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IT業界の転職市場動向 2006-2007
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転職知っ得情報局 キャリアコンサルタントからのアドバイス

2.転職市場動向
ここ最近の転職市場動向と今後の予測 2008-2009

2008年はアメリカのサブプライム問題に端を発する全世界的な金融危機の影響により、国内の企業も大幅な減収減益となり、大規模なリストラ策を発表した。2008年10月の有効求人倍率は0.80倍。有効求人倍率が1倍以下となったのは11カ月連続で、1倍以下の道府県も39に増加した。そんな状況の中、2007年までは売り手市場と言われた国内の転職市場は現在どうなっているのか、今後どうなっていくのか、そして、今、企業が求める人材像とはいかなるものなのかについて、ほぼ全業界・業種・職種を網羅している大手人材紹介会社のコンサルタントに解説してもらった。


求人件数が激減した2008年下半期

まず、2008年の転職市場は「厳しい1年」の一言でした。2008年の初頭から失速の予兆はあったのですが、アメリカのサブプライム問題から火が着いた一連の金融危機で表面化、6、7月ころに国内大手の不動産が倒産したころから一気に加速し、特に9月のリーマンショック以降はほぼ全業界、全業種、全職種で業績が悪化しました。その結果、固定費削減のために人件費のカットに乗り出す企業や採用に投資する余裕のない企業が激増し、求人件数は激減しました。

大逆風の製造業・建設・不動産・金融業界

中でも日本の基幹産業である製造業は新規求人数が前年同月比マイナス30.7%と落ち込みが激しくなっています。自動車業界は現在期間派遣従業員のリストラを行っていますが、一次受け企業まではまだ求人ニーズはあります。しかし二次受け以降の部品メーカーは求人をストップし始めています。地域間の格差もあり、トヨタ自動車のお膝元である愛知県は、求人数は減少していますが、10月の有効求人倍率は1.38倍と、全国平均を大きく上回っています。電気・電子・半導体メーカーも募集が完全に止まっているわけではありませんが、やはり求人数は激減しています。

建設・不動産業界も厳しい状況が続いています。折からの不況で新規住宅や大型の商業施設建設計画が減少。その不況の原因だと言われている不動産流動化の負債問題や、金融機関の貸し渋りで経営的に非常に厳しい企業や、倒産する企業も相次いでいます。

景気の波に比較的左右されやすい広告・メディア・人材業界も求人激減か採用そのものをストップしている企業が多く見られます。

バイオ・メディカル業界は、上記の業界ほどではないにしろ、影響を受けているのは確かです。MRの募集は定常的にありますが、一時期外資系大手製薬メーカーが工場を閉じたり、倒産したことにより求人がいったん止まったことがありましたし、少し前まではたくさんあった産学協同のバイオベンチャーの求人も激減しました。

金融業界は、特に外資系の金融機関の求人はほとんどなくなりました。国内の金融機関は、求人件数は減少しましたが、まだ外資ほどではありません。求人を増やしている企業はありませんが、まだ募集している企業は存在します。特に大手銀行や生保のリテール営業などは、採用の枠数は減りましたが、求人件数は昨年と同程度を維持しています。

外食・IT・商社は堅調

このような厳しい状況ですが、求人件数を維持している業界もあります。その代表格がエコ・環境分野です。これから先もしばらく世界的にエコ志向は持続するので、求人ニーズは堅調を維持するでしょう。

また、外食を中心としたサービス業も人手不足の状況が続いています。といっても、外食産業全般ではなく、比較的低価格帯の飲食店の求人ニーズが活況を呈しています。景気がよかったころは消費者にも経済的な余裕があったので、少し料金が高くても美味しいものを食べさせてくれる飲食店がもてはやされましたが、不況に突入したことで財布の紐が硬くなり、今までよりも安い店に行くようになりました。それで価格帯の比較的低い庶民的な店が繁盛し、人手が足りなくなっているというわけです。ニーズが高いのは店長候補、特定のエリアをスーパーバイズできる人ですね。そもそもこの業界自体が、恒常的に人材不足なので、この状況はしばらく続くと見ています。

IT業界も全体的に人手不足で、求人件数も減少していません。システム開発案件数も依然高水準を保っています。もっとも不況だからこそなのでしょうが、新規開発案件よりもリプレイス系の割合が増えているようです。SIer、メーカー、一般企業ともに満遍なく求人はあります。職種では最もニーズが高いSEを中心に、C++やJAVAなどのオープン系プログラマー、プロジェクトリーダー、マネージャーも相変わらずニーズは高いです。

商社の求人数もさほど減っていません。昨今の資源高で高利益を上げており、恒常的に人手不足です。大手総合商社でも、2008年第2四半期時点での営業利益の半分以上を資源・エネルギー部門が稼いでいる所も散見されます。また、2007年・2008年の半ばにかけて、商社の投資銀行機能、いわゆるベンチャーキャピタル機能が注目されました。基本的にお金を動かすのは金融機関でビジネスを動かすのが商社ですが、商社が自身のサプライチェーンを使ってビジネスマッチングを行い、投資の機会にしていった。商社が資源で上げた利益を事業投資に使い始めたんですね。それができる人材が求められている。職種名でいうと事業企画・事業開発などです。

管理職系、営業系、技術系の動向

経理・財務・人事・法務など会社にとって絶対に必要な職種は不況下においても強く、いまだに一定数のニーズはあります。

営業職は全体的な求人数は落ち込んでいますが、お客様のために社内外のリソースを最大限に生かして結果を出せるプロジェクトマネジメント指向をもった営業職は採用されています。

技術系職種も製品を生み出す上で必ず必要となる職種なので採用は止まっていません。ソースコードの美しさよりも業務効率を優先できる人。言い換えると、何のためにこのコードを書いているのかというのを常に考えながら業務ができる人はニーズが高いです。メーカー系では確固たる技術バックボーンをもってる人です。例えば「機械設計なら任してください」とか「回路設計なら自信があります」といった、これだけは負けないと胸を張っていえる専門技術をもってる人に関してはどのメーカーのニーズも下がっていません。

第二新卒は逆風

年代別で見ると、一時期求人ニーズが集中した第二新卒層はかなり落ち込んでいます。理由としては大きく2つあります。1つは、今まで第二新卒を積極的に採用していた企業(ある程度の規模がある大企業)において、『年齢層の歪なピラミッド』が昨今の第二新卒採用のお陰である程度解消されたことです。そしてもう1つは、2006年・2007年の新卒採用においてある程度の人数を確保できた企業が増えた、ということです。

とは言え、過度に悲観がる必要もありません。そんな厳しい状況の中でも採用を勝ち取れる人も多くいます。転職に成功している方々に多く見られるのは、自分の頭で物事を考えて自分で動ける人。言うは易しですが、中々実行に移すのは難しいものです。なぜ転職を検討しているのか、またその状況下で自身としては今の会社で何をしているかを、ネガティブ・他責にすることなく考えてください。

また、職務経歴書や面接では、そもそも経験は浅いので、スキルや経験よりも、どういう気持ちで仕事に取り組んできたか、職務経験を通してどういう考え方を身につけたかをアピールした方が採用の可能性は高まるでしょう。

ミドル・シニアは追い風

20代後半〜30代前半は相変わらず最もニーズが高いコアゾーンです。しかし、それゆえに求人件数が最も減少しているのもこのゾーンです。面接ではこれまで何を経験し、何を身につけ、何ができるのか。結果を示しつつアピールしましょう。

30代後半〜40代はハードルが高くなるのは事実ですが、継続的な求人ニーズはまだまだあります。どの職種でも必要となるのが面接で自分を売り込む力。そこで対人力、コミュニケーション力、自分で考える力などが測られます。自分はこれまでこういう経験を積んできて、こんなことができるとアピールした上で、今度は採用側の立場から「私のこういう能力が御社のこういう部分で貢献できる。だから私を採用すると得ですよ」と断言できれば採用にぐっと近づけるでしょう。

50代ともなれば当然ですが、圧倒的に管理職の求人が多いです。でも管理職の経験はアピールするのが難しい。自身で今までの業務を棚卸しする機会や、自身で、こんなスキルが見に付いているなと考える機会が意識しないと中々持てないですからね。面接ではこれまでの経験をベースとした上で、仕事哲学、ポリシー、人生観をどれだけ自分の仕事に反映できるかをアピールすることが重要です。これまで自分なりにどんな工夫したか、それによってどれだけの結果を出せたか、これらを確りと数字で示すことが重要です。

企業が求めているのはアツイ人

今、面接で興味を持ってもらいやすいのが「熱量の多い人」です。私自身も自社の採用で面接をすることが多いのですが、熱意が感じられる人は好印象を持ちます。例えば志望動機を熱く語れる人。自分の今までの行動の元にあるもの、つまりモチベーションの源泉や、何のために仕事をするのかという仕事観などを、強い眼力で大きな声で強く語ることが出来る人には、面接官としては強い魅力を感じます。そういう意味ではスキル、テクニカルな面よりも、やや閉塞感が漂っている現状を打破出来るような、人間性がより問われている時代だと感じます。

ハードルはより上がっている

すべての業界・業種・職種で言えることですが、採用のハードルは昨年と比べて確実に上がっています。昨年までだったら確実に内定を取れていた人が今年は不採用になるといったことはよくあるケースで、企業の人を見る目は格段に厳しくなっています。また、面接回数が増えたり、選考期間が長くなったりと、より時間をかけてじっくり応募者を見極めようという姿勢がうかがえます。裏を返せば、業績悪化で採用に関してより慎重に、かつ消極的になっているということなのでしょう。

2009年は予測困難

2009年の転職市場がどうなるかは、正直申し上げますと、全く読めません。我々もここのところずっとリサーチをしていたのですが、明るい兆候となる数字が中々出てこないのです。辛うじて言えることは、シニア・ミドル層の求人は他と比較するとややダメージが少ないであろうということ。それからエコ、環境、外食の需要も引き続き一定の規模はあるだろうということくらいです。私個人としては、2009年の中途採用市場は踊り場で、2010年に底打ちし、2011年ころから回復するんじゃないかと思います。もちろん、回復が早いに越したことはないですが。

転職を考えている人は
もう一度立ち止まって考えてみよう

転職を考えている人は、その転職が本当に正しいのか、現状からの単なる逃避になっていないかということをもう一度よく考えた方がいいでしょう。少しでも迷いがあれば、転職してもうまくいかない可能性が高いと思います。転職をせざるをえない状況の人は、100%満足できない求人でもどんどん応募してみて、内定が取れてから考える事が大事だと思います。『石橋を叩いて渡る』という言葉がありますが、叩いて壊していたのではもったいないですからね。

これまで厳しいことを語ってきましたが、いたずらに悲観する必要はありません。必死で頑張れば、意外となんとかなるものです。求人は、あるところにはあります。実際に、かなり厳しいといわれている業界でも、採用を勝ち取っている人も少なからず存在します。どの業界にも隠れたいい求人はあります。興味のある方は、ぜひ相談にお越しください。

我々コンサルタントとしては、前提として仕事を選び過ぎず、必死で探すという姿勢の人には可能な限り協力いたします。しかし、転職理由が明確になっていないとか、動機が現状からの逃避だけだとしたら、今は転職するべきではないと止めます。コンサルタントの私が相談者の転職理由を聞いて、よくわからないとか逃げているなと少しでも感じてしまう、ということは、より厳しい目で応募者を見る企業側はもっとそう思っているでしょう。こんな時代だからこそ、自分は本当に転職したいのか。転職で何を実現したいのかを今一度じっくり考えてみることをお勧めします。

 

■転職市場が激減する業界

転職市場の冷え込みが著しいのは製造業・建設・不動産・金融業界。ただし、製造業では低調ながら求人のニーズあり。大逆風の建設・不動産業界、および外資系金融企業での採用はほぼ凍結。一方、国内の金融機関では募集を継続している企業も。広告・人材業界の求人は激減。バイオメディカル業界ではMRの求人は恒常的にあるものの、他職種の求人は大幅減となっている。

■比較的求人ニーズの高い業界、職種

求人が堅調な業界は、エコ・環境に関連する業界、外食業界、IT業界、商社。外食企業のでは低価格帯の飲食店が好調で人手が不足。IT業界では慢性的な人材不足でありSEニーズは依然高い。資源高で高収益を上げている商社では事業企画・事業開発の募集が堅調。また、経理・財務・人事・法務といった管理系職種は一定のニーズあり。プロジェクトマネジメントができる営業職、武器となる専門技術を身に付けたエンジニアのニーズはいまだ健在。

■第二新卒は厳しい求人ニーズ、ミドル・シニアは継続的なニーズあり

第二新卒市場はかなり厳しい状況だ。20代後半〜40代も求人件数は激減しているものの依然一定ニーズはあり、自分自身をロジカルにプレゼンできる人材は採用を勝ち取れる。圧倒的に管理職の求人が多い50代は、実績を数字と仕事観の両面からアピールできる人材が強い。

■2009年の転職市場は低迷が続く

すべての業界・職種で採用のハードルが2007年を基準にすると確実に上昇。2009年の転職市場は明るい要素がなく、厳しい状況が続くだろう。しかしどんな厳しい業界・職種でも採用される人は存在する。彼らの最大公約数は「熱い人材」だ。今、スキル・経験に加えて、現状を打破できるような人間性を企業は必要としている。

アドバイスをくれたコンサルタント
田中聡氏
キャプラン株式会社
リクルーティング推進部長
田中聡氏

システム開発会社のSEを経てキャプラン株式会社へ。コンサルタント歴4年。ITと金融、コンサルティングファームに強い。「転職理由が明確で、入社後に夢をもてる人かどうかをまずは判断します。もし少しでも疑問に思ったら、『こんな考え方もありますがどうですか?』と提案します。安易な転職は相談者のためにならないので絶対に勧めません」



取材・構成/山下久猛
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