第2回
中途採用の際、ミドルマネジメント層に求める要件
企業が正社員を中途採用する目的は、組織力の強化、新たなフィールドの開拓、人材不足の補てんなどさまざまですが、企業は実際にどんな人材を採用し、また人材に何を求めているのでしょうか?
第2回のテーマは「中途採用の際、ミドルマネジメント層に求める要件」です。企業に下記の質問を実施し、800社から回答を得ました。
2013年度に中途で正社員として採用した人材
まずは中途採用全体を把握するために、2013年度に中途で正社員を採用した企業に質問した「採用した人材にあてはまる要件(特徴)」の回答結果を検証します。「即戦力」という従来の中途採用のイメージから、多様な人材の確保に大きくシフトしている傾向が明らかになりました。
「業界未経験の人」が58.9%と最も多く、次いで「職種未経験の人」40.9%、「ミドル~シニア層」36.3%と続いています。
これまでの中途採用では主に即戦力を求めていたため、同業種・同職種・年齢(若年層中心)を絞って採用を行うことが一般的でした。労働人口の減少や景気の回復、ダイバーシティ採用に代表される企業側の意識変化といった社会的背景から、採用の間口を広げる企業が増加。その結果、上位に「業界未経験の人」や「職種未経験の人」、「ミドル~シニア層」が挙がったと考えられます。
特に「ミドル~シニア層」が上位となったことは、以前盛んに言われていた転職(中途採用)における「35歳限界説」が崩れてきたことの証と言えるでしょう。
30代後半以上の人材に求めるもの
企業は中途採用するミドルマネジメント層には何を求めているのでしょうか。「30代後半」以上の人材を中途採用したと回答した企業に対して、人材に求める要件をたずねました。
最も多かった回答は「専門性」で、54.9%と過半数を占めています。次いで「自社にない能力・経験」48.0%、以下「問題解決能力」37.7%、「マネジメント力」36.1%と続いています。
単に「中途採用」と言っても、若年層とミドルマネジメント層とでは当然、求める要件が大きく異なります。ミドルマネジメント層には、「専門性」や「自社にない能力・経験」といった即戦力に結びつく経験・スキルを重視していることが分かります。また、普遍的なスキルである「問題解決能力」や「マネジメント力」もミドルマネジメント層に強く求めていることがうかがえます。 異分野への進出や新規事業の立ち上げの際には、自社の社員にはない能力や経験、スキルの獲得が大きなカギを握っており、中途採用するミドルマネジメント層に対して、こうした期待を寄せていると考えられます。
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企業が中途採用を行う際に重視している点、どのようにご覧いただきましたか?
次回のテーマは「企業がミドルマネジャーに対して期待する役割」。企業がミドルマネジャーに期待する最も重要な役割を現状と抱えている問題点とともに考察します。
出典:「日本の人事部 人事白書2014」『日本の人事部』http://jinjibu.jp/
調査時期 | 2014年3月24日~2014年4月2日 |
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調査対象 | 『日本の人事部』会員 |
調査方法 | インターネット調査 |
回答数 | のべ3,009社 3,189人 |
回答者属性 | 管理職(経営者・役員含む) 81.9%、非管理職 18.1% |