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変革する日本の製造業・第3回 — デジタル情報化社会で製造業はどう変わるか
株式会社オーテック 代表取締役CEO 呉宮仁鎬氏
ものづくりの現場にITが導入され、その価値基準が"もの"から"情報"へ移り変わりつつある製造業界。IT化の導入遅れが響く日本の製造業の競争力は今、ものづくり現場へのデジタル技術導入と、高い技術力を強みにした世界との協業・コラボレーションへの取り組みが急がれている。第3回の今回は、工業界グローバルポータルサイト「ものづくりタウン21」を運営する株式会社オーテックCEO・呉宮仁鎬氏に、デジタル情報化時代の製造業の取り組みと国際舞台で活躍するために必要なポイントを伺った。

株式会社オーテック 代表取締役CEO 呉宮仁鎬氏

[PROFILE]
1964年大阪府東大阪市生まれ。大阪工業大学卒業後、メーカーを経て95年株式会社オーテック設立。2000年ミレニアムトレード株式会社設立し、中小製造企業におけるグローバルファクトリーメガネットワーク化を提唱。現在は工業界ポータルサイト「ものづくりタウン21」を運営、アジアを中心に世界10000社以上とのネットワークを持つ。財団法人大阪市都市型産業振興センター、大阪産業創造館「ものづくりコーディネーター」、大阪市「ものづくり再生会議」委員等、務める。

デジタル情報技術を活かしたGMFNを構築
 インターネットをはじめとするIT技術の普及は、他の業種と同じように製造業にも大きな変化をもたらした。デジタルエンジニアリング技術など製造業の現場にITが積極導入されるなか、今ものづくりの基準は製品品質を問われる"もの基準"から"情報基準"に移りつつあるといわれている。

 「デジタル情報化社会の到来は、メーカーにも多大な影響を与えています。開発から生産・販売までの工程管理から、設計や流動解析、写真などデジタルに置き換えられるデータは、今後早い段階ですべてアナログからデジタルに移行するでしょう。インターネットによって地球上の距離や時間はゼロに近づきつつあります。確かに便利なツールです。これまでコンタクトを取ろうと思っても何日もの時間を要したお客様と、瞬時にコミュニケーションできるのですから。これからの情報化社会、デジタルインフラを活かしていかに効率のよいマーケティングセールスを実現できるかが、製造業にも求められるのです」と呉宮氏。CEOを務めるオーテックでは、前回名前をあげた製造業支援サイト“ものづくりタウン21”を2000年に立ち上げ、インターネットによるグローバルメガファクトリーネットワーク(GMFN)を構築する画期的な展開をすすめている。

国の垣根を超えた工場ネットワーク
 “ものづくりタウン21”は現在日本・韓国・中国その他のアジアを中心に、10数ヶ国約10000社の工場(受注企業)とメーカー(発注企業)約500事業所が参加する一大GMFNである。世界中の工場のプロフィールと、エンジニアやバイヤーなどの人材情報を集積し、また各工場からの提案とかメーカーからの発注情報などを発信している。あたかも巨大企業のようなネットワークのなかで、参加する製造業者は独立した事業体としてプロジェクトごとに自由に加わることが可能だ。

 「いわば国の垣根を超えた工場のネットワークですね。国際協業のひとつの形として、資本関係のないコラボレーションを目指しています。もはや顧客が日本企業か、海外企業であるかもこだわっていません。“ものづくりタウン21”はあくまでものづくり集団です。それが今より高く評価されるためには、参加企業に関しても、顧客に関しても、よりネットワークを広げていく必要があると考えています」と呉宮氏。こうした試みが、今後、製造業のグローバルスタンダードになっていくのかもしれない。
ものづくりタウン21
オーテックが運営する「ものづくりタウン21」。世界から製造業に関するあらゆる情報が集まる


国際舞台で活躍するために必要なこと
 最後に"ものづくりタウン21"のような国際協業を図る上で欠かせない人材について、そして国際舞台で活躍するためのポイントを呉宮氏に伺った。

  「日本人相手なら、日本人が共通認識として持っているビジネスの習慣みたいなものに頼ることができます。しかし、ひとたび海外へ出てしまえばそんな甘えは許されません。商談にしてもシンプルな言葉で、まず最初に結論を伝えることが大切です。その他にも自己表現力、提案力、語学力、情報収集力……と必要なものはたくさんあるでしょう。そんな中でも、最も重要なのはチャレンジ精神ではないでしょうか。いつ、どこで、どんなことがあっても怯まずにぶつかっていけるかどうか。それがこれからの製造業には求められるのです。私にも厳しい時代もありましたが、この仕事でいつか社会に役立ちたい、そう思ってがんばってきました。これからの国際社会、こうした起業精神のような"熱い魂"がなければ生き残れません。今、働く場所は世界各地に広がっています。もし世界で自分の能力を活かしたいならば、自分のためではなく、社会と自分のかかわりを考え、社会への使命感や価値観を心に持って臨んでほしいと思います」

<<※第4回につづきます>> 第2回 「国際大競争時代のものづくり」

日研総業株式会社 WEB人材事業部 道幸俊也氏 聞き手:道幸俊也(みちゆき としや)氏

日研総業株式会社 WEB人材事業部
オペレーションマネージャー/キャリアコンサルタント



1963年生まれ。厚生労働省認定キャリアコンサルタント(JAD認定キャリアカウンセラー)。京都工芸繊維大学卒業後、日研総業株式会社へ入社。アメリカ・シリコンバレーにて日本能率協会の生産性工場のプロジェクトに参加。帰任後、同社WEB人材事業部を立ち上げ、製造業を専門にした転職支援・キャリアカウンセリングを行っている。米国でのコーディネート経験が活きるカウンセリングが好評。
Jobチャン

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2003.10.29 update  

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