「社内で30歳を過ぎてもリーダー未経験という先輩社員を見るうちに『いったい私は何歳になったらマネジャーになれるんだろう? そしてそのとき、ポジションにふさわしい実力はちゃんとついているのだろうか』という不安が徐々に大きくなっていったんです」
そんな、身体的かつ精神的に強いストレスを受ける毎日を過ごしていたある日、大川さんは身体に異変を感じた。仕事をしている最中に突然激しい動悸に襲われ、全身から汗が噴き出した。かと思ったら次の瞬間、体の芯から寒気を感じ、震えが止まらなかった。
最初は何が起こったんだろうとパニックに陥りかけたが、こんなことぐらいで作業の手は止められないと平静を装って業務を続けた。続けながら「身体に無理な負荷をかけてきた反動かもしれない」と思った。
医師の診断は「自律神経失調症」。即、休養を命じられた。しかし納期は目の前。ただでさえ少人数のプロジェクト。ひとりでも欠けたら、絶対に納期に間に合わない。大川さんは2日休んだだけで仕事を継続。いつ襲ってくるかもしれない発作の不安と戦いながら。
でも仕事って体を壊してまでやるものなのだろうか。このままでは倒れてしまうかもしれない。ウツ病になって業界を去った友人のことも頭をよぎった。
そして何より、こんな会社にいても成長は見込めない。
23歳の大川さんの頭の中に「転職」の2文字がちらつき始めた。
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