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TOP の中の転職研究室 の中のあの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意 の中の第2回やりたいことを探さなきゃと思い込まないほうがうまくいく[講師:キャメル・ヤマモト氏]

あの本を書いたあの人が教える キャリアの極意
第2回 幸せに稼ぐ人になるためのヒント
「やりたいことを探さなきゃ」と思い込まないほうが、うまくいく
キャリアについて考えている人に読んで欲しい一冊を書いたあの人に聞くキャリアの極意。 「やりたいことを見つけたい」との思いが強すぎると、モラトリアムの迷宮にさまよいつづけてしまいがち。そこから脱出するための「自分の軸の掘り起こし方」を聞いた
キャメル・ヤマモト氏
みんな「やりたいこと」に騙されている
 
—— 前回、「自分の軸を見つけることが、幸せに稼ぐ人になる近道」と聞いてから、今日のテーマ「自分の軸の見つけ方」についてお話を伺うのを楽しみにしてました。かなり気合、入ってます。なにしろ「幸せになれて」しかも「稼ぐ人」になる秘訣ですからねえ。ちなみに、「自分の軸」と「やりたいこと」って同じ意味ですよね?
それが本物のやりたいことならね。だけど、「やりたいことを探したい」との思い込みが強すぎると、罠にはまる。先週も話したけれど、「私にはやりたいことがある」といってもその多くが、人がいいといっていることを「これが私のやりたいこと」と刷り込んでいる状態。勝手に思い込んで、自分を騙しつづけているわけなんですよ。

本物じゃないから、市場が変化すると「あれ、あっちのほうがよさそう。私、こんなことしていていいのかしら」「うーん、仕事が辛い。実は自分に合ってないのかも」と自信が持てなくなってしまう。そして再び「やりたいこと探し」を始めるんだよね。だけど腰の据わらないままでは、成長に繋がらない。

あえて言います。やりたいことを無理して探す必要は、ぜんぜんない! それよりも得意なこと、面白がってできることを見つけ出したほうがいいんですよ。
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これまで「やってきたこと」の中にこそ
自分の軸は埋まっている
 
では、具体的に掘り起こし方を説明していきましょう。ここ1、2年の間で「あのときは、毎日残業ばっかりだったけど頑張れたなあ」とか「ものすごく大変だったなあ」と思える時期があるでしょう。そこからまずはひとつの案件を取り出して、ことの始まりから終わりまで時系列に何をやったか、「思い出せること」をできるだけ詳細に思い出してみてください。

「最初は、こう考えてこうした」「次は、こう思ってこうやった」……と、自分が主人公の映画を観るかのように事細かに思い出していく。思い出せたこと=自分で考え主体的にやったことなんですね。その中に、自分らしさが出ざるを得ないポイントがある。たとえば「うまく進めるために、ヒントを人に聞いて回ったよなあ」「あのときは、人と激しくやり取りをしたな」とか。「自分の軸」を見つけるためには、この「自分らしさがどう出ているか」に注目すること。

ここで大切なのは、うまくいったこと、いかなかったこと全部含めて「これまでどんなことをやってきたか」と振り返り、「その中に出ている自分」を見ることです。「企画が得意」と大括りでとらえるのではなく、やったことに徹底的にこだわる。ある1つの案件について、ことの始まりから終わりまでを思い出したうえで、やり方も含めてキーワードを引っ張り出す。こうして浮かび上がってきたことは、その人の本質的な強みの芽でもあるのです。

何回かにわたって思い出しプロセスを書き出す→書いた紙を眺める→キーワードを引っ張り出すを繰り返す。こうして「自分の軸」を見つけていくんですが、知らず知らずに「こんな得意が、価値あるでしょ」など世の中の基準に引っ張られてしまいます。だから「あのとき、楽しかったなあ」とか「自然に頑張っちゃったなあ」というワクワク感も大事にするといいですよ。
「自分の軸」発見ノート
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キーワードの組み合わせでオリジナリティを築き
仕事を探す、仕事に生かす
 
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今度はキーワードを組み合わせてみる。1つだけでは、なかなかオリジナリティにはたどり着けない。組み合わせて初めて「自分らしさ」が出せるんです。

「人と、一対一で話をするのが得意」「聞き出したことを深く突っ込んで、これってどういう意味だろうと考えるのが楽しい」「会社の中にいるより、外に出て新しいものを見つけるのが得意」。たとえばこんなキーワードが出てきたとする。「じゃあ、当てはまる仕事、生かせる仕事って何だろう」と、求人を探してみたり、人材バンクに行ってみたり、人に会ったときに「あなたの仕事って、どんな仕事?」と聞いてみるといい。

すぐには「これだ!」という仕事は見つからないかもしれない。でもキーワードがはっきりしていれば、目当ての情報に触れたときピンとくる。自分の中に受け入れ準備が整っている分「これだ!」がぐんと見つかりやすくなるんです。
キーワードがわかったからって、仕事を変える必要はない。「そうか、自分のこの部分を使えていなかったから、面白味がなかったんだ」と気づいたなら、「じゃあ今度から、取り入れてみよう」とキーワードを生かせば、自分らしい仕事のやり方を生み出していけるようになるんですよ。
—— 特に20代の転職者は活動中に、「本当は何をやりたいの?」とわからなくなる時期があるようです。そんなときは、まず5分間だけ自分を振り返ることから始めると、進むべき方向が見つかりそうですね。
 
講師:キャメル・ヤマモト氏
東京生まれ。東京大学卒業後、外務省入省。エジプト、イギリス、サウジアラビアの各国に勤務した経験を持つ。その後外資系人事コンサルティング会社にキャリアチェンジ。現在、ワトソンワイアットにて人材・組織コンサルタント。シリコンバレー、東京、上海で主に人材・組織改革の面から多くの企業のコンサルティングをしてきた。現在は、上海と東京を行き交う日々を送っている。
この本がおすすめ!
『クビ!になる人の共通点』 『クビ!になる人の共通点』
(キャメル・ヤマモト/幻冬舎)
 
実は「いったんは、余る人にならないと始まらない」という余る人賛歌本でもある。余る人が具体的な工夫次第で、クビを回避するだけでなく、幸せに稼ぐ人になれると説く。オンリーワンを築くための「自分の軸の見つけ方」も詳しく解説。「自分はまだ余っていない」という人も、キャリアについて考えたいなら一読の価値あり。
右:『稼ぐ人・安い人・余る人』左:『コツコツ働いても年収300万 好きな事だけして年収1000万』 
右:『稼ぐ人・安い人・余る人』 
左:『コツコツ働いても年収300万 好きな事だけして年収1000万』
(キャメル・ヤマモト/幻冬舎)
 
自分の軸がはっきりあり、「これを実現したい」との高い志を持つ人は、『稼ぐ人〜』がオススメ。ヤマモト氏がシリコンバレーにいた時期、多くの起業家たちに刺激を受け、事業を生み出すトップ人材になるための開発法を展開した一冊だ。
生徒:中村ヤンズ
「生活かかってますから」が口グセの34歳・女。
年収200万円台の癒し系な連れあいアリ。「そこそこ稼ぐ人にならねば」との使命感と「やりたいことだけ極める人生」への憧れとのハザマで揺れている。
キャメル・ヤマモト氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
自分のやってきたことの中にこそ、「自分の軸」のヒントがある
具体的にやったことを思い出し、「自分らしさキーワード」を拾う
キーワードの組み合わせが、オリジナリティ確立のカギ

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