ミドルマネージャーに対して最も期待する役割

まずは企業が期待するミドルマネージャーの最も重要な役割についてたずねました（単一回答）。

回答結果を検証すると、「部下の育成・マネジメント」29.1％と最も多く、次いで「現場の活性化・モチベーションの維持・向上」24.4％、「チームの目標設定・達成」24.0％と続きます。この３項目がミドルマネージャーに期待する役割として顕著なものと言えます。

一方で「戦略経営・ビジョンの具現化」は14.7％でした。経営を取り巻く環境変化が非常に速い中、企業はミドルマネージャーに対して経営戦略の推進を期待しているといわれますが、この結果を見ると、経営課題の推進より、まずは現場の問題を解決してほしいという企業の「本音」が見えてきます。

ミドルマネージャーが抱えている問題

次に、ミドルマネージャーが抱えている問題について検証するために、「ミドルマネージャーが抱えている問題について当てはまるもの」をたずねました（複数回答）。

「業務が過多である」70.2％、「部下の育成能力が不足している」64.7％と、この２項目が現在ミドルマネージャーが抱えている問題の筆頭となっています。

しかし、その他の項目も「多様な人材をマネジメントする能力が不足している」48.0％、「経営戦略の具現化ができない」40.9％、「疲弊している」38.9％、「部門を超えて連携した経験が不足している」37.2％、「必要な経験や知識が備わっていない」31.8％、「事業再編や戦略の策定など変革に参加した経験が不足」30.3％、「モチベーションが低下している」30.2％といずれも30％を超えており、ミドルマネージャーの抱える問題がいかに数多く、かつ根が深い（重層的である）ものであるかが分かります。

企業側は「部下の育成・マネジメント」や「現場の活性化・モチベーションの維持・向上」「チームの目標設定・達成」といった現場での問題解決を期待する一方、マネージャー自身がこうした数多くの問題を抱えている現状では、期待する役割に十分応えることは難しいのではないでしょうか。

ミドルマネジメント対策というのは、いずれか1つの問題に対応すれば解決するというものではなく、対処にはかなりの時間・労力を要することが容易に想像できます。

ミドルマネージャーの現状

このように数多くの問題を抱えるミドルマネージャーですが、現状では「マネージャー業務」と「プレーヤー業務」のどちらにウエイトがおかれているのでしょうか。

「マネージャー業務に注力している」「どちらかというとマネージャー業務に注力している」を合わせても「マネージャー業務」に注力している企業は、わずか13.8％でした。 一方、「プレーヤー業務に注力している」「どちらかというとプレーヤー業務に注力している」の合計が59.9％と約6割を占め、多数派となっています。

いずれにしても、マネジメント業務とはかけ離れたプレーヤー業務に注力するマネージャーの現状が浮き彫りとなっています。前問の回答からもわかるように、現状マネージャーはあまりにも業務が多忙で、本来求められている部下に対するマネジメントはもちろん、部下の育成にあまり手をつけられていません。実質的にはプレーヤーの状態でありながら、「部下の育成能力が不足している」「多様な人材をマネジメントする能力が不足している」と言われても、それはあまりに酷な評価といえそうです。