病院の中ではなかなか答えが見つからなかったので、外に出ていろんな所から話を聞いてみようと、勉強会を見つけて参加するようになりました。婦人科に入って1年くらいのころでした。
でも勉強会に行くと、医療関係者しか集まってなくて私が聞きたいような話が全然聞けなかった。これじゃダメだと思って医療関係者じゃない、一般市民の勉強会みたいな所に行こうと思ったんです。
いろいろと探していく中で、ホスピスボランティアを育成する会を見つけました。上智大学の夜間講座だったんですが、アルフォンス・デーケンさん(注1)というすごく有名な教授が主催者だったので参加したんですね。
そしたら、さすがにみなさん、ホスピスボランティアになりたいだけあって、生や死に対する意識が高かったですね。ほとんどが遺族だったり、身近な人をホスピスで亡くされたという方が多くて。そこで初めて、「病院の中じゃ言えなかったけど──」、という本音をすごくたくさん聞けたんです。言えない理由もそこで初めて聞けました。「人質にとられているようなものだから言えない」、「言っても分かってもらえないから言えない」と。みなさん、「今になって初めてそういうことが言える、病院の中にいた時は言えなかった」って言うんです。そういう話を聞いて、ショックを受けましたね。
あとはインターネットで、患者さんたちが集まっているサイトがたくさんあって、そこでも患者さんの本音がたくさん出ていました。やっぱり、そういう本音を聞きたいと思っても病院の中では聞けないし、でも一方で患者さんは本心を病院側に伝えたいと思ってる。そこの橋渡しをする役割ってないのかなって考えていたところ、そのボランティア講座に同じように考えている人が何人かいました。その人たちで集まって作ったのが「楽患ねっと」(注2)なんです。
看護師をやりながら「楽患ねっと」もやるのはすごくたいへんでした。睡眠時間を削りながらの作業でしたが、私ひとりじゃなく、夫や仲間と一緒にやってましたから。それに、私にとっては「楽患ねっと」が趣味みたいなもので、やってて楽しかったので全然苦にならなかったですね。 |