そんなに毎日たくさんしゃべってて喉は大丈夫かとよく聞かれるんですが、それがねぇ、どういうわけか丈夫なんですよ(笑)。特に気をつけてることや摂生してること、喉をケアしてることもなくて、タバコも吸うし、夜遅くまで遊ぶこともあります。僕は本当に「あるがまま」なんです。あるきっかけでそうなったんです。
というのは、若い頃はとにかく摂生していました。「声の仕事をちゃんとやるためにはせめて7時間は寝ないとダメだ」とか、「とにかく仕事のある日は本番の4時間前に起きて発声練習しなくちゃいけない」というのを自分に課していたんです。それがけっこうプレシャーになりましてね。
さらに20代半ば頃から段々忙しくなってきて、30代も中盤にさしかかるころには毎日朝10時から夜12時まで、1日5本も6本もナレーションの収録をするという日々が続くようになりました。自分の時間なんて全然なかった。仕事自体は好きだけど、あまりにも仕事に追われすぎてストレスの方が大きくなっちゃって。お酒が飲めればストレスも発散できたり気持ちも切り替えられるんだろうけど、僕はお酒が飲めないのでストレスがたまる一方だったんです。それが限界にきたある日、そんな自分に造反したんです。「もうやってられるか!」って。
それである日、仕事が終わった後、友達とカラオケに行って夜通し歌って、翌日ほとんど徹夜状態のままナレーションの収録に行ったんです。そういう状態でちゃんと仕事ができるかどうか不安でしたが、普通にできたんですよ。さすがに眠かったけど、仕事に影響はなかった。「なんだ、徹夜でやっても大丈夫じゃないか」と。同時に今まで摂生していたのはなんだったんだろうと思いました(笑)。今まで常に「体調を整えなきゃならない」「眠らなきゃいけない」と自分にプレッシャーをかけていたから、ストレスがたまっていた。でもそうしなくてもやれると思ってからずいぶん気が楽になって、あるがまま・やりたいことを我慢せずにやるやり方に変えたんです。
例えば、それまでマネージャーから「忙しいのだから暇ができたら体を休めてください」と言われてたんだけど、暇ができたら好きな友達と遊んだり、ゴルフや釣りに行くようになりました。そうするとストレスが全くたまらなくなったんです。それ以来、今に至るまで同じやり方をずっと通しているんです。 |