迷いながらも動き始めれば、きっと何かが見えてくる
求人情報を見ていると、いろんな仕事が世の中にはあったのだということに改めて気付かされるものだ。こんな可能性も、あんな可能性もあるのかもしれないと思えることは楽しい反面、自分が見えなくなってしまうことも起こるようだ。
恵子さんは、何がやりたかったのかをもう一度見つめ直してみることにした。自分がやってきた仕事を紙に書き出し、何をしているときに楽しさを感じたのかを一つひとつ洗い出していった。すると「あ、私はここにもっと力を入れたいと思っていたんだ」ということが見えてきた。
「何のために転職したいのかがわからないまま、転職活動を始めてしまったんですね。自分自身を振り返って、何を大切にしたかったのかを知ることは本当に大事だなと痛感しました」
昇さんはいろんな企業の面接に行くことで、迷路から脱出した。「有名企業=将来的に安定しているというイメージしか持たないまま、転職したい気持ちだけが先走っていたんだと思います。だから、あの業界の方が将来性はあるんじゃないかとか、この職種の方が先々いいんじゃないかとかなり脈略なく応募してしまった。効率の悪い転職活動だったかもしれないけれど、僕の場合は受けてみて落とされたり、面接に行って話をしたり、内定をもらってから悩んだりと自分の体でぶつかってみることでしか、選べなかったんだと思います。もしかしたら隣の芝生が青く見えて転職したかっただけかもしれないけれど、体当たりの転職活動に、悔いはありません」
「何のために転職したいのか」がわからないままの転職活動にも、意味はある。「他にもっといい何かがあるのではないか」との思いが強まって、目の前のことに力を注ぐことができずにいるよりは、「もっといい何か」が本当にあるのかどうかを確かめてみる方が前に進めることがある。動いてみて、「もっといい何か」が見つかったならラッキーだし、たとえ見つからなかったとしても「なんだ、幻想だったんだ」とわかって、今、目の前にあることを大事にしようと思えれば、それは大きな一歩前進なのだ。
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