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転職と自己分析 第1回 自己分析の重要性

しっかり自己分析をすることは、転職成功のためには欠かせない。何がしたいのか、何を身に付けたいのかといった自分なりの転職のテーマを、自己分析を通して見つけていこう。


転職は「目的達成のための手段」
   

 転職とひと口にいっても、人によっていろいろな捉え方があるのではないでしょうか。単純に“職場を替えること”だと理解する人もいるでしょう。会社の倒産やリストラなど、転職を余儀なくされた人にとってみれば、転職は「生きていくために仕方がないこと」と答えるかも知れません。しかし転職とは、どんな場合であっても、自分なりに設定した本来の目的を達成するためのひとつの手段です。転職すること自体が目的になってはいけないのです。

 では、転職の本来の目的とはいったい何でしょう。私は“自己実現”だと考えています。たとえばあるエンジニアの方が、「いつの日かエポックメイキングなAV機器を自分の手で世の中に送り出したい」 という夢を持っていたとします。しかしそのエンジニアが勤めている職場には、研究開発をおこなう部署も先端技術に触れる機会もありませんでした。

 そこで彼は次々と新商品の企画を打ち出しました。と同時に、自らR&D機能を持つセクションを立ち上げようと会社側に働きかけますが、彼の企画、提案はひとつも受け入れられません。そこで彼は、自分が必要とする環境を他の職場に求めます。こうしたわかりやすいケースばかりではないと思いますが、自己実現とは、自分の目指す自分の将来像に近づくことではないでしょうか。


大切なのは“恒常的な自己分析”
   

 ここで大切なことは、自己分析を恒常的に行うということ。つまり転職を考えてから自己分析を行うのではなく、1〜2年毎に「自分は何がしたいか、どうなりたいのか」 「それに基づいて、これまで何をやってきたか、何ができたか」「その結果、自分は現在どうなっていて、今後どうすべきか」というように、定期的に自己分析をし、自分を見つめ直す機会を持つということです。

 そして自己分析をしてみて必要とあらば、自分を磨くために社外のセミナーに参加したり、スクールに通ったりしてみる。またジョブローテーションが可能な職場なら、配置転換を希望するなどの善後策を講じ、軌道修正を行っていく。現在の仕事に最大限の努力を払い、実力を発揮し、成果をあげることも忘れないでほしいと思います。

 定期的に「自分は何がしたいのか、どうなりたいのか」と自己分析をしていくことで、自己実現の可能性はグっと高まります。例として取り上げた先ほどのエンジニアのように、転職をするべきかどうかの見極めも明確になるはずです。いずれせよ、(仕方のない場合を除いて)転職とはあなたの人生にとって大きなプラスになるものでなければ意味がありません。そのためにも普段からの自己分析、日々の努力を大切にしてほしいと思います。


 
     
今の仕事に全力投球してはじめて、適職は見極められる
 

 毎日の仕事がつまらない。ある人はこう嘆く一方で、「結婚して子供もでき、住宅ローンも抱えているから、今さら冒険はできない」と語っていた。もしかしたら、今の仕事が適職かどうかを見極めないままに、時間を過ごしてしまった結果なのかもしれない。「自分の仕事は、自分に合っているのだろうか」を知るための自己分析が未熟だったのかもしれない。

一般的に新卒時は「就職」ではなく、「就社」する人が多い。最初はそれでも構わないだろう。でもなるべく早い段階から、今の仕事が適職かどうか、自分と仕事との相性を見極めたほうがいい。では、「仕事が自分に合っているかどうか」を判断するにはどうしたらいいのか。実は今の仕事に全力投球することが大事なのだ。

今の仕事を理解しなければ、他の仕事と十分な比較検討はできないだろう。また、仕事の成果を上げていくなかで、その仕事の醍醐味を知ることはできるものだ。今の仕事に全力投球してみた結果、魅力が感じられるなら、「これは自分の適職だ」と、さらに深く掘り下げていけばいい。もし感じられないならば、思い切って軌道修正することが必要かもしれない。

仕事にかける時間――人生の中で仕事人生の占める割合が大きい現代で、本気で立ち向かえる仕事を見つけて、その仕事にまっすぐに取り組めることができれば、その人はきっと悔いのない人生を送ることができるだろう。

今の仕事に全力で取り組みつつ、ときどき「自分はどんなことがしたいのか、どうなりたいのか」と自己分析をすることは、長〜い仕事人生を納得のいくものにするためにも、欠かせない作業だ。

 

内田 定実氏
(元株式会社 アイ・ピー・シー 代表取締役社長) 

「自己実現」のための転職。大切なのは、日々の努力と自己分析を惜しまないことです

 
 


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1999.8.8 update
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