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2.転職市場動向
ここ最近の転職市場動向と今後の予測2007-2008

ここ最近、「求人市場は売り手市場」「深刻な人手不足・採用難」という言葉がメディアにあふれている。実情はどうなっているのか、そして幸せな転職を実現するにはどうすればいいのか。大手人材紹介会社のコンサルタントに最近の転職市場動向を解説していただいた。


イラスト
全体的に増加傾向

 
───ここ最近の求人市場は売り手市場という報道が多く見受けられますが、やは
り本当なのでしょうか?
齋藤

はい。それは事実だと思います。弊社でも、1〜2年くらい前から、求人数の方が求職者数を上回ってきている傾向が見られます。

───特にニーズが高まっている業界・業種は?
齋藤

どの業界・業種も採用熱は高まっていますが、私が担当している範囲では、広告、人材ビジネス、ITといったところでしょうか。業界・業種よりも、むしろ職種ごとで求人ニーズに差が出てきているというのが特徴です。

───では特にニーズが高まっている職種は?
齋藤

全体的に営業職エンジニアのニーズが高いと感じています。営業職は製造業の伸びとともに比例して増加してきており、またサービス業でのニーズも高まってきています。

例えば広告業界。大手の総合広告会社が中途採用に力を入れ始めたり、中途採用を控えていた企業が採用を再開したりと、これまで人材紹介会社を利用していなかった企業が利用しはじめたりという点が大きな特徴ですね。背景のひとつには、今まではマスコミ主要4媒体であるテレビ、新聞、雑誌、ラジオに加え、インターネット関連の広告が増えているという傾向もあるかと思います。

また、採用難という世相を反映して、人材ビジネスも営業職の採用を積極的に行っています。金融業界も相変わらず好調です。富裕層をターゲットとした金融商品のリテール営業の求人などはかなり多くなってきています。

───エンジニアは製造業、IT、どちらともですか?
齋藤

はい。メカトロシステム、どちらのエンジニアのニーズも伸びています。特に伸びているのはシステムの方ですね。多様化する消費者ニーズに応えるためのシステムインテグレーションの要望の増加に伴い、開発案件も急激に増えています。現状のSEの数では対応しきれないほどの伸びで、SEのニーズが高まっています。



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正社員を目指す派遣社員・契約社員の
事務職の方はチャンス!

 
───経理や人事といった事務系スペシャリスト職の求人はいかがですか?
齋藤

経理・財務・人事などの需要も増えています。以前は、事務系職種は派遣社員や契約社員に切り替える企業が多かったのですが、ここ1年間で、逆に正社員雇用に切り替える企業が増えてきています。また採用難対策で、派遣よりも紹介予定派遣で募集をかける企業も増えてきています。今後は、ますます正社員雇用を前提にした求人が多くなってくるのではないでしょうか。正社員になりたいと思っている派遣社員・契約社員にとっては今がチャンスです。

───ほかに正社員を目指す人に求められるものはありますか?
齋藤

個人的な見解になりますが、重要なのは、スキルよりも職業観だと思っています。自分の仕事に対して自分はプロだという意識をもって、真剣に取り組んでいる方は活躍できると思います。

面接でよく聞かれる質問ではありますが、「なぜ現在の職場環境を選択したのか?」「仕事に対してどういう考えを持っているのか?」という職業観を明確に説明できる方であれば、正社員になれる可能性は大いにあると思います。



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20代後半から30代前半が熱い

 
───もっともニーズが高い年代は?
齋藤

27〜33歳くらいの、いわゆる就職氷河期にあたる層ですね。当時の新卒の採用控えのため社内でこの世代の層が極端に不足している会社が多いからです。現在はその反動で、中堅層が不足しており、また景気回復の波も受け、このくらいの年齢の方へのニーズが高くなってきています。

また、新卒社員と比べると、やはり数年の勤務経験と実績がある事は大きな魅力です。社会人としての常識を身につけ、業務スタイルも確立し、それなりの苦労を乗り越えてきているので、即戦力として働けると見込んでいる企業は多いようです。



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第二新卒もニーズ高し

 
齋藤

また、やはりどこの業界でも第二新卒などの若手をほしがる会社が多いですね。この傾向は今後もう少し続いていくのではないかと思っています。

その理由は新卒採用をかけたけど、売り手市場だからと予定していた人数を採用できなかった企業が多かったため。もうひとつは入社しても研修中、あるいは半年ほどですぐに辞める人が予想よりも多く、絶対的に人手が足りないということもあるでしょう。

───なぜ若者はすぐ辞めてしまうのでしょうか?
齋藤

人それぞれなので一概には言えませんが、面談を通して、今の仕事に対する理解や認識が薄いまま働き始めてしまった方が多いという印象は受けます。入社前と入社後のギャップが大きく、悩んで弊社にご相談にいらっしゃる方も多いです。



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職種と業界で専門性をもつ中高年は有利

 
───40〜50代の中高年層の求人についてはどうですか?
齋藤

市場全体の求人数が上がってきているので、確かに40〜50代も上がっているとはいえます。ただここ最近で爆発的に上がっているというわけではありません。しかし、昨年10月から施行された高齢法の影響で、今後企業側が従業員の定年後の再雇用に目を向けざるをえない方向にいくだろうとは思っています。

中高年に求められるのは専門性です。企業がほしがっている当該分野に対して高い専門性を持っている人はいくつになっても転職できるでしょう。ポイントは「職種」という軸と、「業界」という軸です。例えば何かひとつの分野で極めて高い専門性を持っている人。営業職では、当該分野についての豊富な経験人脈を持っている人は、そのスキル・ノウハウ・人脈を次の会社に生かせるのでマーケットバリューが高いですね。

そのほかではマネジメント経験部下の育成の経験が求められます。ただ注意しなければならないのは、時代の変化とともにマネジメント、育成の方法も変えなければならないということです。



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総合的に今がチャンス

 
───現状のような売り手市場を反映して、企業の採用のハードルも下がってきて
いるのでしょうか?
齋藤

全体的な傾向として、企業の採用のハードルが下がっているのは確かだと思います。たとえば当該ポジションに対して「Aという能力、Bという能力、Cという経験」という3つの採用側の希望条件があったとします。そのうちAしか満たしていなくても、ほかの2点を補うほどの特徴があれば興味を持ってもらえるケースもあります。そして面接で「この2点はないけれど入社後にキャッチアップできるヒューマンスキルを持っている」と判断されれば、採用となる可能性は多分にあります。ですから、転職したい人にとって今がチャンスだといえますね。



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重要なのはコミュニケーション能力

 
───ニーズが集中する人物像は?
齋藤

我々が求人企業からよく条件として挙げられるのは、「コミュニケーション能力」です。この「コミュニケーション能力」とは、人と仲良くするという事ではなく、相手の言っている事を理解し、自分の思う事を相手に正しく伝えられる能力、といわれています。

 コミュニケーションが苦手だと思っている方の場合、たとえば、面接の感想を考えるとき、「良かった」「悪かった」と一言で言うのではなく、「○○の○○な部分が自分と雰囲気が合うと思った」「面接官の○○というやりとりで、○○だと思いました」など、具体的に考えてみる練習からしてみるといいかもしれません。

またロジカルさ、論理立てて話ができるか、ということも重要です。例えば「〜ですか?」と質問されたとき「はい〜です」と結論を述べたあとにその理由を論理的に組み立てて説明できる方は面接での評価は高いですね。

それに加えて、明るい、前向きな人は好印象です。特に営業職の場合は、物やサービスを提供する側なので、相手に気を遣いますし、お客様からいやなことを言われることもあると思うのですが、そのことにちゃんと向き合えるというところが重要だと思います。



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まずは将来のビジョンを考えてみる

 
───現在、転職を考えている人、実際に転職活動している人にアドバイスをお願い
します。
齋藤

まず最初に、将来自分は何をしたいのかを考えましょう。たとえば30歳で転職を考えている人は、5年後、10年後にどうなっていたいのか、ある程度のビジョンを思い浮かべてみる。次に今何ができて何ができないのか、キャリアの棚卸をしてみる。そして、ビジョンを実現するためにはどうすればいいのか、どういう道筋で、何を身につければいいのかを考えましょう。今いる会社に残るべきなのか、新しい環境じゃなければビジョンを実現できないのか、そこをきちんと見定めないと、本当に納得感のある、自分にとって「いい転職」はできないと思います。

───5年後、10年後のビジョンややりたいことがわからないという人にはどう対応
するのですか?
齋藤

無理に求人を紹介したりせず、面談でご自身の現状から将来の展望を探っていきます。これまでのキャリアのあゆみや、今何ができていて何ができていないのか整理していくと、少しずつ、その人の志向性が見えてきます。

将来のビジョンが全く固まらない人には、イメージを持ってもらうために、いくつかの選択肢を提示しつつ「たとえばこういう会社でこういう仕事をすると、こういうキャリアが描けるので、こういうビジョンに近いところまでいけますよ」と説明します。それでも定まらない人や明らかに今は現状にとどまった方がいいと判断した人には、「今は転職をしない方がいいですよ」と転職を止めるケースもあります。JACでは決して転職をあおるようなことはしません。

求人を紹介するときも、今の会社に残るメリットも考えていただきます。考えられる転職のメリット、デメリットをリストアップして、最終的に転職をするかしないかの意思決定は相談者にゆだねます。



イラスト
本音を話そう

 
───人材紹介会社のコンサルタントと面談する際に気をつけておきたいポイント
は?
齋藤

我々は相談者の代理人として、あるいは企業の代理人として採用活動を手伝っているので、是非本音で話してください。特に意思決定をするときに何が大事なのか、何に軸として意思決定するのかについては、正直な気持ちを話していただいた方がスムーズに事は運びます。



 
     
編集部からの転職ポイント
 

ポイント1求人市場動向は相変わらず売り手市場

業界・職種を問わず、求人数は増加傾向にあり、売り手市場にある。2008年もこの状況は変わらず続く見通し。あまりの採用難で採用のハードルを下げてきている企業もある。正社員採用の案件も増えているので、派遣社員、契約社員から正社員を目指している人にもチャンス。

ポイント2特に営業職とSEが増加中

中でもニーズが集中しているのが営業職とSE。深刻な人手不足なので、特に就職氷河期世代の人にはステップアップ転職のチャンス大。

ポイント3将来のビジョンを考えよう

転職を考えている人は、まず将来、自分がどうなりたいのか、どんな会社でどんな仕事をしていたいのかを考えよう。分からなければ人材バンクのコンサルタントに相談しよう。豊富な知識と経験で何らかのヒントはもらえるはずだ。その際は正直に本音で話そう。


アドバイスをくれたコンサルタント
齋藤康仁氏
株式会社ジェイエイシージャパン
営業・マーケティング系スペシャリストチーム
アシスタントマネージャー
齋藤康仁氏

大学卒業後、農薬メーカーにて国内営業を経験。その後、ジェイエイシー・リクルートメントに入社。ITチームとセールスマーケティングチームを経験後、現在セールスマーケティングチーム・マネージャーとして勤務。幅広い業界知識を駆使したコンサルテーションが好評。



 
取材・構成/山下久猛
協力/内藤すみこ
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