これまでいくつかの節目を経験してきたけど、実は今も大きな節目かなと思っているんです。まず、今、僕の中で大事なのは、「より若い世代のために」ということ。これまで僕の研究室で博士号を取った学生は20人ほどいてます。最初のころ、やっと2、3人の教え子が博士号を取ったときに、一番親しい一橋大学の沼上さんという研究仲間に「まだ3人や」って言ったら、彼が「一生の間にゼロとかひとりしか育てなかった人もいっぱいいる。だからそんな早い時期に3人やなんて大したもんや」って言ったんですね。そういう意味で、次の世代を育むというか、自分の仕事の中で、「後進の育成」の割合が大きくなっているのは非常にいいことだと思ってます。
しかし、その一方で、一個人として、研究や教育に集中できづらい状況になりつつあるんです。学部長はうまくできないだろうし、できたら、ほかのところでお世話になったこの大学にお返しがしたいとは思います。今は、大学も過渡期でいろんな学務があります。
大学内の仕事の中で、研究や教育と直結していない学内学務が増えてきているんです。たとえば文部科学省に大学の運営資金を申請するための計画書の作成やプレゼンなど。これからは、これができない大学は弱くなるか、最悪の場合には潰れていくしかない仕組みになっていて、みんなのためにここの大学の将来の構想を練るのはいいんですが、申請書を一字一句、指定の字数内で収まるように作成しなければならないというのに手間がかかるんです。作成したらプレゼンしなくちゃならないのですが、それも制約が多くて、研究とか講義とか自分ひとりの責任でやってる仕事に比べたら、みんなにかかわる問題としてやっているので、責任重大です。しかし、それを楽しんですることは難しいです。でも、誰かがやらなきゃならない仕事だから、逃げ出すわけにもいかないしね。
そして、雑務で一番つらいのが、メールが毎日100通以上くるってこと。中にはけっこう面倒なメールもあってね。以前よりも処理能力が上がってるから何とか対処できてはいるんですが、それでもやっぱり処理に相当な時間と手間がかかっちゃうから。研究者にとっては時間が一番の資源だからね。
確かに大学からも秘書を雇った方がいいと言われてるんですけど、僕の研究室に誰かがもうひとり存在するっていうイメージわかないんですよね。それだったら毎日じゃなくても週2日来てもらうだけでもええんちゃうかって言われるんですけど、今のところそれがなかなかふんぎりつかなくて。 |