工場を辞めるとき、社長から「ラーメン屋なんて若い男のやる仕事じゃねえ」って言われたけど、やってみると旋盤工もラーメン屋も同じってことが分かった。手に職って意味では結局、同じものづくりだからね。
でもラーメン屋の仕事はキツかったよ。旋盤工を辞めなきゃよかったかなと思うことがあったくらいにね。なにしろ1日が長いんだから。朝は空が明るくなったら起きなきゃならないし、夜は電車が終わるまででしょ。睡眠時間は3時間あればいい方だったよね。
朝はまず火起こしから始まるんだ。今みたいにガスじゃなくて、コークスを炊いてたからね。前の日のお客さんが使った割り箸を火種にして火を起こすんだよ。だから最初からたいへんなんだよ(笑)。
店に入った当初のメインの仕事は製麺。私は子供のころから農作業で体ががっちりしてたから、製麺をやらされたんだろうね。製麺の仕事はとにかく力が必要だから。
まず7キロくらいの小麦粉に潅水と塩を入れてひたすら手で練るんだ。ミキサーなんてないから、何度も何度も練ってツブツブが細かい粒子になるまで練り上げていく。堅すぎても柔らか過ぎてもダメ。腕も腰も使う。
それから薄く延ばす。それ用の機械はあるんだけど、モーターがなかった。だからハンドルをひたすら手で回してた。最初、いい運動になるって喜んでたんだけど、やってくうちに疲れちゃってね。いつも早くモーターを入れてくんないかなって思いながらやってたよ(笑)。
こんな感じで長時間・重労働だったけど、つらくはなかったな。若かったんだろうね。当時17歳くらいではりきっていたからね。睡眠時間も人間3時間も寝られれば十分だと思ってたし。早く一人前になりたいと思ってたから全然平気だったね。だからしんどかったけど手を抜いたことは一度もないよ。
あと俺は今でもそうだけど当時から酒が全然飲めなかったから、朝早いのも苦にならなかったんだよ。酒飲みは朝つらいよな(笑)。酒を飲まなかったおかげで、これだけ体がボロボロになっても生きていられると思うんだよね。 |