キャリア&転職研究室|キャリレボ|第11回うまくいかない転職活動から何を学ぶか

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キャリレボ
自分のキャリアで迷ったり、煮詰まったり、悩んだりと壁にぶつかっているなと感じたときは、もしかしたら自分の判断基準や価値観を、一度、疑ってみることが必要かもしれない。壁を乗り越えるとは、それまでの自分を乗り越えるということだから。日々の小さな自分レボリューションで明日をつくろう

うまくいかない転職活動から何を学ぶかが、その後を変える
 「転職活動が、自分を知るきっかけになった」という話を聞くことが最近多い。特に、うまくいかない転職活動から学ぶことが多いようなのである。

 契約社員という立場が不安で、入社して3、4カ月目くらいに転職活動をしてみたという北森典夫さん(仮名・28歳)は、応募してみたけど落とされた体験から「自分にはアピールできることがない」と思い知らされた。英語力もあるし、まだ若いし、どこか入れてくれるところがあるかもなとの甘い期待が見事に敗れたのだった。

 監査法人で専門性を磨いた田中 聡さん(仮名・35歳)も、2年半前に同じく「まだまだアピールできることがない」体験をした。監査法人に勤めて4年になるし、そろそろ次のステージに移るだけの力が付いたかなと思って人材バンクに行ってみたが、「え? この程度の求人しか紹介されないの?」と期待を大幅に下回る現実にぶつかった。

 二人とも、考えたことは同じ。
「次のステップに移るのは、今いる場所で、もっと力を付けてからだ!」

 前向きな「うまくいかない体験」である。

足りない自分を受け入れて、力を付けるチャンスを探す

 北森さんは、社会人経験が浅く「この仕事をしておけば、のちのち評価が高くなる」などの目星なんてつけられなかったけれど、とにかくいまいる場所でチャンスをつかめるようにと行動を変えた。同じ給料しかもらえないのに、大変な思いをするのは嫌だとみんなが避けていた仕事にまずは目をつけ、「あいつになら任せても大丈夫だろう」と思ってもうことを最初の目標にした。しばらくすると「人手が足りないんだけど、この仕事やってみない?」と声がかかり、二つ返事で引き受けた。

 やってみたら、やっぱり大変だった。「でもここで、いいですよと引き受けないと遅れていくだけ」と奮起した。すると、今が大変になった分、「以前やっていた仕事ってなんて楽だったんだろう」と思えるようになった。仕事のキャパシティが広がったのだ。

 「まずはチャンスを与えられるようにする。そして与えられたチャンスは必ずつかむ。このサイクルを1、2年回していれば、必ず次のステージへの切符を手にすることができるはずだ」と確信した。

 監査法人で働く北森さんも、「このプロジェクトやってみないか」と声のかかった仕事をチャンスと感じて、前向きに取り組んだ。1年後に新しく取り組んだ経験、得た知識をキャリアシートに書き加えたら、人材バンクから驚くほど多くのスカウトの声がかかるように。確実に、「会社を選べる側」に回ったのだ。

 転職活動のうまくいかない体験を、悲観したり、すねたり、諦めたりと後向きにとらえても決して前には進めない。いまの足りない自分を受け入れて、目的にたどり着くために何が必要かを考え、身に付けるチャンスを積極的に取りにいったら、日々精進。すると、半年後、1年後、2年後には一回り大きな自分になっている。

 やりたい仕事をつかめても、つかめなくても、そこから何かを学べたなら、その転職活動は意義ある体験となるはずだ。


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文/中村 陽子(編集部)
デザイン/東 聖子(編集部)

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