1980年ころから私の所属している弁護士会でサラ金の相談窓口づくりをやりだしてから、どんどんサラ金被害者の相談が来るようになりました。サラ金苦により自殺・蒸発・夜逃げが多発してるといった状況ですからね。ひどいときは相談者が殺到してさばききれなくなり、相談希望者が予約してから2カ月後でなければ相談が受けられない状態になった(注2)。その間、サラ金の取り立てを受けているから、相談当日になると相談に来る予約者は半分以下になるんです。蒸発してしまって。相談者に対して弁護士の数が圧倒的に足りなかったんですね。
だから、弁護士会に出かけていって、他の弁護士にサラ金相談の担当になってくれと、チラシを配ったりしたんだけど、それでも全然増えないんですよ。なぜ増えないか。みんな被害者に対して同情はしているんだけど、相談に乗ってもお金がもらえないんじゃないかということを心配してたんですね。当然サラ金被害者救済もボランティアじゃやれないから弁護士費用はかかるわけですよ。
今でもそうなんですが、大抵、弁護士っていうのは、離婚訴訟などを請け負うときにまず着手金を一括でもらうんですよ。そうしないと動かない。仕事をしない。それで終わったら一括で報酬をもらう、というようなやり方でやっているんですね。ところが、相談に来るのはサラ金から借金するような人だから、一括で弁護士費用なんて払えないわけです。一括で払えるくらいならサラ金から金なんて借りないわけですよね。弁護士もそこを心配してた。
そこで、私がサラ金の被害者からどうやってお金をもらっているかという講演をやったんです。そうすると講堂が満杯になった。立ち見が出て、講堂の床が抜けるんじゃないかと思うくらい、弁護士が集まったんです。
そこで私が言ったことは極めて単純なんですよ。「一括じゃなくて分割にすればいい」と。私は相談者には「サラ金、クレジットだって分割で払っているでしょ、弁護士費用だって分割でいいんですよ」って言ってると(笑)。だから、5000円でいい人は5000円ずつ、1万円の人は1万円ずつもらえばいい。弁護士が入れば取り立ては確実に止まりますからね。20万円の給料の人でも、月々そのくらいは支払いができるんですよというお話をしたんです。
そうしたらね、みんな、「宇都宮先生、目からウロコが落ちました」と(笑)。でもね、そんなのは世間一般から見たら常識ですよね。弁護士ってのは一括で弁護士費用をもらうもんだという固定観念があった。それをぶち壊したら、協力してくれる弁護士が大勢出てきたんです。
それでもサラ金被害者の数の方が圧倒的に多いから、夜間の一斉相談も行いました。夕方の5時から夜の9時ころまで講堂に何十人か弁護士を集めて、一回に数百人のサラ金被害者の相談に乗るということをやっていたんです。
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