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自分のキャリアで迷ったり、煮詰まったり、悩んだりと壁にぶつかっているなと感じたときは、もしかしたら自分の判断基準や価値観を、一度、疑ってみることが必要かもしれない。壁を乗り越えるとは、それまでの自分を乗り越えるということだから。日々の小さな自分レボリューションで明日をつくろう

生まれてきたからには、自分を使い切りたい
 「いずれにしても生まれてきたんだから、自分という素材を使い切りたい、廻しきりたい、運転しきりたいと思っています」
(松本 大氏の発言/『組織に頼らず生きる』小杉俊哉・神山典士共著より抜粋)

 マネックス証券を立ち上げた松本氏のことを、この発言を読むまでずっと、別世界の人だと感じていた。男子御三家と呼ばれる有名進学校から東大法学部へ進み、米大手ゴールドマン・サックス証券会社にて30歳にして史上最年少の共同経営者(ゼネラル・パートナー)になったという華麗なる経歴から、スペシャルに頭の切れる出自の違う人だと思っていたのである。

 しかし、「人生の結果・仕事の成果=能力×考え方×熱意」との京セラの創始者である稲盛和夫氏の名言も耳にしたことがある。能力と熱意は0から100点まで間があって、考え方は‐100から+100まで幅があるのだという。

 この公式に、能力の差をつけて当てはめてみると
60(能力)×90(考え方)×99(熱意)=534600
90(能力)×‐1(考え方)×30(熱意)=‐2700

 つまり、能力がいかに高かろうと、考え方(どういう心構えで人生を送り、仕事をするか)と熱意(どうしてもこうありたいという強い思い)がなければ、結果は芳しくない。逆に、能力がほどほどでも考え方と熱意の高さでやり抜けば、結果・成果を出すことができるのだ。

 松本氏の「生まれてきたんだから、自分という素材を使い切りたい」との発言を読んだ時、この公式が即座に浮かんだ。もともとの能力は高い人なのだろうが、考え方も熱意もそれ以上に違いない。そう思ったら、「同じ人間なんだ」となぜだか感じられるようになったのだ。

自分で自分を諦めるな! これだけのことをやり抜いたと思える人生を送るために

 仮に人の持って生まれた能力に先天的な個体差があったとしても、「やり抜いてみせる!」との熱意や考え方はいまこの瞬間からだって高めることができる、自分で変えられるものなのである。それに人は「生まれてきたんだから、自分という素材を使い切りたい」との欲求を潜在的に持っている生き物だ。なのに騙される。肩書きに、世間の評価に……。

 米大手のゴールドマン・サックス証券で30歳にしての共同経営者になったという肩書きやそれに伴う世間の評価といまの自分を比べたら、もちろん誰だって「俺なんて、大した人間じゃない」と思うだろう。そんなにすごい人じゃなく、近くの誰かと比べて「俺なんて……」と思っているかもしれない。そして「どうせ頑張っても、頑張らなくても変わりゃしない」と、自分という素材をどこかで諦めてしまうのだ。でも、大したことがあるのか、ないのかは、結局自分で決めている。まだ何もやってもいないのに、だ。

 もし、「もっと打ち込める何かが欲しい」「もっと熱くなりたい」との欲求が心のどこかにあるのなら、素直に従ってみればいい。結果のためでなく、ただやりたいからやるのである。いま目の前にあることにどのように取り組むべきかを自分の責任において考え、世の中に何を生み出したいのか、提供したいのかという大志を抱いてやり抜けば、きっと何かが変わるはず。あなたが欲しいものは、肩書きや人からの誉め言葉ではないはずだ。「自分はこれだけのことをやり抜いたんだ」と思える人生を送れれば、それでいいのだ。


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文/中村 陽子(編集部)
デザイン/東 聖子(編集部)

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