キャリア&転職研究室あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意第4回転職を成功させるには「入ってから」が肝心です
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あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意
第4回 「こんなはずじゃなかった」にならないための転職者の作法 転職を成功させるには「入ってから」が肝心です  
内定が出て転職先が決まったら、それで転職成功!? 秋山氏は「違う」と断言する。転職が成功するか失敗するかは、入社後に決まる――。「転職してよかったへの道」を歩むには、なんといっても出だしが肝心なのだった。
秋山 進氏
転職先が決まった=転職成功、ではない!
 
―― 秋山さん、聞いてください。私、この数カ月ずっと転職活動をしていたんですけど、先日やっと内定がもらえたんです。これで苦しかった日々に終止符が打てると思うと、嬉しくて嬉しくて!
ちょちょちょっと待ってください! 喜ぶのはまだ早いですよ。転職先が決まっただけでは、転職成功とはいえないんですから。
―― え? それって、どういうことですか?
転職先が決まることは、転職成功のための「初めの一歩」を踏み出したに過ぎないんです。社風の違いに直面したり、仕事の進め方がわからなかったり、人間関係に苦労したり……会社は「入ってから」がしんどいんです。入社後、さまざまな過酷な状況を乗り越え、ビジネスパーソンとして会社にきちんと貢献できるようになって初めて、「転職が成功した」といえるんですよ。
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―― た、たしかに・・・・・・。実は私、過去に3回転職しているんですけど、転職直後って「即戦力として期待されている」という気負いから、気持ちが空回りしちゃうんですよね。で、出だしでつまずくと、結局最後までその会社に馴染めなかったりして。
でしょう? そこが新卒者とは違う、転職者の大変なところなんです。早く成果を挙げて周りをアッといわせたい気持ちはわかりますが、気負いすぎは失敗のもと! そもそも、転職が決まったその日から、サチヨさんは「1/社員数」の存在になる。そのことを肝に銘じておかないと、転職初日から「こんなはずじゃなかった!」ってことになりますよ。
初出社の日。転職者にとっては「特別な日」でも
周りの社員にとっては「1/365日」
 
―― そういえば初出社の日、自分の席がなかったことがあったっけ……。
それが普通なんです。人事担当者に連れられて配属先の部署に行くと、受け入れ担当者がまだ出社していなくて、「とりあえず、適当なところに座っといて」とかね。名刺も用意されていないし、お昼になっても誰も食事に誘ってくれない。ボールペンなど備品がどこにあるのかもわからない。こちらからも話しかけづらいし、何とも居心地が悪い空気が流れること、少なくないんですよ。

でも、考えてみれば当たり前のこと。中途採用は通年採用ですから、転職者の入社日はバラバラです。初出社の日は、転職者にとっては「特別な日」かもしれませんが、ほかの社員にしてみれば、いつもと何ら変わらない「1/365日」に過ぎない。新メンバーだからといって、あたたかく迎え入れてくれる会社のほうが少ないんです。それを心得ておかないと、あまりにひどい扱われように「選択を誤った!」と、転職初日から落ち込んでしまいますよ。

―― うーん、心当たりがある……。そもそも転職先の社員って、どうしてあんなによそよそしいんでしょう? これから一緒に働く仲間なんだし、もう少しフレンドリーに接してくれてもいいと思うんですけど。
あー、そんなことを気にしちゃダメダメ! 転職者は新卒者とは違って「一人前」なのですから、周りも「手取り足取り世話を焼いてはかえって失礼ではないか」と、気を遣ってよそよそしくなってしまうこともあるんです。そもそも、自分たちの部署に新しいメンバーが入ってきて、気にならないわけがありません。無関心を装っていても、実は転職者のことが気になって横目でチラチラ見ているんですよ。
転職者が入ってきたことで、
出世が遅れる人もいる
 
photo  
それに人間というものは(というより、動物の本質ですが)、新しいメンバーが組織の序列のどこに入るのか、つまり、自分との上下関係がわからないと警戒心を抱くものなんです。一般に転職者は、会社やチームに貢献する即戦力として採用されます。社員たちも新しいメンバーに対して「コイツは何ができるのか」、「自分より立場が上なのか下なのか」など、結構シビアにチェックしているものなんです。もしかしたら、転職者のせいで出世が遅れる人もいるかもしれません。だから、転職者を歓迎する気持ちの余裕がない、という人もいるんですよ。
―― なるほど〜。「招かれざる客」ってわけですか。
あ、でも、ビクビクする必要はありませんよ。立場を自分に置き換えてみれば、彼らの気持ちも理解できるでしょう? 要は「転職先では必ずしも歓迎されない」と心得ておけばいいんです。そうすれば、たとえ不本意な扱いを受けたとしても「ま、こんなものさ」と前向きにとらえることができます。期待値を下げておけば、肩の力も抜けるし、歓迎してもらえたときはかえって「ありがたい」という感謝の気持ちが湧いてくるものです。

転職者が即戦力として期待されていることはたしかですが、最初から飛ばしすぎないこと。成果を急ぐよりも、まずは会社を知ることに注力する。「あなたのことをもっと教えていただけませんか?」との謙虚な姿勢で、焦らずじっくり段階を踏みながら会社に馴染んでいくことが大切。それが、新参者の作法であり転職成功の秘訣なんです。次回は、その具体的な方法についてお話していきましょう。
 
講師:秋山 進氏
大学卒業後、株式会社リクルートに入社。商品開発や戦略策定に携わり、98年よりインディペンデント・コントラクターとしてさまざまな業種・業界の企業で事業開発、マーケティング戦略の立案、コンプライアンス教育、CEO補佐などに従事。現在も複数の企業と契約し、多忙な日々を送っている。
インディペンデント・コントラクター(IC)とは・・・雇わない、雇われない働き方のこと。複数の企業と契約して、特定の業務遂行を請け負う。
『転職後、最初の1年にやるべきこと』
(秋山進/日本能率協会マネジメントセンター)
 
ICとして20社以上の会社に入り込んで働いてきた経験を生かし、「新しい組織で成功するためのツボ」を伝授。転職先に早く馴染むための心得や、転職者が侵しがちなタブー、ストレス対処法など、秋山氏本人の経験に裏づけされた56の教えが満載。新しい会社に入る前に、転職後1カ月目に、3カ月目に……と繰り返し読むたびに、必ずヒントが得られる必読の書。
『インディペンデント・コントラクター』
(秋山進+山田久/日本経済新聞社)
 
自分のスキルを武器に、仕事の内容も期間も、報酬さえも自分で決める「インディペンデント・コントラクター」について紹介。会社に縛られない新しい働き方、「組織人」ではなく「仕事人」として生きる幸せについて考えさせられる本。
生徒:小林サチヨ
35歳。これまでに3つの会社で働き、この度、4社目に転職決定。即戦力として採用されたため、「一旗揚げねば!」と鼻息が荒いものの、一方で「新しい職場に馴染めないかも」という不安も抱えている。
photo 秋山 進氏から学んだ胸に刻んでおきたい3つのこと
転職先決定は、転職成功の「初めの一歩」に過ぎない
転職先では、必ずしも歓迎されないと心得よ
気負いは禁物。成果を挙げることを急ぐと失敗する
第5回「自分の力を発揮するための環境作りのステップ」へ
「あの本を書いたあの人が教えるキャリアの極意」バックナンバー一覧へ
写真/尹 総吉
構成/堀川陽子
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