IT市場の失速感が強まる状況下、転職市場や求人動向などをいち早く把握しておくことが、転職成功の鍵といえるであろう。IT業界において伸びているのはどのような企業か。またエンジニアに求められるのはどのようなスキルか。ｅビジネスに専門特化した転職支援サービスを提供する株式会社エクスペリエンスのM氏にお話を伺った。 取材協力／株式会社エクスペリエンス　本社 HRコンサルティンググループマネージャー　M氏 法人向けITサービス企業が勢いを増す 　 「ネットビジネスの黎明期に牽引役として騒がれたネットベンチャー企業は、昨年からの株式市場の悪化と共に淘汰が始まり、今年の夏頃には勝ち組企業が明確になりました。最近では、SIサービスを提供する企業間でも淘汰が始まりつつあります」——Ｔ氏は、IT業界の現状をこう語る。世界的に失速感が拡がったIT市場に、アメリカの同時多発テロというマイナス要因が加わり、市場回復が更に遅れている。中でもその影響をまともに受けたのが外資ハードウェアベンダである。 　苦戦するハードウェアベンダに対して、「勝ち組」の旗頭ともいえるのが、独自の高い技術力をもったソフトウェアベンダ、システムインテグレータ（SIer）などの法人向けITサービス企業である。「基幹系システムの開発において高い技術力を持つ企業様は、受注も好調なようで、採用活動も恒常的に行っていらっしゃいます。また、求人に関して言えば、ERP（統合業務）関連の技術者やコンサルタントに対するニーズがここ最近急速に高まっています」と、Ｔ氏。経営のスピード化が進むにつれ、ERPパッケージ導入のニーズは各業種において一層高まることが考えられる。一方、圧倒的な人材不足により、転職市場は需給バランスを崩しているのが現状だ。ERP関連の技術者にとっては、まさに今が売り手市場といえるだろう。