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ここ最近、IT業界では「プロジェクトマネジメント」および
「プロジェクトマネジャー(PM)」に熱い視線が注がれている。
そこで、ある大手システムインテグレーターで活躍している
現役PMの司馬紅太郎氏に、PMの仕事や、
PMへのキャリアパスについて語ってもらった

PM需要、急増中!

社会のIT化が急速に進む昨今、プロジェクトの発生件数は増加の一途をたどっており、内容も複雑化、高度化している。どの企業もプロジェクトを成功させることに必死だ。
数億から数百億規模のプロジェクトの成否は、プロジェクトマネジャー(以下、PM)の手腕にかかっているといっても過言ではない。

発注者、受注者双方が満足するレベルでプロジェクトを成功させることは至難の業であり、失敗するプロジェクトも決して少なくない。
そして、失敗プロジェクトが続くと顧客の信頼を失い、会社倒産の憂き目にあいかねない。つまりプロジェクトの成否は会社の存続に直結しているのだ。

このような背景から、今、IT業界ではプロジェクトを成功させられるマネジャーの需要が急速に高まっている。「SEは技術オンリーでOK」という時代はもはや終わりを告げつつある。
現場で働く20〜30代前半の若手エンジニアの間でも、PM志向が増加中だ。

しかし、どうすればPMへのキャリアパスが描けるのか、PMとして成功するためにはどんなスキルを身に付けるべきなのか、イメージできているエンジニアは少ないのではないだろうか。

そんな若手ITエンジニアが抱える疑問・不安の数々に、現役PMが答えるこの企画。PMへのキャリアパスが見えてくるはずだ。

Q.現在、小規模ソフトハウスでプログラマーとして働いています。まだ入社2年目なのですが、近い将来、PMなど上流工程に移行したいと考えています。しかし、今の職場はルーティンワークがほとんどで、たいしたスキルが身に付きそうもありません。やっぱり転職した方がいいのでしょうか? また転職するなら、どんな会社を選べばよいでしょうか?(25歳 プログラマー)

A. スキルを身に付けて
視野が広がる転職を

下請け企業で働くエンジニアは、ひたすら下流工程の業務に忙殺されてしまうというケースが多々あります。そうなるとスケジュールの立て方など、PMに必要なスキルが全く身に付かないということになります。
今の職場でPMへのキャリアパスが見えないのであれば、転職を考えるのもいいと思います。しかし、会社を移ったからといって、プログラマーから一足飛びにPMにはなれないので、着実にスキルを身に付ける必要があります。
「自分の武器はこれだ!」といえるものを身に付けていないと転職そのものも難しいのでは。どんなスキルでも本気で努力し続ければ身に付くし、身に付けたスキルで無駄になるものはひとつもありません。まず今の仕事に打ち込んで、自分の武器となるスキルを身に付けましょう。

私の転職理由も、当時働いていた独立型のSI会社で学べるスキルは学び尽くしたという感があったのと、より大きな規模のプロジェクトに参加したいという気持ちからでした。
「現在の仕事がつまらないから、イヤだから」などの後ろ向きの理由で転職しても必ず失敗します。自分は何をやりたいのか、自分をより成長させるためにはどうすればいいのか、という視点で考えればいい方向に進むのではないでしょうか。

肝心の転職先ですが、理想は顧客から直接仕事を受注できる会社です。お客さんと直接やりとりできる立場になると視野が一気に広がりますからね。次は、1次請けの大手メーカーから仕事を丸投げされるような会社。いわゆる2次請けですね。このような会社で、小規模案件でも受注から納品までプロジェクトの全体を見られるような仕事を経験すると確実に一皮むけますよ。
顧客と直接やりとりできる案件が多いかどうかの目安としては、なるべく規模の大きな会社、大手メーカーの子会社、主要取引先が大手メーカーになっているSI会社、あとは株式を上場していることも目安になりますね。

Q.PMに向いている人、向いていない人は? また求められる資質、スキルなどはどんなものでしょう?(28歳 SE)

A. チャレンジ精神旺盛な人には天職!

*性格的な面でいうと、まず向いている人で一番に挙げられるのがチャレンジ精神旺盛な人ですね。ひとつのプロジェクトを成功させるのは至難の技です。特に大規模プロジェクトでは、関わる人数も多くなるのでそのマネジメントは本当にたいへんです。
しかもプロジェクトは生き物ですから、途中で想像もつかないトラブルが突然発生します。そんなトラブルに臨機応変に対応して、人を動かしていかねばなりません。
困難なことにチャレンジして、克服することに喜びを感じる人、困難な仕事だからこそ燃えてくるといった人には天職ですね。まぁ、こんな人にはめったにお目にかかれませんけど(笑)。

ヒューマンスキルとしては、コミュニケーション能力、決断力、交渉力、折衝力、プレゼンテーション能力などが要求されます。また、落ち込んでもいつまでもくよくよしない人、切り替えが早い人など。要するにリーダーに必要な資質はすべて当てはまります。

まじめすぎる人や完ぺき主義の人は向いてないかもしれませんね(笑)。ストレスたまりますよ〜、こういう人たちは。そもそも完ぺきなプロジェクトなんてありえません。人間、そんなにきれいに動くものじゃないですからね。いい意味でのいい加減さ、割り切りは必要です。私が知ってる優秀なPMさんでも、切り替えの早い割り切りタイプが多いですよ。

それよりも、指示待ちタイプの人こういう人はPMになってはいけません(きっぱり)。なったとしてもその後が苦労しますし、何よりその人の下についたメンバーが気の毒です。
保守的でイエスマンの人も困りますね。プロジェクトの途中で、顧客が無理な要求をしてくることは珍しくありません。そんなときはきっぱりと断ったり、自分が正しいと思ったことをはっきりいえる強さが必要です。

司馬紅太郎氏 イメージ

司馬紅太郎氏

3X歳。某大学の文系学部を卒業後、独立系SI会社に入社。さまざまな業界の開発業務を行う。2年目で早くもプロジェクトマネジャーを経験。30代半ばで大手SI会社に転職。PMP取得後プロジェクトマネジメントオフィスに移り、プロジェクト管理支援業務に携わる。これまで20件を越えるプロジェクトに参加し、半数以上でマネジメントを経験している。


プロジェクト
マネジャーとは
顧客との折衝、プロジェクトの計画書の作成、技術者のコーディネイトおよびコントロール、進捗管理、予算管理など、「ヒト、モノ、カネ」を効果的に使い、情報システム開発プロジェクトをトータルに管理する仕事。プロジェクトリーダーと呼ばれる場合もあるが、ひとことでいえばプロジェクトのまとめ役。
プロジェクト成功のキーマン的存在であるがゆえに、IT業界ではPMの需要が急増中である。

コスト、スケジュール、スコープ、コミュニケーション、リスク、チームビルディング、品質といったさまざまな観点からプロジェクトをマネジメントし、成功に導いていかねばならない。プレッシャーに負けないタフな精神力とひとくせもふたくせもあるメンバーを率いる強力なリーダーシップと人望、そして連日の徹夜に耐えられる体力が要求される。はっきりいって激務。
Q.会社からそろそろPMになれといわれているのですが、自分は話し下手で、気が弱く、ヒューマンスキルやマネジメント能力に自信がありません。同僚や上司は、そんなもんやっていくうちに身に付いていくというのですが、本当でしょうか?(31歳 SE)

A. 生まれながらのPMなんていない
とりあえずやってみよう!

実は私もヒューマンスキルやマネジメント能力には自信がありません。決して社交的というわけでもありませんし、人を使うことも本当はあまり好きではありません。しかしその上司がいわれるように、半分は、仕事として経験していくうちにできるようになります。どんな職業でもいえることですが、初めから完ぺきにできる人なんていません。実戦を積んでいく過程で少しずつできるようになっていくものです。

もう半分は仕事以外のトレーニングで苦手と思われる部分を強化することです。たとえば、私はコミュニケーション能力を向上させるために、同業者同士での勉強会や講習会はもちろん、異業種の人々が集まる交流会や懇親会、セミナーなどにも積極的に参加して、いろいろな人々と話すようにしています。資質として足りない部分は意識的に鍛えることで、身に付いていくものです。

*天性のPMなんてそうはいません。一番大事なのは「自分はPMだ」という意識を強くもつことなんです。自分がこのプロジェクトの責任者なんだという自覚ですね。これがあると成長しますし、大抵のことは乗り越えられます。

できるかできないかなんて、やってみないとわからないじゃないですか。やってみてやっぱり向いてないと思っても、「向いてないことがわかった」だけでも収穫です。
ですが、向いてないと自分で思ってる人ほど、やってみれば案外ハマってしまった、なんてことがよくあります。とにかくまずは頑張ってやってみましょう。

Q.僕はPMなどマネジメントには全く興味がありません。いくつになっても生涯いちエンジニアとして開発を究めたいのですが、それでは生き残っていけないという声をよく耳にします? 本当でしょうか?(27歳 SE)

A. 無理ではないけど厳しいのでは

決して無理ではないと思いますよ。実際、私の周りにも現場志向のエンジニアはいます。しかし、そういう人は見てて痛々しいですね。PMの立場からいえば、プログラマーやSEはやはり若い方が使いやすいんですよね。知識やスキルの吸収も早いし。
それに、個人的な考えでは、一部を除き職人芸が必要なシステムは今後減少していくと思っているので、かなり険しい道を歩む覚悟が必要な気がします。

PMに定型はない
PMとひとくちにいっても、いろんなPMがいるし、どんなタイプのPMになってもいんです。要はプロジェクトを成功させられればいいわけですから。私の周りを見渡すと、成功しているPMは自分なりの方法論とポリシーを持ってますね。あまり既成概念にとらわれず、自分が新しいPMモデルを作るくらいの気持ちで頑張ってほしいですね。(司馬)





Q.なるべく早めにPMになりたいと思っているのですが、PMを目指すには、どういうキャリアパスが考えられますか? そのために必要なスキルはなんでしょう? また、それらを身に付けるにはどうすればよいのでしょうか?(26歳 プログラマ

A. プログラマー→SE→PMで
着実にステップアップ

PMといえども、一定レベル以上の技術的な知識、スキル、経験は必要不可欠です。それらがないと、プロジェクトの進行中に問題が起きたとき、その理由がわからず対処の仕方に困るからです。だからまず、プログラマ→SEと、ITエンジニアとしてのキャリアを積んで、スキルをしっかり身に付けることが肝要です。上級SEともなればPMの仕事も見えてきますし、それがPMになるいい勉強になるのです。SEでもサブリーダーなど、なるべくPMに近い位置で仕事をすることが近道ですね。
さらになるべく早いうちに目標や指針を教えてくれるいいPMを見つけ、教えを乞うことも重要です。


一般的なPMへのキャリアパス

PMとしての知識は、関連書籍を読んだり、PMBOK(※1)などを勉強することで身に付ければいいでしょう。資格も取れるものは取っておいたほうがいですね。ちなみに私はPMP(※2)を持っています。
しかし知識はあくまで知識なので、資格を取ったからといっていいPMになれるとは限りません。結局は経験です。知識も経験の中で使うことで初めて生きてきます。

普段の生活の中でできるトレーニングとしては、自分のすべての作業で「計画→実行→チェック」の習慣を付けること。これは結構効きますね。
日々の仕事の中でも当然割り込み仕事などが入りますが、それをどうコントロールして、回していくか。つまり、あらゆる仕事をプロジェクトとみなすんですね。実際のプロジェクトでも同じことが日常茶飯事に起こるので、いい訓練になります。仕事の優先順位も見えてきますしね。ぜひやってみてください。
※1 PMBOK
(Project Management Body of Knowledge)
アメリカに本部を置く、世界最大のプロジェクトマネジメント推進団体、PMI(Project Management Institute)が、プロジェクトマネジメントを遂行する上で必要とされる知識を体系立ててまとめたもの。「ピンボック」と読む。プロジェクトをマネジメントする際に必要な9つの視点(スコープ、時間、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、リスク、調達、統合管理)について詳しく解説している。

※2 PMP
(Project Management Professional)
PMIが認定するPMの国際資格。PMBOKに準拠した国際的な資格で、日本でも取得者が増加中。
認定教育機関のプログラムを35時間以上受講した上で、PMとしてのキャリアが最低でも4500時間、3年以上ないと受験できない。

Q.PMっていくつくらいまでできるものなのでしょうか? その先にはどんなキャリアがあるのでしょうか?(35歳 SE)

ITコンサルタントになる人も多い

世界的な大企業では50歳くらいまで現役PMとして活躍している方も多いですね。私は40歳を超えたらやりたくない!(きっぱり) できても45歳くらいまでかなぁ。知識や経験よりも、意欲や気力の問題になるんですよね。タフな神経とモチベーションをこの年齢まで持ち続けられるかどうかです。

PMの先のキャリアでは、ITコンサルタントになる方が多いですね。両者では、必要とされるスキル、特にヒューマンスキルが似てるんです。もちろん、ITコンサルタントにはPMに必要な技術的な知識に加え、経営的な知識が要求されますけどね。
あと、プロジェクトを動かせる立派なPMなら、開発部や設計部の部課長など、組織の長にもなれます。

ちなみに私の場合は、まだまだ巷にはITのことがよく分かっていない個人や企業が多いので、そんな人たちを安価でサポートする「町のIT屋さん」のような存在になりたいと思っています。

最後にひとこと若手はもっと勉強しましょう!
若手エンジニアと話していて特に感じるのが、勉強不足だということ。*今は昔と違い、インターネットでさまざまな情報が簡単に入手できるし、書店に行けばIT関係の本が山積みされています。
また、ITエンジニア向けの各種セミナーや勉強会なども数多く開催されているので、勉強しようと思えばいくらでも勉強できます。
スキルアップのため、またキャリアパスを考える上でも、もっと勉強しましょう!

 

■その他の資格
<プロジェクトマネージャ>

情報システムの開発プロジェクトを監督する能力を認定する国家資格。
経済産業省の指定試験機関、財団法人日本情報処理開発協会の情報処理技術者試験センターによって、毎年10月に試験が実施されている。

■書籍紹介
『拝見! プロジェクトマネージャの仕事場
〜ITプロジェクトの成否の鍵を握る人々〜
(金子則彦監修/技術評論社)』

プロジェクトマネージャの仕事場

プロジェクトマネジャーの具体的な業務内容、必要とされるスキルなどをリアリティあふれる架空の物語を通して解説した一冊。ストーリー形式なので読みやすく、PMの日常が具体的なイメージとして想像できる点が秀逸。特に巻末付録の覆面座談会ではPMのキャリアパスなども論じられているので、PM志望の若手エンジニアは必読!

観察系エンジニアの告白

7月に技術評論社から『観察系エンジニアの告白−みんなのシステム開発青春物語』を上梓予定。
http://www.shoeisha.com/
pmp/column/column.htm
にて、「司馬紅太郎とPMP十三楽坊のプロマネ・コラム」を執筆中。

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イラスト/きたみりゅうじ
取材・文/山下久猛(編集部)