシティ・マネジメント(多様化の本質)を理解していない。また、現状を理解できていない
    • 日常の業務に忙しくて(業務負荷が大きく)、そこまで手が回らない(多様な人材に対して向き合う時間が取れない)
    • マネージャーの能力、経験不足のために、どのようにしていいのか理解できない
    • どのように多様な人材を活用したらいいのか経験がないので、分からない
    • ミスを起こすまいとする意識が強く、多様な人材を活用するリスクを取ろうとしない
    • これまでのキャリアが障害となり、自分の常識の範囲を超える人を矯正しようとしてしまう
    • 多様な人材の活用が必要なことは頭では分かっているが、業務成果を短時間で出すために余裕がないから尻込みする心理が働く
    • 異質な人を受け入れるのが苦手な人が多い。人の話を聴く、お互いに認め合うということがまだできていない
  2. 経営・組織風土
    • 気の合う部下を重用する傾向が強い
    • 扱いやすい者のみを優遇する風土がある
    • 大卒総合職男性のみをマネージしていればよかった狭い世界におり、アレルギーを感じている
    • 暗黙のうちにプロパー主義や異質な人材を排除する文化になってしまっている
    • 経営陣が必要性を感じていない、ミドルマネージャー以上の幹部の理解不足が前提にある
    • トップダウンによる画一的な組織運営となっており、それに従っているだけの環境しか会社は提供していない
    • ダイバシティに後ろ向き。男女、年齢、国籍など均一化された組織が働きやすいと考えている
    • 職場の多様化が進んでいないため(経験値が少ない)
    • ミドルマネージャーの責任ではなく、会社としてダイバシティへの取り組みがあまりされていない
  3. 人材育成(人事制度)
    • そもそも、ダイバシティについての教育がされていない、育成機会がない
    • 教育不足のため、社内人材のスキル、経験、能力、思考力が圧倒的に不足している
    • 多様性へ対応する方法を学んだ経験がない
    • 採用の段階(特に新入社員)において、人材の多様化に欠けている
    • 働き方の多様性に対応できるのは、業務との整合性から一部の部署に偏っている
    • くの職場が多様性のある人事配置となっていないため
    • 期的なジョブローテーションが少ないため、ダイバシティへの認識、課題そのものを持っていない

※自由記述回答より一部抜粋

記載された障害を整理すると、大きく三つの要因(「本人の意識・自覚(ミドルマネージャーが置かれた現状)」「経営・組織風土」「人材育成(人事制度)」)に分類することができます。

ただ、ダイバシティについての会社全体としての理解・認識が浅い企業では、この点を問題・課題としていないケースがあります。いずれにしても、グローバル化の進展はますます進み、少子・高齢化に伴う労働力人口の減少に対応するためにも、ダイバシティ・マネジメントは待ったなしの状況です。その意味からも今後の各社の取り組みが非常に注目されます。

出典:「日本の人事部 人事白書2014」『日本の人事部』http://jinjibu.jp/

【調査概要】
調査時期 2014年3月24日~2014年4月2日
調査対象 『日本の人事部』会員
調査方法 インターネット調査
回答数 のべ3,009社 3,189人
回答者属性 管理職(経営者・役員含む) 81.9%、非管理職 18.1%

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