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あの本を書いたあの人が教える キャリアの極意 Vol.15
転職のタイミングと会社の見極め方
「逃げ転職」はやっぱりよくない!?この転職OK、NGの判断基準とは
「人間関係や職場への不満から転職してもダメ」といわれるけれど、そもそも満足してたら、転職なんて考えない。「不満から抜け出す転職は失敗する……なんてウソ! 逃げで何が悪いのだ」と山崎氏は力説する。この転職OK、NGの新・判断基準とは
Y
山崎 元氏
会社が嫌じゃなきゃ転職なんて考えない
「逃げ」で何が悪いのだ!
 
―― 前回、山崎さんに「転職を前向きに考えてもいい」とアドバイスされたときは、自分の未来がばら色に思えて、すぐさま転職活動を始めようと思ったんですけど……その後、冷静になって考えてみて、実はちょっと悩んでいるんです。
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Y  
あれから社内の環境が変わって、辞める必要がなくなったとか?
 
―― いえ、そうじゃないんです。状況は何も変わっていません。でも、なんていうか……僕の転職動機って、はっきりいって上司への不満が原因なわけでしょう? それって、すごく後ろ向きな理由だと気付いたんです。そんな理由で会社を辞めるのは、スキルアップでも何でもなくて、単なる「逃げ」なのではないかと。
 
Y  
転職を考えたとき、「自分は現状から逃げたいだけではないのか」と自問してみることは、とても冷静でいいことだと思いますよ。でもね、「逃げで何が悪いのだ」と私はいいたいですね!
 
―― ええっ! 「逃げ」でもいいんですか? どの転職本にも「転職理由が後ろ向きだと、その転職はうまくいかない」って書いてあるんですが。
Y  
考えてみてください。今の会社が嫌だという気持ちが多少なりともなければ、転職しようとは思わないですよね?「現在働いているA社には何の不満もないけれど、B社の方が活躍の場が広がるので、A社を辞めてB社に転職します」なんてケースは、ゼロとはいえないまでも、かなり少ないのではないでしょうか。それに転職理由って、どんな人もたいがいは人間関係だったりするものでしょ?

そもそも「逃げ転職」とは、今の環境をとにかく早く抜け出したいあまりに、仕事内容をあいまいにしたまま、次の転職先を決めてしまうことを指すのだと、私は思っています。つまり、「次の仕事の決め方」に問題があるだけの話で、「不満から抜け出すような転職は失敗する」という精神論が原因ではないんですよ。

「この会社にいたらダメになる」は
転職を考えるうえで重要なファクター
 
Y  
例えば「この仕事を覚えたい」「こんな経験を積みたい」と思っているのにそれができない状況に身を置いているということは、経験が積めない分だけ、人材価値が下がるし、満足度も低くなるわけで、これは大きな損失です。

逃げなら逃げで結構だし、そもそも誰かに自分の人生を言い訳する必要などない。満足度の低い会社で貴重な時間を費やすより、さっさと見切りをつけて、新天地に活躍の場を求めたほうが利口ってもんです。逃げか逃げじゃないかについて悩むこと自体、あまり生産的じゃないですねぇ。

「この会社にいたらダメになる」とか、「新しい会社の方が自分にとって得だ」とか、「辞めることのメリットはこんなに大きい」とか、転職理由について明確に答えることができればそれでいい。好き嫌いや転職に伴うさまざまな要素を総合的に考えて、損得ゼロ以上なら、転職して新しい経験ができるだけ得だと思いますよ。

 
―― 「この会社にいたらダメになる」って、まさに今の自分かも。実は今の会社、上司と合わないことを除けば、居心地がいいんです。でもその反面、ぬるま湯でもあるわけで。このままじゃ、自分の成長が止まっちゃう気がするんですよね。
Y  
そういった危機感を抱くことはすごく大事なことですよ! 私も何度も同じような理由で転職をしていますから。仕事の満足感は、大きく分けて2つあります。1つは「高い給料をもらっている」とか「顧客から喜んでもらっている」など他者からの評価によって得られる満足感。もう1つは、「去年の自分よりスキルアップしている」といった自己成長よって得られる満足感。

さっき、転職で迷ったときはさまざまな要素を総合的に考えて判断すればいいといったけれど、今の会社で働き続けて、自分が成長している実感を得られるか否かは、転職を考える上でかなり重要なファクターだと思いますね。

転職に迷ったときは
今よりベターならGO!?
 
―― 自分が成長している実感かぁ。すごく納得です。でも山崎さん、次に行く会社って、実のところ入ってみなければどんな感じかわからないですよね? 転職先での自分と今の会社での自分、どっちがより成長できるか比べられないんですけど……。
 
Y  
そりゃあ、次がよくわからないのは当然です。でも「絶対に今よりよくならなければ転職しない」なんて決めつけてしまうと、身動きが取れなくなってしまいますよ。わかる範囲で比べたときに「ベストじゃないけど、ベターだ」と思うなら、移ってみてもいいと思います。

あと、迷ったときは「2年後の自分は、こうなっていたい」とイメージしてみるのも手です。仕事によって差はあると思いますが、私はどんな仕事でもだいたい2年やれば、ある程度のレベルに達すると思っているんです。仕事もスポーツと同じで、最初はなかなか上達しないけれど、諦めずに続けていれば、ある時期、飛躍的にグンと伸びるときがある。その目安が、だいたい2年くらいかな、と。

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―― 2年かぁ。たしかに自分のことを振り返っても、システムエンジニア1年目は右も左もわからなかったけど、3年目に入る頃には、なんとか形になっていた気がします。
Y  
だから迷ったら、「2年後にはこんな力を身に付け、こんな活躍をしていたい」とイメージしてみる。それが実現できる可能性が高いのは、今の会社なのか、それとも転職先なのか。そうやって考えてみると、おのずとベターな選択ができるのではないでしょうか。

このように「将来の出口」を常にイメージすることは、転職する、しないとか、年齢に関わらず、ビジネスパーソンにとって必要な視点だと思いますよ。たとえば20代なら「2年後、自分はどんなスキルを身につけているのだろう」、40代なら「2年後、自分はこの会社で首がつながっているのだろうか」とね。

そして、イメージした自分になるための1つの選択肢が「転職」なんです。転職という選択をすることで、ビジネスパーソンとしての自由度と可能性が広がり、イメージした自分に一歩近づくことができる。これが、12回転職してきた私の実感です。

 
 
講師:山崎元氏
1958年生まれ。東京大学経済学部卒業後に就職した三菱商事を皮切りに、社会人生活20年間で11回の転職(→野村投信→住友生命→住友信託銀行→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研)を経験。今年に入り、12回目の転職をし、現在は楽天証券経済研究所の客員研究員。一橋大学大学院非常勤講師も勤める。ファンドマネジャー、コンサルタント等での資産運用分野が専門。
この本を3名様にプレゼント
「ダメだ!この会社」(倉田真由美、山崎元/小学館)
『わが社も他社も丸裸 ダメだ!この会社』
(倉田真由美、山崎元/小学館)
 
『だめんず・うぉ〜か〜』で人気のマンガ家"くらたま"こと倉田真由美と山崎元がコラボレーション。2人が「ダメ男」と「ダメ会社」の共通点について大いに語り合う対談のほか、12 回もの転職を経験した山崎氏が、ダメ会社の見分け方について独自の視点で語り尽くす。「将来伸びるかどうかはPER(株価収益率)でわかる」「PBR(株価純資産倍率)1倍未満の会社は、ハッキリいって問題のある企業」などファンドマネジャーならではの指摘も。会社選びの参考にするもよし、「あるある、こんな会社」とネタにするのもよし。転職希望者じゃなくても、楽しめる一冊だ。
左:「転職哲学」(山崎元/かんき出版)右:「僕はこうやって11回転職に成功した」(山崎元/文藝春秋)
『転職哲学』(山崎元/かんき出版)
「最初の仕事はくじ引きである。最初から適した仕事につく確率は高くない」「正確には、何をしたらよいかではなく、自分を使って何をしたいかである」「閉じ込められているほうは飽きる。燃え尽きたのではない」などドラッカーの哲学を紐解いたり、転職のある人生設計について論じてみたりなど、「今や、転職の仕方は、働く個人のすべてが知っておいた方がいいビジネス常識の1つ」だと考える著者が、転職の基本的な考え方を説いた本だ。

『僕はこうやって11回転職に成功した』(山崎元/文藝春秋)
20年間で11回の転職を重ねてきた山崎氏。その軌跡について、1社を1章、合計12章で転職者の立場から語る。新聞公募やヘッドハンティング、グループ単位での企画持ち込み、はたまた倒産など(山一證券)など、あらゆる転職パターンを経験した山崎氏の言葉には、どんなノウハウ本にも書かれていない転職のポイントが満載。
生徒:鈴木大介
30歳。25歳のとき、飲食チェーンの店舗スタッフからシステムエンジニアに転職。5年間がむしゃらに働き、スキルアップに励んできたものの、ここ最近は「転職した方が活躍の場が広がるのでは?」と考え始めている。
photo 山崎元氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
1
転職理由は「逃げ」だって構わない。満足度の低い場所で貴重な時間を費やすな
2
迷ったときは「自分が成長しているかどうか」について考えてみる
3
2年後の自分をイメージ。なりたい自分になるための1つの選択肢が「転職」だ
第16回「『失敗転職』なんて、したくない 入社前にチェックすべきことは何?」へ
「あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意」バックナンバー一覧へ
写真/森山 活
構成/堀川 陽子
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待ち受けていたのは
失望と後悔の日々
中途半端なキャリアで困っています
逃げずに乗り越え
次のキャリアが開けた
履歴書って手書きじゃなきゃダメ?
逃げ転職は良くないは
ウソだった!?
 
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