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一年間に転職する人の数、300万人以上。
その一つひとつにドラマがある。
なぜ彼らは転職を決意したのか。そこに生じた心の葛藤は。
どう決断し、どう動いたのか。
そして彼らにとって「働く」とは—。
スーパーマンではなく、我々の隣にいるような普通の人に話を聞いた。
第47回(後編) 木下一成さん(仮名)32歳/営業職
コンサルタントとの出会いで 年収100万円アップを実現 あきらめない心が扉を開いた

農業機械の輸入・販売を行う商社に入社し、海外営業と物流・貿易関連業務に携わっていた木下一成さん(仮名・32歳)。忙しくもやりがいのある仕事と愛する家族。公私共に幸せな日々を過ごしていたが、会社の急速な業績悪化により、リストラと減給が決定。実際に給料がカットされた2008年4月、転職を決意した。

予想を超えるスカウトメール
 

 転職を決意した木下さんがまず取り組んだのは英語の勉強だった。

「転職する際にTOEICの点数は武器になるのではないかと思ったからです。仕事帰りに英会話教室に通いました」

 元々仕事で英語を使っていたこともあるが、3カ月後には800点近くをマークするほどに上達した。

 と同時にインターネットで情報収集を開始。有名転職サイトに片っ端から登録した。その中のひとつに【人材バンクネット】があった。一度登録してキャリアシートを匿名公開すれば、後は自分のスキルを求める人材バンクからのスカウトメールを待つだけというシステムに惹かれ、早速キャリアシートを匿名公開してみた。

 すると登録した当日からスカウトメールが届き始め、1週間で20通を超えた。

「正直これほど来るとは思っていませんでした。とてもすべて処理できる数ではなかったですね」

 届いたスカウトメールの内、具体的な求人案件が記載されていた10通に返信。「初めての転職だし、とにかく可能な限り、いろんなコンサルタントに会った方がいい」と思い、すべての人材バンクに面談に赴いた。その過程で自分のやりたいことが、具体的な言葉となり固まってきた。

 このとき木下さんが転職先の企業としてイメージしていたのは、そもそもの退職理由だった年収アップが見込め、これまでの経験を生かせる海外営業・貿易・物流関係の仕事ができる会社。しかも商社ではなくメーカーだった。

「商社の場合は、いろいろな国の農業機械を扱えますが、売ったら売りっぱなしというか、技術的なアフターケアには限界があるんですよね。ですので今回は商品を右から左へ流すだけではなく、売った後のケアを行い、お客様の声を技術者にフィードバックできるところまでをやりたかった。そのために機械メーカーを志望したんです」

苦戦の日々
 

 木下さんは【人材バンクネット】と並行して、直接複数の企業の求人にも応募していた。しかしなかなか書類選考を通過できなかった。大学卒業までに8年間を要した(※1)ことがネックになっているようだった。

「複数の企業から書類選考の段階で不採用通知が届いたときは、落ち込みました。企業の採用基準にすら届かない自分が果たして転職できるのかって……」

 しかし、ただ落ち込んでいるだけではなかった。その後は転職サイト等で職務経歴書の書き方を研究したり、コンサルタントのアドバイスを参考にして、応募企業の要望にできるだけ合わせるような書き方に変えた。すると少しずつ書類選考を突破できるようになっていった。しかし内定までにはなかなかたどり着けなかった。

自ら応募。人材バンクへ面談に
 

 転職活動開始から2カ月、内定が出ないまま、季節は秋になっていた。スカウトメール経由で応募した求人は全滅したので、自分から積極的に動こうと【人材バンクネット】で求人検索した。すると、魅力的な求人がヒット。早速、担当だったキャプラン株式会社の小木津克也コンサルタントとコンタクトを取り、面談に赴いた。

 すると小木津コンサルタントは木下さんの話を一通りヒアリングした後、別の企業もいくつか紹介してくれた。

「すごく丁寧な方で、転職に関する要望を的確にくみ上げていただきました。業界知識も豊富で、他の企業の求人案件も、希望とマッチするものばかりでした」

 その中に、最初にエントリーしたもの以上に魅力的な求人があった。それは某建設機械メーカーの営業職。これまで取り扱ってきた農業機械との類似性も高いので、経験が生かせることが魅力だった。予定年収額は今勤めている会社よりも約100万円も高かった。

 木下さんはこの企業を第一志望とし、最初にエントリーしたものを含め、紹介してもらった5件の求人案件すべてに応募した。

コンサルタントの助言で
内定獲得
 

 面談から一週間後、第一志望として応募した求人の書類選考に無事通過したとの報せが入った。しかし面接に当たって、ひとつ気がかりなことがあった。第一志望の企業は輸出をメインに行っている建設機械メーカー。しかし自分のこれまでのメインは輸入業務。経験不足は否めない。過去の面接でもそこを突っ込まれて答えに窮し、内定を逃してきた。今回もそうならないだろうか……不安を抱えていた木下さんに救いの手を差し伸べたのが小木津克也コンサルタントだった。

「面接前に小木津さんから具体的なアドバイス(※2)をいただいたんです。自分の売りとなる強みは必ずあるということと、その表現方法を教えていただきました。気持ちが楽になりましたし、とても助かりました」

 小木津氏からのアドバイスを基に一次面接(※3)に臨んだ木下さんは無事突破。その10日後、二次面接が行われた。一次面接終了後に小木津氏と面接の振り返りと、二次面接の対策について相談したことにより、自信をもって面接に臨めた。面接官は人事と2人の役員だったが、落ち着いて転職理由と志望動機を語ることができた。

 その5日後、木下さんは出張で北海道にいた。同僚とランチを食べているときに携帯の着信音が鳴った。小木津氏からだった。「おめでとうございます!」小木津氏は言った。

「これまで苦しい状況だったので、とてもうれしかったです。周りに人がいただけに素直にうれしさを表現できなかったのですが、心の中でガッツボーズをしていました(笑)」

家族への思いが
モチベーションに
 

 どんどん悪化する業績。加速するリストラと給料カット。そんな中生まれた新しい命。家族を守るために転職を決意した。しかし初めての転職で何から手をつけていいのかわからなかった。応募してもなかなか面接までにたどり着けない。本当に転職できるのか。不安に押しつぶされそうになったときもあった。背中を押してくれたのは、他ならぬ家族だった。

「もしひとりだったら転職はあきらめていたかも……というより、最初から転職を考えなかったかもしれません。独身なら給料を少しくらい減らされてもなんとかなりますから。家族のためにという気持ちがあったからこそ、最後まであきらめず転職活動を頑張れたのだと思います。そしてその気持ちを支えてくれた小木津さんにはとても感謝しています」

 新天地に入社して約2カ月。早くも、前職で担当していたものよりも規模の大きい仕事を任されるようになった。責任も感じているが、その分やりがいも大きい。同僚には外国人もおり、いい刺激になっている。

 しかし現在、100年に1度と言われている世界同時不況の真っ只中。深刻な業績悪化が懸念される輸出メインのメーカーに転職したことをどう思っているのだろうか。

「かなり厳しい状況にあることは間違いありませんが、今の会社に転職したことは全く後悔していません。こんな時代だからこそ、会社に貢献して、できるだけ長く勤めたいですね。家族のためにも」

 最後に見せてくれた写真には、二人目の愛らしい子供が写っていた。

コンサルタントより
キャプラン株式会社
小木津克也氏
小木津克也氏
企業のニーズと転職者の強みが
見事にマッチした結果
 

木下さんとの面談を通して最も強く感じたのは、自分自身の考えをしっかりと持つ非常に魅力的な人柄の方だということでした。受け答えもしっかりしており、コミュニケーション能力に長けていました。また、その話し振りから誠実で芯の強さを感じました。このたび、木下さんが希望の企業に転職成功できた最大のポイントはここにあると言っても過言ではないでしょう。なぜなら経験はもちろんですが、それ以上に人柄やポテンシャルを重視した求人だったからです。

一方、企業がスキル面で重視していたのは、今回の求人が海外営業職(輸出)で木下さんの経験である輸入業務と丁度反対の職務となりますが、必須条件が貿易の知識・実務経験、語学力であり、加えて海外企業との直接のやりとり経験や大型機械を扱った経験を歓迎スキルとしていましたので、こちらでもぴったりでした。

ただひとつ心配だったのが、本人も気にしていた大学卒業までに8年間を要したことと職務経験がそのために同年齢の方に比べ短いということです。でも8年間の理由を聞いてみると、決してさぼっていたわけではなく、諸般の事情で2年間休学し、塾の講師をしていたからということでした。また、短い職務経験部分は具体的な実務内容を確認し、非常に濃い経験をされていることが確認できました。当然企業も気にするポイントなので、応募する際に、採用担当者に経験や人柄だけでなく、これらの点を詳しく説明しました。もし、何も説明しなければ書類で落とされる可能性は高かったと思います。

面接前に木下さんには、前職で培った海外の顧客との交渉や折衝の経験をしっかりアピールすることと、なぜその企業に転職したいのか、志望動機を自分の言葉で伝えるようにアドバイスしました。その結果、企業側はとても好印象を抱いたようで、1次面接終了の時点での高評価に繋がりました。

一方で木下さんにも企業に対する印象を確かめたところ、かなりの好印象を抱いていたので、企業に伝えるとますます採用に意欲的になりました。さらに1次面接の振り返りと2次面接に向けての対策を練ったことで、2次面接にもリラックスして臨め、真剣に入社したいという気持ちが企業に伝わった結果、早めに内定が出たのだと思います。これは人材バンクを使った転職ならではの強みでしょうね。

現在は未曾有の経済危機により求人件数も減少傾向ですが、そんな中で転職を志す人にアドバイスしたいことは、すべてを自分だけでやる必要はないということですね。ひとりだけでは、キャリアの棚卸しをするにも、自分に合っている仕事や自分の経験を生かせる企業を探したりするのにも限界があります。ですからひとりだけで悩まずに、友人や先輩など周りの人の意見に耳を傾けることが重要です。表に出ない求人情報を豊富にもち、一人ひとりに応じたキャリアカウンセリングが可能な弊社のような人材バンクを利用するのもひとつの方法です。

求人が減っていると盛んに言われていますが、中にはこんな状況下においても積極的に募集している魅力的な企業も多数あります。納得のいく転職をしたいと望んでいる方は一度是非相談にお越しください。

 

取材を通して感じた木下さんの印象はとにかくまじめで誠実。そんな人柄が今回の転職成功の大きな要因だったと、担当コンサルタントの小木津氏から聞かされた時は妙に納得しました。

とかく現在の転職においてはスキル面ばかりが強調されますが、やはり人柄、ヒューマンスキルを重視する会社もまだまだあるということがわかりました。

そんな会社をひとりで見つけるのは困難です。今回木下さんが転職できた会社も小木津氏と出会ったからこそ知ることができたし、それを境にこれまでの苦戦が嘘のようにとんとん拍子で内定が決まりました。人材バンクを利用した転職のメリットがもろに出たケースと言えるでしょう。

しかし一番の勝因は、スカウトメールの求人がダメなら自分から応募するという積極性だったと思います。木下さんには改めて、困難な状況下でもあきらめないこと、そして行動することの大切さを教えてもらったような気がします。

 
プロフィール
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農業大学卒業後、農機具の輸入・販売を手がける商社に入社。海外営業ならびに物流業務に4年半携わるも、業績悪化による給与カットで転職を決意した。

木下さんの経歴はこちら
 

※1 大学卒業までに8年間を要した
そのうちの2年間は諸事情で大学を休学し、塾のアルバイトをしていた。決してモラトリアムで留年を繰り返していたわけではない。

 

※2 アドバイス
「企業のニーズに自分の経験を合わせて効果的にアピール」、つまり「応募する会社に入ってどう貢献できるか」をアピールすることが大事だと教わりました。また、身だしなみなどの基本的なことも教えてもらいました。初めての転職だっただけに大いに助かりました」

 

※3 一次面接
応募者2名での集団面接。面接官は人事と所属部署の上司となる人物だった。

 
 

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