転職を成功させる
キャリアの棚卸し・自己分析とは
転職に不可欠なキャリアの棚卸し
転職活動を始める前に、キャリアの棚卸しをしっかり行うことが大切です。キャリアの棚卸しを行うと、「自分の強み」や「得意なこと」「こだわりたいこと」が見えてくるので、「どんな転職を成功させたいのか」がはっきりします。この作業をしないまま転職活動を始めると、「どんな会社に入りたいのかわからなくなった」「気がつくと、内定を取ることが目的になってしまった」など、選択肢の多さに混乱してしまいがちです。「転職をして良かった」を実現するためには、自分のキャリアを一度しっかり分析することが大切です。
すべてはキャリアの棚卸しから
世の中には、数多くの求人雑誌や転職マニュアルなど情報が氾濫しています。転職成功のための履歴書の書き方や、求人企業にアピールできる職務経歴書の作り方といったノウハウがたくさん掲載されていますが、美しい書類を作成することが転職の本質ではありません。
転職を成功した方から多く聞かれる声は、給与や待遇などの条件よりも「どんな仕事がしたいかにこだわった」というものがほとんどです。「どんな仕事がしたいのか」を明確にしておかなければ、入社後に「この転職は失敗だった」と後悔することも少なくありませんし、それ以前に面接を突破することもできません。
自分が興味をもてること、やりたい仕事、転職によって成し遂げたい未来は何かを知ることは大切ですが、いきなり「何がやりたいんだろう」と考えても、時間ばかりがムダに経過してしまいます。まずは、あなた自身のキャリアを振り返ることから始めてください。つまり今までの自分の仕事、キャリアの棚卸しをするのです。「これまでどんな仕事をしてきたのか」「どんな仕事をしている時に自然と力が湧いてきたのか、力が発揮できたのか」など、これまでの仕事の中身を振り返ることで、今後の方向性が見えやすくなります。ここからあなたの転職活動がスタートします。
「棚卸しシート」活用方法
今回は人材紹介会社の株式会社ジェイエイシーリクルートメントで普段活用されているオリジナルツールの「棚卸しシート」をご紹介します。
利用の仕方・作成方法などもご紹介しますので、ぜひご利用ください。

番号 | 内容 | 注意事項 | 記入例 |
---|---|---|---|
1 | 経験した職種を記入してください | 一つの職種でも昇進、転職などによってタイトルが変わっている場合にはそれも記入してください | 営業、営業リーダー、営業管理職(役職名) ・・・担当 |
2 | 経験した職務を記入してください | ここでいう職務とは1)を遂行するための仕事の要素です | 既存顧客管理、新規開拓、企画調査、後輩指導・育成 |
3 | 各々の職務における実績を記入してください | できる限り数字を用いてください
仕事によってアウトプットされたものをすべて記入しましょう |
売上げ実績、目標達成率、対前年比、部下の数、担当企業数、作成したマニュアル、企画書 |
4 | 1)~3)についての自己評価/満足度を記入してください | 5段階評価 | 高い5→低い1へ |
5 | 4)の理由を記入してください | いくつ書いても構いません |
|
6 | 「変動可能性」の欄に記入しましょう ・評価/満足度の高い項目→今の会社にいたままさらに点数を上げていく事は可能ですか ・評価/満足度の低い項目→会社を変わることによって点数を改善できますか |
Yes/Noで記入してください(NOの場合は理由も記入してください) Yes/Noで記入してください(NOの場合は理由も記入してください) | ― |
7 8 |
「将来」の欄に進みましょう。 これまでに経験した職種、職務に加えて「やってみたいこと」があれば記入してください。 |
昇進による役職、職務権限の拡大、まったく違う分野の仕事など何でも構いません | ― |
9 | 仮に7)8)が可能であるとして、この仕事における目標/理想像を記入してください | 数字を使うとわかりやすいが、具体的にイメージできない場合は「○○さんのよう」でもいい | ― |
10 | なぜそう思うのかを記入してください | いくつ書いても構いません |
|
11 | 今の会社において「貴方の目標/理想像」を達成することは可能ですか | Yes/Noで記入してください(NOの場合は理由も記入してください) | ― |
すべて書き込めれば転職活動の90%は終了したも同然。求人情報誌や転職マニュアル本を何冊も読むことが、転職活動の中心ではありません。キャリアの棚卸しをじっくり行なった後は、信頼できるコンサルタントとあなたのキャリアについて一緒に考えていきましょう。希望する業界・企業情報にとどまらず、これまで知らなかった分野との出会いも提供してくれることでしょう。
転職成功のための自己分析の重要性
転職活動において自己分析は不可欠
短期間に幾度となく転職を繰り返す人の大部分は、“転職する”という意志を固める際の自己分析が不十分であったと考えられます。
転職を考えるようになったきっかけが、会社を辞めて別の会社で働き出すことによって、本当に解決するかどうかを深く掘り下げていないことが問題です。大切なのは、新卒時の就職活動と同様、自分がどんな長所・短所を持つ人間で、自分にとって何が得意・不得意なのかをこれまでの実績と潜在能力に分けて割り出すことです。また、あなたのライフプランを実現するためには、どういう会社のどういう職種を選んで成功したいかを明らかにすることです。そうして転職動機から志望動機までが一本の線でつながれば、あなたのやるべきことはただひとつです。
大切なのは“恒常的な自己分析”
ビジネスパーソンに大切なのは、自己分析を恒常的に行うことです。つまり転職を考えてから自己分析を行うのではなく、 1~2年毎に「自分は何がしたいか、どうなりたいのか」 「それに基づいて、これまで何をやってきたか、何ができたか」「その結果、自分は現在どうなっていて、今後どうすべきか」というように定期的に自己分析をし、自分を見つめ直す機会を持つということです。そして自己分析を行い、必要であれば自分を磨くために社外のセミナーに参加したり、スクールに通います。またジョブローテーションが可能な職場なら、配置転換を希望するなどの善後策を講じて軌道修正を行います。
定期的に「自分は何がしたいのか、どうなりたいのか」と自己分析をしていくことで、自己実現の可能性は高まります。転職をするべきかどうかの見極めも明確になるはずです。いずれにせよ、転職とはあなたの人生にとって大きなプラスになるものでなければ意味がありません。そのためにも普段からの自己分析、日々の努力を大切にしましょう。
人材紹介会社のコンサルタントを活用
これまで述べてきた自己分析ですが、中途半端であったり主観的な状態で行われると、以前勤めていた会社に未練が残ったり、新しい会社がすぐに嫌になったりといつまでも決断軸がぶれたままになります。自己分析が済んだら、客観的な視点を取り入れるために、ぜひ人材紹介会社を活用しましょう。
「会社を辞めようか悩んでいる」という段階から、人材紹介会社に登録してプロのコンサルタントに相談しても構いません。その段階でどう考えるべきか、考え方そのものを聞くことができるからです。場合によっては、あなたに転職は不要だと、現在勤めている会社への残留を示唆することもあるでしょう。
どんな形であっても、転職はその人のステップアップにつながるものであるべきです。一見すると人材紹介会社のビジネスに反しているようにみえますが、1~2年で辞めてしまうような人材をクライアントである求人企業に紹介すること自体、申し訳ない話です。あなたが転職すべきかどうかという答えは、あなたの中にあります。その答えを探しやすくするためのお手伝いもまた、人材紹介会社の役割といえます。