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自分のキャリアを匿名で公開して、人材バンクからのスカウトを待つ 匿名スカウトに、
転職活動中の読者がカラダを張った実録レポート。転職活動のヒントを発見しよう
第3回の匿名スカウト・レポーター
スカウトメールが101通!35歳は勝負の時。大手企業へ転職成功
ちょうど売り手市場の最後の年に就職した田中さんは、都市銀行時代に「ここでは、自分に力を付けることができない」との不安を抱いた。思い切って退職し、1年半かけてUSCPA(米国公認会計士)を取得、29歳で大手監査法人への転職に成功する。しかし、「公認会計士の資格を持っていない自分は、ここにいても出世はできない」と、いつか新天地を求めなければと思っていた。そして2年半もの間、転職チャンスを探っていたのだが。
田中さんのキャリアシートはこちら
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田中 聡さん(仮名・35歳)
監査法人勤務
大学卒業後、都市銀行にて融資業務、SEなどを経験後、USCPAを取得し、大手監査法人に転職して7年目。内部監査体制整備などのコンサルティング、不動産投資信託(J-REIT)の監査などを手掛けている
転職を考えた
 
転職を考え、人材バンクへ。「まだまだ力が足りないんだ」と痛感
2002年の秋に一度、転職を考え、ある大手人材バンクに相談に行った。監査法人で4年の経験を積み、専門性も高まったため、そろそろ次のステージに移れる自分になったのではと思ったからだ。しかし、希望するような求人を紹介されず「今のキャリアでは、強みがない」と気付かされた。

転職しようと思えば求人はあった。けれど、安易な転職はしたくない。「自分の望む条件で転職するには、他にどんな経験を積めばいいのか」と考え、転職市場から評価をされるような新たな力を付けつつ、チャンスを待つことにした。

 
POINT
転職市場での評価は、流動的なものだ。好不況など経済情勢、それに伴う企業の戦略などによって、「この年は求人が多かった職種が、この年は少ない」などの現象が起こる。転職市場の動向を知り、ときには時期を待つことも大切なのだ。
   
匿名スカウトで転職チャンスを探る
 
転職市場での評価を探るために、匿名スカウトを試してみた
【人材バンクネット】に登録し、匿名スカウトで100社以上の人材バンクに自分のキャリアを公開することにした。届くスカウトメールを通じて転職市場での評価を探りながら、「ここだ!」と思える転職チャンスを待つためだ。

一度、自分のキャリアを公開しておけば、向こうからスカウトをしてきてくれるので、仕事が忙しい私にはありがたい。最初の頃は、スカウトメールが届くたびに、「おっ」と嬉しくなったが、ここで舞い上がってはダメだと自分を戒めた。

 
POINT
匿名スカウトは、「自分はいったいどんな評価をされるのか」と転職市場でのポジションを知る有効な手段のひとつ。何通届くかだけでなく、紹介される求人を見ていくと、今の自分の強みなどがイメージできるだろう。
   
キャリアシートはこう書いた
 
判断の材料は多いほうがいい。方向性を限定せずに幅広く記入
「この仕事だけしか、したくない」と方向性を限定しないように気をつけて書いた。年齢を考えると、「どんなオファーがくるのか」といろんな可能性を探りながら転職活動できる最後のチャンスだろうと思ったからだ。

「判断のための材料は、多い方がいいだろう」と、これまでの経験を幅広く書き込んだ。「これが強みだ」と思う点はもちろん、「こんな研修を受け、こんな知識がある」なんてことまで記入した。コンサルタントが全員、私の職種に詳しいとは限らない。誰が読んでも理解できるように、そして「この人に紹介したい」と思ってもらえるように心掛けた。新しい分野の仕事を任されるたびに、新たに書き加えることも忘れなかった。

 
POINT
じっくりと時間をかけて転職活動をする場合は、3カ月から半年に一度は、キャリアシートを更新しよう。放っておくと「この人は、転職する気がないんだろう」といい求人があってもスカウトメールが届かなくなる。
   
スカウトメールが届いた 1カ月最大14通 合計:101通
 
転職チャンスが来た!大手企業からのスカウトが届くように

2002年の秋に【人材バンクネット】に登録して1年ほどは、ぽつぽつとスカウトメールが届いていたが、2003年9月頃、キャリアシートに 「内部監査体制の整備等のコンサルティング業務の経験」「不動産投資信託(J-REIT)の監査を通じて、上場企業と同様の開示(決算短信・有価証券報告書)も経験」と新たな経験を書き加えたところ、毎月、かなりの数のスカウトメールが届くように。

長い間読み続けていると、自分の転職市場でのポジションだけでなく、景気の動向もわかってくる。最初に転職を考えた2002年頃は、景気が悪く、企業も採用を控えていたことも影響していたのだろうと思う。

大手企業も含めてスカウトメールが届くようになってきた。ようやく転職チャンスが訪れたと感じ、2004年の8月から、本格的な転職活動をスタートした。

 
POINT
「もっといいチャンスを」との思いはあっても、いつも求人をチェックしているわけにはいかないもの。匿名スカウトなら、一度キャリアを公開しておけば、向こうからスカウトが届くため、勝負のチャンスを逃さない。
   
スカウトメールに返信
 
コンサルタント独自の提案があるかを基準に、メールを読み込んだ
数多くのスカウトメールが届いたが、返信したのは5通のみ。というのは、コンサルタントに期待していたのは、提案力・想像力だったからだ。返信したスカウトメールの基準は、2つ。

1.「この人には、こんな活躍をしてもらいたい」とキャリアシートを読み込んだうえで、そのコンサルタントなりの提案が書かれているか
2.「こんな求人をご紹介します。弊社はこんな企業と強いパイプがあるので、他にもご紹介できると思います」と1度きりの求人紹介で付き合いが終らないと思えるか

求人を求めて人材バンクを渡り歩くようなことはしたくなかったのだ。

 
POINT
これは、匿名スカウト上級者向けの方法だ。絞込みをかける分、付き合う人材バンクの数は少なくなるため、「自分でも求人情報は探せる」など、転職活動をスムーズに行う自信がある人向き。
   
コンサルタントと会ってみた
 
強いパイプを持つ、その人材バンク独自の求人を紹介された
ある人材バンクから「これから成長しそうなベンチャー企業の社長の片腕として活躍しませんか」と提案された。残念ながら応募はしなかったが、コンサルタントなりの視点で提案してきてくれる姿勢は、ありがたかった。提案は、私の志向に合っていなくてもよかったのだ。自分とは違った視点から意見をもらうことが、可能性を広げて検討するために必要だったのだ。

他に「弊社はこんな企業と強いパイプがあります。これを機会に是非登録することをお勧めします」と強気なスカウトメールを送ってきた人材バンクと面談。Aの求人がダメでも、B、C……と求人紹介をしてくれそうに思ったからだ。予想は当たり、さまざまな求人を紹介された。薦められた求人に、一般には公開されていない大手不動産会社が。株式公開を控えており、新しい経験をさらに積めそうなところが気に入り、応募した。

 
POINT
「人材バンクを活用して優秀な人を採りたい」という企業が増えている。新聞や転職サイトに求人広告を出して広く募集しても手間がかかるからと、信頼できる人材バンクにだけ人材紹介を依頼するケースは少なくないのだ。そのため「非公開求人」が人材バンクには存在するというわけだ。
   
匿名スカウトを終えて
 
最後まで勤め上げるかもしれないし、再び勝負に出るかもしれない どちらにも転べるような会社を選んだ
「外でも通用する力を付けたい」と都市銀行を飛び出して、もうすぐ8年。コツコツと努力して自分のできること、得意なことを増やし、やっといろんな声を掛けてもらえるようになった。けれど、オファーがくることに浮かれずに、今回の転職活動ではかなり慎重に会社選びをした

次に入る会社は「終の棲家にしてもいいな」と思えるところにしたかった。同時に、新たな強みとなる経験が積めることも求めていた。「新しい会社で最後まで勤め上げるかもしれないし、もう一度、経験を生かして勝負に出るかもしれないし。どちらにも転べるようにしておきたい」と考えたからだ。

今回紹介されて内定が決まったのは、株式上場を予定している大手不動産会社の経理職。内部監査職で応募をしたが、面接で話すうち「まずは、経理でスタートし、その後、経理の道か内部監査に転ずるかを考えて欲しい」と言われたのだった。これまでの経験に加えて、株式上場に伴う体制整備の経験を積むことができる、よりスキルを高められる希望通りの会社だった。転職を考え始めて2年半、チャンスを待っていた甲斐があったと思う。

35歳での転職は、「ここで勝負に出られるかどうか」を見極めなくてはならない。それには、客観的な視点から、転職市場の動向、その中での自分の位置づけを知ることが必要だ。100社以上の人材バンクからのオファーがもらえる匿名スカウトを使っての転職活動は、私にとってはとても有効だった。

 
お気に入りのスカウトメールをくれたコンサルタントからのアドバイス
内部監査職のニーズが増加中!
田中さんへのスカウトメールが多かった理由のひとつに、内部監査のコンサルティング経験を積んできたことがあるでしょう。ここ1、2年の間に内部監査室を新設する企業が増えたものの、30代くらいまでの若手〜中堅クラスの人材が少ないため、注目されたんだと思います。今はまだ経験者が多くない分、「40代、50代でも歓迎です」という企業も少なくない職種なんです。

今回、大手不動産会社に推薦したのは、実務経験があったからだけではありません。田中さんと話す中で、「組織の論理を踏まえて、いろんな部署との関係を築いていけそうだ。この人なら溶け込んでいけるだろう」と思ったのです。

田中さんは転職先について「安定性があること」だけを求めているわけではなかった。出来上がってしまっている組織の一員になりたいのではなく、「自分が中心になって新しい部署をつくりあげていける場所で、力を発揮したい」との強い希望があった。そのため、株式上場を控えて、新たに体制作りをしようとしていたこの企業が合っていたんですね。

転職する人それぞれに、合う企業、合わない企業があります。大手企業といえども、みな同じなわけではありません。その企業が進もうとしている方向によって、同じ職種でも求められる役割が変わってくる。また、みんなが大手企業に向いているのではなく、「この人は、組織的に動く環境よりも、中小やベンチャー企業の方が力を発揮できる」など、さまざまなのです。

自分一人だけでは、得られる情報も少ないし、判断に迷うこともあるでしょう。そんなときは、気軽に相談に来てください。

↓スカウト率アップのポイントを解説
田中さんのキャリアシートはこちら
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株式会社ヒューマン・リソーセス総合研究所 東京本社
阿部 仁二さん
キャリアコンサルタント歴9年。「人事だけでなくトップにも会って、これからの企業の方向性や必要な人材像を聞いています。だから、この人ならこの会社で活躍できるだろうと判断できるのです。時には『御社に必要なのは、人材育成のできる50代、60代の人ですよ』と企業に提案することもあるんですよ」
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取材・文/中村陽子(編集部)
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