私はちょうどそのころ、2冊目の、親が自分の子供に対してどうやってキャリアのことを話すべきかという本を書いている途中だったんですが、すごく悩んでたんです。本の執筆についてもそうだし、私自身、キャリアカウンセリングについて悩んでいた。
当時、今から5年くらい前かな、ある親子のキャリアカウンセリングを行っていたんですが、母親が就職の決まらない息子を兄弟と比べたりしてすごく責めてたんです。それで息子はすごく苦しんでた。だから、私はお母さんに「そんなに息子さんを責めないで」と言ってたんですが、なかなかうまくいかない。この問題をどうしたらいいのかな、と思って先生に相談したら、「あなたがお母さんに言わなきゃいけない言葉は何? カウンセラーとしてお母さんのことで一番理解してあげなきゃいけないことは何?」って言われたんですよ。
その時、はっ! と気づいたんです。私は、お母さんが苦しんでいることを理解してあげなきゃならなかったんですよ。3人の息子たちのうち、上の二人の子は周りから優秀だと言われていて、夫からもOKが出ていたけど、3人目のその子だけがOKが出なかった。お母さんはOKを出したいのに出せないんですよ。だからお母さんは息子を責めてるように見えるけど、お母さんもまた誰かに責められていたわけです。実はお母さんが苦しんでた。私はその息子と一緒になって、お母さんを責めてたんですね。親子のカウンセリングなのだから、カウンセラーとして、子供と同じように母親の気持ちも理解してあげなきゃいけなかったのに、そうしようとしていなかったことに気づいた。それを先生に言うと、「それがわかればいい」って。
だから次に母親に会った時に、「本当にごめんなさい。私、お母さんを責めてばかりいましたけど、お母さんも苦しかったんですよね」と言ったら、そのお母さん、ウワーッと泣かれて。それから徐々に親子関係が変わったと言ってくれましたね。
お母さんは、自分が苦しんでいることを分かってくれたんだから、自分も息子の苦しさをもっとわかってあげなきゃいけない。自分が苦しさから逃れるために、その苦しさを息子にバトンしていることは間違ってるってことに、カウンセリングのやりとりを通して気づいたんです。
上の子供とくらべて出来が悪い息子と思っていた。でも、あなたはあなたでいいんだよ、上の子は上の子でいいんだよ、と。支配的な夫に対しても、あの子はあの子なりに頑張っているからいいじゃないって言えたんですね。
この子はこうしなきゃいけない、私はこうしなきゃいけないんだ、っていう思い込みの「フレーム」が問題のひとつなんです。人間ってフレームの中にいたら守られてるし、居心地がいいんだけど、時として非常に自分自身を押さえつけるものになる。だからカウンセリングによって、「このフレームでいいの?」とか、「もう一回フレームを作り直すこともできるんだよ」ってことを問いかけるんです。その、「リフレーム」というものを、先生から教えてもらったんですね。 |