押さえておきたい!職務経歴書の基本
~準備、書き方~
職務経歴書の基本
1)職務経歴書の目的
職務経歴書の目的とは、これまでどんな会社で、どのような仕事に就き、どのような能力を発揮してきたか、実務能力のアピールをすることです。今までの経験を単に並べるのではなく、求人企業の募集内容によって、知りたいこと、求めていることに沿って、戦略的に編集することが求められます。採用担当者は職務経歴書から応募者の書類作成能力やプレゼンテーション力も判断するので、レイアウト・文章ともに気を抜かずに作成してください。
2)用紙と書式スタイル
用紙はA4縦の白無地の横書きとし、枚数は基本的に1~2枚、多くても3枚までとします。パソコンで作成した方が編集・修正が容易ですし、採用担当者にとっても読みやすいため、お勧めです。手書きにする際は、市販の職務経歴書を使うとよいでしょう。
3)文字の大きさ、レイアウト
職務経歴書は自由な様式ですので、レイアウトも大きなアピールポイントです。パソコンで作成する場合は、本文部分を10.5~12ポイントとし、本文のフォントのスタイルとサイズはすべて統一し、行間も充分に取ります。標題や見出しは、フォントサイズを大きくしたり、ゴシック体や太字にするなどして強調し、メリハリをつけます。内容に応じて表組みを取り入れるなどして、分かりやすく、読みやすいレイアウトを心がけます。採用担当者がファイリングすることを考えて、周囲の余白をしっかりと残します。
4)文章は短く、体言止めで
例えば「○○に配属」「○○の作成」「○○に従事」など、原則として体言止めにし、1つの文章は短くすると読みやすくなります。ただし、自己PRや志望動機などの欄は「です・ます調」で記載します。
5)その他注意点
●年号の統一、正式名称
職務経歴書の中での統一はもちろん、履歴書、送付状、封筒など、他の応募書類とも和歴・西暦を揃えましょう。また、会社名や資格などの各名称は正式名称で記載します。(正式名称一覧)
●専門用語や社内用語
専門用語や社内用語など、内容が分かりにくい用語は( )内で説明を加えましょう。
●守秘義務について
守秘義務のある名称を職務経歴書で使うのは、NGです。ビジネスモラルを疑われますので、絶対にやめましょう。守秘義務で取引企業名や商品名を伏せる場合は、「大手自動車部品メーカー」「ERPトップクラスのパッケージ商品開発」のように、補足説明をしましょう。
面接で質問された際は「取引先との守秘義務により、正式名称はお話しできませんが」と最初に丁寧にお断りをした上で、差支えない範囲で真摯に回答します。
「職務経歴書ビルダー」を使えば、質問に沿って入力するだけで職務経歴書が完成します【会員登録(無料)】職務経歴書作成前の準備
「どのような仕事に取り組み」「どのような実績をあげてきたのか」、まずは自分のこうしたキャリアを「棚卸し」することによって、職務経歴書を書くにあたっての材料を集めます。これをもとに職務経歴書を体系立てて整理してください。
その際、自分のキャリアや実績を具体的に示すことが重要です。実績を数値データで示したり、自分の強みなど「売り」となる強調したい点を盛り込みながら、簡潔に箇条書きにします。紙に書き出してもいいですし、後で職務経歴書を書く際に便利なように、パソコンの文書として整理してもよいでしょう。
1)今までのキャリアの棚卸し
過去から順に職務経歴を洗い出します。次のようなポイントを軸に書き出し、「時期」ごとにまとめていきます。
●勤務先
- 事業内容/従業員数/年商/本社所在地/設立
必ずHPやパンフレットで誤りがないか確認します。
●キャリアにおける移行、転換点
- 入社/退社/異動/昇格/配属
●所属・役職
- 部下がいた場合はその人数も把握します。
●職務内容・仕事内容
- 誰を対象に、何をしたかを軸にまとめる
- マネジメント経験
●実績
- 業績面での貢献、売上高、顧客満足向上など
2)スペシャルキャリアの洗い出し
あなたのキャリアの中で、なかなか経験できない特殊な経験や受賞歴などをまとめます。
●受賞歴
社内の賞やマイナーな賞の場合は概要や難易度なども付記しましょう。
- 社内の賞
- 社外の賞
●特殊な経験
- 新規事業や営業所、店舗などの立ち上げ
- IPO(株式公開)業務
- 大きな業務改善の実行
- 大きなイベントの開催
●失敗経験
- 業務で失敗したが、リカバリーできたこと
- 失敗を教訓に、改善に取り組んだこと
3)職業能力のPRポイントを整理
職務経歴書に盛り込むPRポイントを整理するフェーズです。1)、2)を参考に「~ができる(できるようになった)」「~を身につけた」「~を努力した」「~のとき達成感を感じる」「~が得意」「~の知識がある」「~は自信がある」などの点で整理するとあなたの強みが見つかります。それらを箇条書きにしましょう。
4)応募企業ごとに内容を取捨選択
1)~3)の作業で、あなたの職務経歴や資格、能力、ノウハウなどがすべて書き出された「職務経歴書のプロトタイプ」ができあがったはずです。しかし、これらすべてを職務経歴書に記載してしまうと、採用担当者が知りたいことが分かりにくく、最悪の場合、職務経歴書を読んでもらえません。「この応募者は何をアピールしたいのだろう」とプレゼンテーション力を疑われることになります。自分が伝えたいことではなく、「相手が知りたいことを軸に構成」することが大変重要です。
●応募先企業が求めている要件を整理
まずは応募先企業が応募者に何を求めているかを、採用情報や会社情報などから読みとることが重要です。例えばある営業募集の場合、採用情報の「求める資格」や「仕事内容」などから、求められている要件を「新規開拓営業・フォロー営業」「パンフレット等の販促企画も担当」「顧客:個人地主・オーナーとの関係性構築」「細かな要望をくんで信頼関係を作る」「メンバーの育成」と書きだします。
●求められている要件と自分のキャリアのすり合わせ
これら「求められている要件」に対してアピールできる材料を「職務経歴書のプロトタイプ」から抜粋しながら整理してください。さらに応募先企業でどんな仕事をしたいかを、その理由と共にまとめておくと、志望動機を書く際にも役立ちます。能力や仕事に対する姿勢などでPRしたいポイントを書きだしておくと、それが自己PR文の骨子となります。
こうして、職務経歴書に盛り込む内容のアウトラインを決めていきます。
「職務経歴書ビルダー」を使えば、ガイドに沿って入力するだけでWord形式の職務経歴書が作成できます!職務経歴書の形式を選択
1)編年体形式
古い順に時系列的に経歴を記載していく編年体形式は、最も一般的な職務経歴書の形式です。入社・退社をベースとして、その間に、異動・昇進・職務内容(工夫した点)・実績・表彰などを盛り込んでいきます。また入社欄には勤務していた企業名、従業員数、事業内容なども記載します。通常は新しいキャリアほど詳細に書きます。ただ、どうしても編年体形式ではアピールしたい項目が分かりにくくなりますので、強調したい箇所には下線を引くなどして、分かりやすくする工夫が必要です。
一般に編年体形式に向いているのは、同じ業務にずっと携わってきた方です。職務経歴書の書式に迷う方は、編年体形式を選ぶとよいでしょう。
2)キャリア形式
キャリア形式は経験した業務ごとに項目をまとめ、経験年数も通算で書くことができます。時系列にもこだわらないため、アピールしたい経験から書きはじめることができます。より専門性を要する技術職などは、担当した職務内容やプロジェクトごとにまとめて記載するキャリア形式が効果的です。また、転職経験が多い方もその業務に習熟しているとアピールできるので、おすすめです。
ただ、キャリア形式での職務経歴書では、時系列ごとの職務経験が分かりにくいので、冒頭に「略歴」をつけるとよいでしょう。
3)自由形式
表組みを使うなどして、1)と2)を組み合わせた形の形式です。
どの書き方であっても、応募企業にアピールしたい項目は詳しく、そうでない項目は簡略して記載するように心がけましょう。
「職務経歴書ビルダー」で迷うことなく職務経歴書が作れます!職務経歴書の項目とレイアウト
1)職務経歴書の項目
記載する項目は基本的に自由ですが、必須の項目、よく使われる項目を整理します。
ヘッダー領域 | タイトル(必須) | 「職務経歴書」と書きます。 |
---|---|---|
日付(必須) | 「○○年○月○日現在」とします。 | |
氏名(必須) | 氏名を書きます。名字と名前の間は少し空けます。 | |
住所、電話番号 | 記載は任意です。記述する場合は日付、氏名の下にそれぞれ改行して、右寄せでレイアウトします。 | |
職務経歴 関連 |
応募職種 | 募集職種が複数ある場合は、最初に記述します。 「営業職」のように募集職種を書いてください。 |
職務概要/ 職務実績 |
いつ、誰を対象に、どんな仕事をしてきたかを簡潔にまとめます。3~5行を目安に。 | |
会社概要(必須) | 企業名・資本金・従業員・売上高・事業内容をまとめます。中でも企業名と事業内容は必ず記載します。 | |
職務経歴(必須) | 「○年○月、所属(異動、昇進など)、職務内容、実績、受賞、取組み」を記します。 | |
スキル・能力 関連 |
取得資格 | 職務に関連した保有資格を書き、求人案件へのアピールにならないものは記載しません。正式名称で記述します。 |
パソコンスキル | 事務系職種では必須の項目(ただし、アピールできるスキルがない場合は項目ごと削除)。資格名があれば付記します。アプリケーションごとにレベルまで記載します。(例:Excel/関数・データ表作成) | |
語学力 | 検定でのスキルなど客観的な指標を記述してください。それがない場合は「ビジネス英会話レベル」といった具合にレベルを書きます。 | |
活かせる能力 (自己PR) | 能力・技術・ノウハウ・知識・人脈などアピールできることを記述。交渉力・リーダーシップ・行動力・アイデア力なども記します。(自己PRとして利用してもよい)
内容がいくつかに分かれる場合は、それぞれに見出し(例:「メンバーとの密なコミュニケーションを重視」「提案した業務改善によりコスト10%削減」)をつけましょう。 冒頭に持っていくとよりアピール度が高くなります。 |
|
アピール項目 | 志望動機/ 自己PR (必須) |
「志望動機」もしくは「自己PR」のどちらかは必ず書きます。
ただし、履歴書でも書くことの多い項目ですので、同じ内容にならないように注意が必要です。長文になる場合は、いくつかのブロックに分割して、それぞれ見出しをつけると、分かりやすくなります。 履歴書と同様の内容にする場合、職務経歴書では具体的な経験やエピソードを盛り込むなどして、説得力を増しましょう。 |
結び | 以上(必須) | すべての本文を書き終えたら、書類に続きがないことを示すために、数行空け、右寄せで「以上」と記載します。 |
2)職務経歴書のレイアウトサンプル
職務経歴書のサンプルをもとに、要点をまとめています。必須項目はピンクで表しました。レイアウトや内容はあくまで例ですので、表組みや背景に黒やグレーを使う等、読みやすくレイアウトしてください。