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TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第9回 35歳で成長が止まっちゃうキャリアデザインではダメなんです[講師:小杉 俊哉氏]

あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意
これからはエイジレス・キャリアの時代です 35歳で成長が止まっちゃうキャリアデザインではダメなんです  
35歳を過ぎたら、ビジネスパーソンとしての成長が止まる!? 「とんでもない」と小杉氏はいう。絶えず成長し続けるためのキャリアデザインのコツ。それは意外にも、自分の好奇心に素直に従うことだった。
K
小杉 俊哉氏
「35歳で完成」なんて、ありえない
成長し続けるようなキャリアを築こう
 
—— 巷では「転職するなら35歳まで」とか、「システムエンジニア35歳定年説」などが囁かれていますが、まるで35歳で成長がストップしてしまい、それ以降は、現場から退いて部下の指導にあたるなど、それまで蓄えた資産(仕事力)で渡っていかなくちゃいけないようなイメージがあって。すると「35歳までに完成されたビジネスパーソンにならなくては」と思うんだけど、無理そうな気がします……。
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K  
確かに35歳前後から、肉体的には「歳をとったなぁ」とか「もう無理が利かないなぁ」なんて感じ始めますよね。立場的にも、中間管理職として部下のマネジメントを任される機会も増えてくるでしょう。でもだからといって、30代後半で、「これまでの集大成の仕事を成し遂げなくては」なんて、あり得ません! それに35歳を過ぎたら成長が止まるなんて考えは、ナンセンス。変に老成したイメージを持たない方が、いいですよ。

世の中や会社を取り巻く環境が急速に変化している今、35歳、40歳、45歳、50歳……と、いくつになっても常に学び続け、成長していかなければ、停滞するどころか世の中についていけなくなってしまいます。成長なくしてビジネスパーソンとしての存在価値はない!
—— やっぱり。マッタリしている場合じゃないんだ。でも、35歳以降に成長していくイメージが、なかなか浮かばないです。
K  
今までの経験や身につけてきたことだけをベースに「何ができるんだろう」と将来を考えても、小さくまとまった将来像しか描けないでしょう。

そこで、枠に捉われずイメージすることが大事なんです。まず、「自分は○歳だから」という年齢の枠。今は、年齢に関係なく、仕事を任せてくれる実力主義の企業が増えています。昔だったら40歳にならないとできなかった仕事も、今なら30歳で挑戦することができる。これはある意味、すごいチャンスなんです。

—— だけど、40歳の人がしている仕事を私がやるなんて……。
K  
「40歳にならないと、人事部長の仕事ができない」のではない。今の自分には経験がないだけで、能力はあるかもしれないんです。やってみればいいんですよ。「○歳にならないと、こんな仕事は任せてもらえない」など自分の年齢に縛られることなく、「こうなりたい」「こんな仕事がしたい」と思ったことに手を出してみればいいんです。
—— 手を出してみるって、そんな簡単には……。
K  
ダメダメ、そんな尻込みするような考え方じゃ。よく「立場が人をつくる」と言うでしょう? 「できるようになったから、やった」のではなく、「やったから、できるようになった」というのが正しいんです。ビジネスパーソンとして成長し続けたいなら、できるかどうかより、やりたい気持ちに素直に従い、チャンスを取りにいくことが大事ですよ。
—— やったから、できるようになった。言われてみればその通りですね。胸に刻みます。
蓋をした瞬間に、成長はストップする
好奇心こそパワーの源。ワクワクドキドキを大切に
 
—— ところで小杉さん、もう一つ問題が。今の私には、「こうなりたい」「こんな仕事がしたい」といった具体的なイメージが描けないんです。こんな私じゃダメですか? やっぱり、成長できないんでしょうか?
K  
もしイメージがないなら、好きなこと、やってみたいことなど「好奇心」に素直に従ってみればいいんです。好奇心は、自分を突き動かすパワーの源だから。やっていて、ワクワクドキドキ楽しいなあと、苦労を苦労とも思わずできちゃう。

子どもの頃は、みんなもっと純粋に、好きという気持ちに従っていたはずなんです。だけど大人になると、「こんなことしても、意味がない」とか「若いうちなら、やったかもしれないけど」と自分の気持ちを型にはめ、好奇心に蓋をしてしまう。本当はそこに、成長し続けるためのパワーが秘められているのに、です。

—— 好奇心かあ。最近、新しいはまりモノ、言われてみればないなあ。
K  
ネットワークと同じで、好奇心も放っておくと対象がどんどん狭くなってくるんです。でも、それじゃあ刺激がないですよね。まず、「今さら始めても、遅いなんてことはない」と思うこと。そして、気になったことは調べたり、ちょっと試してみたりと、とにかく手を出してみること。これまで食わず嫌いだったことに目を向けてみるのもいいでしょう。「これ、仕事に生きるかな」なんて考える必要、ぜんぜんないですよ。

新しいことに挑戦することで、新しいネットワークも広がり、ラッキーを呼び込むことができるんです。その出会いの中で刺激を受け、「面白くてついついはまってしまった」とか「こんなふうな人生送りたいな」というものができることは、多いんです。「自分はこれしか興味がない」「この道だけでやっていきたい」と頑なに思うことなく、チャンスを呼び込めるように動いてみてください。

 
何でもやってみる精神が
オンリーワンな人への近道
 
—— 成長し続けていくために、新しいことにどんどん挑戦していくことが大切だというのはわかります。だけど一方で、35歳ともなると自分の中にそれなりの経験やスキルが蓄積されている。やぱり、今まで培ってきた経験やスキルを、今後の成長に生かしたい! とはいえ、私の経験やスキル、知識なんて「突出してすごい」わけ、ないんですが。
K  
1つひとつだと代わり映えしない経験やスキル、知識も、2つ以上を組み合せることで強みになるんですよ。
—— 組み合せる? えーっと……よく意味がわかりません。
K  
例えば、住宅営業をしている人が、建築士の資格をもっていたとします。すると、簡単な図面ならその場で描けるし、営業トークに説得力が増し、その人の価値がグンと高まりますよね? メーカーにいる原料や素材にとても詳しい人が、商品企画に携わったとします。きっと、他の人が考えつかないような視点でアイデアを発想することができるはず。2つの武器を組み合わせることで、他の人が簡単にはマネできない独自性を発揮することができるんですよ。
—— なるほど。スキルや経験って、バラバラで見ていくと平凡でも、組み合せることでオンリーワンな強みになるのか。
K  
そうなんです。それに、組み合せ次第で、無限のパターンがあるでしょう? でね、ここでも「好奇心」とか「好きなこと」がキーワードになってくる。好奇心に従って、自分の幅を広げる。さまざまなことにチャレンジして、さまざまな経験を積んで、自然と力がわいてくる分野で強みを増やしていく。これを続けていけば、「組み合わせ」で強みを発揮できるようになる。35歳を過ぎたから成長が止まる、市場価値が下がるなんてことはないんです。

40歳を過ぎた頃から、いろんな経験や強みを組み合わせて自由にキャリアをデザインできるようになれればいいですよね。そのためにも、好奇心に蓋をせず、いろんなことにチャレンジしてみてください。

 
講師:小杉 俊哉氏
大学卒業後、日本電気(NEC)に入社し、30歳のとき私費でMBA留学を決意。マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン人事総務部長、アップルコンピュータ人事総務本部長を経て独立。現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授およびコーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長を務める。専門は、人事・組織、リーダーシップ、人材開発、キャリア。
この本を3名様にプレゼント
『ラッキーをつかみ取る技術』
(小杉俊哉/光文社新書)
 

多くの人がキャリアに不安を持つ時代だからこそ、実は「ラッキーを呼び込む」ことが大切だ。「あの人ってラッキーだよね」と思う人には、ラッキーが起こるべくして起こっているのだった。彼らに共通する考え方、行動を知り、それを習慣にしてしまえば、誰でもラッキーをつかみ取ることができる。その「技術」について、今すぐできる小さな変革から「やればできる!」マインドになる変革までを、わかりやすく紹介した1冊。

生徒:ハナコ
32歳。目標に向かって突き進んでいた20代に比べると、最近なんとなく停滞ぎみ。昔のように熱くなれない自分が嫌なのに、具体的なアクションを起こすことができず、悶々としている。
photo 小杉 俊哉氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
1
年齢にとらわれず「こうなりたい」を自由に思い描いてイメージする
2
できるかどうかは気にしない。好奇心に従い、やりたいことに挑戦する
3
いろんなスキルや経験の組み合わせが、オンリーワンを作る
 
 

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