キャリア&転職研究室|あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意|第8回いつも同じ顔ばっかりの毎日に…

TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第8回いつも同じ顔ばっかりの毎日には刺激もラッキーもありません[講師:小杉 俊哉氏]

あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意
これからはエイジレス・キャリアの時代です いつも同じ顔ばっかりの毎日には 刺激もラッキーもありません  
「最近、マンネリかも」と感じるのは、いつも同じ人とばかり話しているからかもしれないのだ。私たちは、自分が思っている以上に狭い世界で生きている。が、刺激もラッキーも、人を介してやってくる。新しい出会いが、マンネリ突破のカギを握っているのだ。
K
小杉 俊哉氏
いつも同じ人たちと話していても
刺激も答えも見つからない
 
—— ずっと停滞感に悩んでいたんですが、前回、「考え方や行動をちょっと変えるだけで抜け出せる」と言われて、すごく元気が出てきたんです。小杉さん、私、停滞している場合じゃないってことがよーくわかりました。頑張ってラッキーな人を目指します。で、今回はいよいよラッキーを見つける具体的な方法を教えてくれるんですよね? ワクワクします〜。
K  
ラッキーは呼び込めるものなんだ、ってわかってもらえたようですね。前回お話しましたが、「ラッキーは人を介してやってくる」んです。ハナコさんも、たまたま出会った友人、先輩、上司とのつながりが、その後の人生に大きな影響を与えたこと、あるでしょう? 人との出会いは偶然の産物かもしれないけれど、実はその中に、ラッキーがたくさんあるんですよ。ですから、ラッキーを見つけようと思うなら、日頃からなるべくいろんな人と出会い、ネットワークを作り、育てていくことがコツになってくるんです。
—— なるほど。ラッキーは人が運んでくる。自分が人とつながっていればいるほど、ラッキーを見つけられる確率も高くなるってことですね?
K  
そうなんです。ところでハナコさんは、今どんなネットワークをもっていますか? 「最近、停滞している」とのことですが、もしかして、いつも非常に限られた人とだけ付き合っているのではありませんか?
 
—— そう言われてみると、同じ部署だったり、同じ年代だったり、同じ職種だったり、いつも同じ顔触れのような気が。おまけに仕事中心の生活だから、仕事以外のネットワークが全然ないかもしれない……。
小杉氏 やっぱり。私たちは、実は自分が思っている以上に狭い世界で生きているものなんです。でも、いつも同じ人たちとばかり話していたら、少しも発展性がないと思いませんか? 「最近、停滞しているな」とか「もっと自分に合った仕事がある気がする」など、自分のキャリアや人生について悩んだとき、同じような境遇の人たちに話しても、突破口を見いだすことはできません。それよりも、仕事とはまったく関係ないルートの知人が思わぬヒントをくれ、目の前の霧が一気に晴れることが少なくないんです。
いろんな場所に出掛けて
いいなと思う人に、こちらからアプローチ
 
—— となると、私のこの停滞感って、もしかしたらネットワークの狭さが原因なのかも……。しかも、職場のネットワークだけを広げても、突破口は見つからないんですよね。でも、家と職場を往復するだけの毎日で、どうしたら新しいネットワークが築けるんですか? どんなところからアプローチしていけばいいんですか?
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K  
とにかく、いろんな場所に出掛けていくことを億劫がらないでください。そして、「いいな」と思う人がいたら、積極的にアプローチしてみることです。
—— いろんな場所って? 「いいな」と思う人って?
K  
たとえば、興味がある講演会があったら、時間をやりくりして聴きに行く。そして講演終了後は、演者の方と名刺交換をし、帰宅後にメールの一本でも送っておくとかね。ほかにも、感銘した本があれば、著者にコンタクトを取り、会いに行くとか。
—— ええーっ? 著者に会いに行くなんて無理ですよ。小杉さんならともかく、私みたいな素人に、本を書くような著名人が会ってくれるはずがないじゃないですか!
K  
ほらほら、その考え方がラッキーを遠ざけるんです。アクションを起こす前から「できない」と決めつけてしまっている。「どうせ、私には無理」とマイナスの自己イメージを持つ人に、ラッキーがやってくると思いますか? 著者に会いに行くというのは、私の友人が実践していることなんです。もちろん、全員が会ってくれるわけではないですよ。それでも3人に1人は会ってくれるし、彼はそこから新たなネットワークをどんどん広げています。
—— 3人に1人って、意外に会ってくれるものなんですね。ちょっとビックリ。本の著者に会いに行くなんて今まで考えてもみなかったけど、小杉さんの話を聞いたら、なんだか私にもできるような気がしてきました。
どこにでもある出会いをつかまえ、ネットワークを
築けば、ラッキーは向こうからやってくる
 
K  
そうそう、その調子。もちろん、もっと身近なレベルから始めてもいいんですよ。たとえば、私は犬の散歩の途中で偶然会ったフランス人と、犬仲間として付き合っているんです。彼はいつも元気いっぱいで、何事にも前向きな、エネルギーの高い人。なにしろ、出勤前に海で泳いじゃうような人なんですよ。彼と話していると自分も元気になるし、いろんな気づきがあるんです。

人は、パワーを発しているエネルギーの高い人に引き寄せられるもの。そして、ラッキーは人を介してやってくるから、そのような人とつながることで、自分にもラッキーが訪れやすくなるんです。

人とのつながりを作りたいなら、自分が発起人になって会社の同期会や高校の同窓会を復活させたり、趣味でテニスをしたりと、いろんなことができますよ。

出会いのチャンスは、そこかしこに転がっているもの。それに、日頃からネットワークを広げておくと、困っているときや助けがほしいときに、絶好のタイミングで必要な人が現れたりするんです。ハナコさんも、何か困っているとき、ちょうどよいタイミングで必要な人が向こうからやってきた、という経験はないですか? 私はその昔、そろそろ転職しようかと考えていたとき、ヘッドハンターから電話がかかってきたのが縁で、アップルコンピュータの人事総務本部長の職を得たんですよ。

—— ヘッドハンター!? ちょっと待ってください。いくらなんでも、それは小杉さんが優秀だからでしょう?
K  
いえいえ。実はヘッドハンティングされる何年か前に、こちらからたくさんのヘッドハンターにコンタクトをとって、自分の市場価値や方向性について相談していたんです。33歳くらいの時で「社長になれる会社はないか」と聞いたら、「そんなの無理だ。君を欲しがる会社なんてどこにもない」と一蹴された(笑)。だけどそのときに築いたネットワークが縁で、めぐりめぐって数年後、ヘッドハンターから電話がかかってきたんです。
—— 「社長になりたい」なんて……大胆な。でも、自分から声を掛けておくことって思っていた以上に重要なんだ。私も、これからはもっと積極的に、いろんな人と関わっていきます!
K  
そうそう。今のハナコさんのように、「停滞しているなぁ」とか「パッとしないなぁ」なんて悩んでいる人は、意識していろんな人と関わってみることをお勧めします。そうすれば、必ずラッキーが見つかります。じっと待っていても、何も変わりませんからね。
 
講師:小杉 俊哉氏
大学卒業後、日本電気(NEC)に入社し、30歳のとき私費でMBA留学を決意。マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院修士課程修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン人事総務部長、アップルコンピュータ人事総務本部長を経て独立。現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授およびコーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長を務める。専門は、人事・組織、リーダーシップ、人材開発、キャリア。
この本を3名様にプレゼント
『ラッキーをつかみ取る技術』
(小杉俊哉/光文社新書)
 

多くの人がキャリアに不安を持つ時代だからこそ、実は「ラッキーを呼び込む」ことが大切だ。「あの人ってラッキーだよね」と思う人には、ラッキーが起こるべくして起こっているのだった。彼らに共通する考え方、行動を知り、それを習慣にしてしまえば、誰でもラッキーをつかみ取ることができる。その「技術」について、今すぐできる小さな変革から「やればできる!」マインドになる変革までを、わかりやすく紹介した1冊。

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『キャリア・コンピタンシー』(小杉俊哉/日本能率マネジメントセンター)
仕事やキャリアに満足できるかどうか。その答えを探すため鍵は、9つのキャリア・コンピタンシー(物事に対する取り組み姿勢、行動特性など)にある。「自己認識」や「ビジョン」など、9つのキャリア・コンピタンシーを挙げながら、キャリアデザインのヒントを紹介。
『組織に頼らず生きる』(小杉俊哉・神山典士共著/平凡社新書)
清原和博、中田英寿、古館伊知郎らの今の時代のキャリアモデルたちのストーリーを紐解きながら、彼らがなぜ人より抜きん出た力を発揮することができるのかを解説。組織所属していようがいまいが、これからは「自立の時代」だと説く一冊。
生徒:ハナコ
32歳。目標に向かって突き進んでいた20代に比べると、最近なんとなく停滞ぎみ。昔のように熱くなれない自分が嫌なのに、具体的なアクションを起こすことができず、悶々としている。
photo 小杉 俊哉氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
1
ラッキーを見つけるためには、多様性のあるネットワークを作り、育てること
2
「いいな」と思った人には、著名人であっても積極的にアプローチしてOK
3
常に元気で、前向き。エネルギーの高い人は人を引き寄せ、ラッキーを呼び込む

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