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ミドルマネジメント層・キャリア白書

第4回
ミドルマネージャーに求められる新しい役割:「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する」の現状と障害

前回は、企業がミドルマネージャーに対して期待する役割と、ミドルマネージャーが置かれている現状の問題点についてレポートしました。ミドルマネージャーの半数以上がプレイヤーとマネージャーを兼務しており、チームマネジメントに注力できない現状が明らかになりました。

今回のテーマは「ミドルマネージャーに求められる新しい役割の現状と障害」です。
ミドルマネージャーは今、グローバル化、市場環境の変化によって、「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する」という新たな役割を期待されています。ミドルマネージャーはこの新たな役割を果たせているのでしょうか。企業に下記の質問を実施し、800社から回答を得ました。

変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する役割

グローバル化や市場環境の激変により、現在のミドルマネージャーは「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する」という新たな役割が求められています。その役割を果たしているか、たずねました(単一回答)。

■ 「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する」役割についての現状
「変化を踏まえた新しい事業や仕組みを企画立案する」役割についての現状

「果たしている」1.4%、「やや果たしている」31.1%を合わせても、「果たしている」と考えている企業は32.5%という結果になりました。一方「果たしていない」19.7%、「あまり果たしていない」47.8%で、合わせて67.5%を占め、3社に2社はミドルマネージャーに求められる新しい役割を「果たしていない」と見ているようです。

■ 従業員数別
従業員数別

これを従業員数別でみると、5,001人以上の大企業では「果たしている」「やや果たしている」を合わせて44.6%と、「役割を果たしている」との回答が多いのに対し、101~500人の中堅・中小企業では、この「果たしている」「やや果たしている」の合計がわずか23.7%。企業規模によって、ミドルマネージャーの評価に大きな開きが見られました。

新しい役割を果たす際に障害となっていること

上記質問で「果たしていない」「あまり果たしていない」と回答した企業に対し、新しい役割が果たせない理由として、いったい何が障害となっているのか、自由記述形式にて回答を得ました。

  1. 本人の意識・自覚(ミドルマネージャーが置かれた現状)
    • プレーイングマネージャーとしての業務が忙しいので、そこまで手が回らない
    • これまでの事業環境が、今求められるスキルセット・経験を必要としなかったため
    • どうせ失敗するという、本人のマイナス思考
    • 期待されていることに対する意識レベルが低く、求められていることが理解できていない
    • ミドルマネージャー個人の意識、役割認識の不足
    • プレーヤー意識から抜き切れていない
    • 既存事業の業績を保つことがメインタスクになっているため
    • そこまでの危機意識を実感していない
    • ミドルマネージャーが自律して行動できない(コミットメントできない、成果責任が弱い)
  2. 経営・組織風土
    • 大手企業であるがゆえに、変わらなくても仕事はあり、給料も入るため、変化を実感しづらいこと
    • 安定的な環境に慣れているため、変化に対応しようという意識が希薄である
    • これまで安定的に成長してきたため、そういう経験を本人や上司たちもしていない
    • 変化の重要性を、組織として認識できていない
    • 新しいことを行うための事前検討、承認プロセスが複雑であるため
    • 失敗することを恐れる風土、傾向が強い
    • 社風の問題。企画立案する能力に乏しく、そういった環境を会社が提供していない
    • 短期成果に集中せざるを得なかったこれまでの会社背景
    • 経営戦略や事業戦略を経営トップ層が直接対話する機会を持っていない
  3. 人材育成(人事制度)
    • 若年層から中堅・マネージャー層という段階的な育成を受けておらず、井の中の蛙状態で、視野が独りよがり
    • 管理職を教育するという風土がない(マネージャーとしての意識啓発・育成不足)
    • マネージャーとしてのレベルに達していない人がマネージャーとなっているため
    • 詰め込み式の業務・教育を実施しているため、「どうしたい・どうなりたい」というビジョンが形成されていない
    • 教育機会の減少(予算不足・OJT不足)による、能力・経験の不足
    • チャレンジを評価する仕組みが弱い

※自由記述回答より一部抜粋

記載された障害を整理すると、大きく三つの要因(「本人の意識・自覚」「経営・組織風土」「人材育成(人事制度)」)に分類することができました。

ミドルマネジメントが十分に機能していない状況があるため、新しい役割を期待すること自体が難しいという側面もありますが、変化の激しい経営環境下にあって、日本企業が再び成長戦略を描いていくには、ミドルマネジメントの奮起と活躍は必要条件です。ミドルマネージャー「本人の意識・自覚」を促すと同時に、「経営・組織風土」「人材育成(人事制度)」の改革も急務であるということが浮き彫りになりました。

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次回のテーマは「ダイバシティマネジメント」。グローバル化や価値観、働き方の多様化により、ミドルマネージャーには「多様な人材を活用するダイバシティマネジメント」の役割が求められると言われています。現場では実際の取り組みがどれだけ行われているか、問題点とともに検証いたします。

出典:「日本の人事部 人事白書2014」『日本の人事部』http://jinjibu.jp/

【調査概要】
調査時期 2014年3月24日~2014年4月2日
調査対象 『日本の人事部』会員
調査方法 インターネット調査
回答数 のべ3,009社 3,189人
回答者属性 管理職(経営者・役員含む) 81.9%、非管理職 18.1%

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