さて、思うところもあって、そろそろ会社を変わろうかと思う。
会社の方向性の違い(なんかバンドの解散みたいだな)とか、母を昨年亡くした父の生活の事だったり、その他、色々考えることがあってちょっと自分のキャリアの軸を再度リセットしたくなっているのですね。
家族や家のローンを抱えて、大企業を辞めて転職しようとするとかなりの勇気と労力が必要でそれこそ一大事なのですが、家族も持たないひげをはやしたベンチャー会社マネージャーといった“怪しい職業人(笑)”はそれほど社名が変わることに深刻になるわけではなく、けっこう普通に会社を変えたりします。
(とはいえ今の会社に10年以上は所属していたのですが)
本来なら、仕事のある所にふらりと現れササッと解決していく“流れ板竜二”みたいな人生に憧れたりもしたのですが、残念ながら今のIT業界にそんなわけのわからないエンジニアを受け入れるシステムはないので普通に会社に所属すると思う(あったらかなり楽しいとは思うのだが)。
そんなお気楽でいいかげんな私でも、実は本心では会社を変わるか残るか?という決断をする時はかなり思い悩むし怖い。
今まで築いてきたグループから離脱し、次のグループに所属されるまでの間に味わう“社会から取り残されてしまうのではないか?”という恐怖感はけっこう大きい。
私でさえそうなんですから、このサイトを覗きに来ている転職活動中の方の焦ったり落ち込んだりする気持ちは計り知れないと思うし、想像するだけで胸がザワザワとして痛む。
アメリカの心理学者マズローが提唱した欲求段階説というものがある。
人間の欲求は5段階のピラミッドのようになっていて、1段目の欲求が満たされると、そのひとつ上の欲求を欲するという説。
5段階の欲求とは簡単に言うと
1.生理的欲求(飲み食いして自分を生かしておきたいという欲求)
2.安全の欲求(争いごとがなく安全に生きていたいという欲求)
3.社会的欲求(国家、企業、グループに所属していたいという欲求)
4.自我の欲求(人に認めてもらいたい、称賛されたいという欲求)
5.自己の欲求(自分がこうなりたいという欲求)
といったもの。
物があふれて平和な日本では、おおむね生理的欲求と安全の欲求は満たされているので、多くの人にとって焦点となるのは、グループに所属していたいという“社会的欲求”の充足であり、そのグループの中である一定のポジションを得て頼りにされたいという“自我の欲求”の充足であろう。
転職をしようとする人は、この“社会的欲求”を一定期間自らの意志で断ち切るというかなりリスキーな事を乗り越える勇気を持たないといけない。
ましてや、けっこうな大企業で、マズローの欲求段階説の欲求の段階を一気に駆け上がった方が、会社の倒産やリストラで一瞬にして階段を踏み外し、あっという間に社会的な立ち位置がなくなってしまった時の喪失感は相当なものだろう。
「キャリア・転職研究室」内のコラムなんだから、ここらで「もう一度自己を見つめ直して」とか「あきらめないでチャレンジ精神を持って」などと鼓舞しないといけないところですが、編集の方も認める「最もゆる〜い連載」なので、そんな真面目なアドバイスはしない。
ただ、そんな焦燥感のつのる転職活動中の時こそ
・社会的欲求の充足=安定した大企業に所属すること。
・自我の欲求の充足=会社で年齢相応の役職につくこと。
というステレオタイプな欲求を捨てて、もっと小さな、そして身近な家族や仲間といった社会をふりかえってみるのもいいのかなと思ったりする。
「あなたが失業してても大丈夫!私が働くわ!」
といってくれる妻や彼女。
「まともに給料払えないかもしれないけど手伝ってくれよ!」
といってくれる友人。
「本当に行き詰まったら帰っておいで」
といってくれる故郷。
そんな人や家族が一人でもいたらそれはそれで、社会的欲求と自我の欲求は満たされているんじゃないだろうか。
そしてそんな家族や仲間の優しさに触れながら落ち着いた転職活動をすればきっといい結果がやってくるような気がする。
小さな会社を渡り歩いていると「60歳になっても働く場所があるのだろうか?」などとついつい不安になってしまいそうだが、楽天家の私はそんな仲間さえいればまあどうにかなると思っているし、そして実際にどうにかなる日本であってほしいとも思っている。
まあ、こんないい加減なITエンジニアに、転職活動する同志だ!と言われてもありがた迷惑でしょうが、お互い頑張りましょう。
で、筆者には
「あなたが失業してても私が食べさせてあげる!」
って言ってくれる人がいるのかって?
それは内緒。むふふ。
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