ところがそれまでの経歴について話すうちに、穏やかながらもどんどん熱っぽい口調になって、表情も見違えるようになってきました。人事制度の一からの構築など人並み以上の実績や経験談に、菊池さんの能力の高さと、内面の芯の強さのようなものを感じましたね。
そうした素晴らしい実績、そしてオーナー企業での勤務経験など、菊池さんのキャリアはまさに、今回入社された企業にぴったりだと確信し、それで先方の人事担当者へご紹介に踏み切ったわけです。
1次面接後、人事担当者の印象としては好印象とのことでしたが、各役員および社長がOKを出さなければ内定にはつながりません。そこで、2次、3次と選考が進む中で、以前から面識のあった取締役の方に、菊池さんを推薦する社内プレゼンを依頼したんです。「経験は申し分ないが、オーナー色の強いうちの会社で、物腰の柔らかい菊池さんはやっていけるだろうか」という懸念にも、「人柄の印象は、会っていくうちに変わっていくもの。実績はゆるぎません。菊池さんはもちろんですが、彼を推す私も信じてください」と、やや強気で推薦しました。
人事担当者に連絡が取れるまで繰り返し電話するなど、とにかく、私ができることはすべてやったつもりで、あとは企業側の調整や決断を待つばかりという感じでしたね。
今回は、内定が出るまで2カ月もの選考期間を要した特殊なケースだったため、決まった時にはうれしさ以上に、本当に心からホッとしました。菊池さんにはこの企業のほかにいくつか案件をご紹介し、実際に2〜3社ほど並行して面接まで進んでいたのですが、菊池さん自身の第一志望がこの企業だとわかっていたので、社長のOKが出て内定が決まるまで、私も内心、ハラハラしていました(笑)。
年収交渉は、菊池さんと希望額を事前に打ち合わせておいたものを基に行いました。菊池さんに限らず、年収や雇用条件的な細かい交渉は、コンサルタントである私の役目。求職者側と企業側、双方のモチベーションが下がらないように、折り合いのつく条件を見極めて提案しました。
40代の方が転職に臨まれる際に、絶対に気を付けてほしいのは、ネガティブにならないこと。確かに高倍率になる可能性はありますが、経験やキャリアを優先する企業は決して少なくないんです。また求職者側も、選り好みせずに企業に足を運ぶなど、フットワークの軽さと働く意欲の旺盛さをアピールする努力は必要だと思いますね。
菊池さんの場合も、お会いした時こそ元気はありませんでしたが、どれだけ自分が企業側に貢献できるかなどを話す熱意や前向きさが、内定につながったポイントのひとつではないかと思います。
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