私の人生にはピンチと幸運が交互にやって来るという特徴があるようです。もっとも、ピンチの方は自分でつくり出している感が否めませんがね(笑)。
独立して2年目に、損害保険業界の周りにある調査会社からの要請で、むち打ち症詐病対策の鑑定依頼を受けることになりました。当時、マスコミが喧伝したことがきっかけになって、全国的にむち打ち症を訴える人が異常発生していました。
むち打ち症には、1.他覚的所見がない、2.レントゲンなどの客観的な発症の認定方法がない、3.主訴以外に判断のしようがないという特徴があります。そういうわけで、昔の当たり屋に相当する、保険金詐取狙いの詐欺手段にむち打ち症が盛んに利用されるようになったんです。バンパーに傷がつかない程度のコツンと軽く当たったくらいの衝突事故でも、自称・重症のむち打ち症患者が発生していました。
当時の詐病患者のマジョリティの三羽烏はヤクザ、40歳以上の水商売関係の女性、タクシーの運転手といったところでした。損保会社や裁判所も怪しいとは思いながらも、当時はその真偽を証明する方法がなかった。また、町医者も、むち打ち症は健康保険適用外だから高い治療費が取れるということで、安易に診断書を出す傾向がありました。まさに詐欺師天国の状態です。
当時は、むち打ち症の異常発生によって、損害保険業界は経営が危ぶまれる状態に近付いていたようです。それで損保会社関連の調査会社から、むち打ち症の仮病を使って保険金を請求してくる詐欺師に対抗する鑑定対策を求められたというわけです。 |